食品ロス削減への取り組みが拡大中
食品ロス削減への関心が高まる中、食品流通業界において商慣習の見直しを進める事業者が引き続き増加していることが、流通経済研究所の最新調査で明らかになりました。ここでは、その一部をご紹介します。
納品期限、賞味期限
○納品期限を緩和している小売事業者(予定も含む)
⇒297社(前年比57社増)
納品期限は、商品の鮮度を確保するための基準で、通常、商品が店舗に納入できる期間を指します。
納品期限を過ぎると、店舗に納品できなくなり、返品や廃棄につながります。また、納品期限を守るために、新たに商品を生産する場合もあり、食品ロスやサプライチェーンの無駄を増加させる要因の一つです。
これまで、日本では納品期限は一般的に「賞味期限の2/3残し」(いわゆる1/3ルール)が適用されてきましたが、納品期限を緩和する小売事業者が増加しています。
○賞味期限表示の大括り化を実施した食品メーカー
⇒318社(前年比51社増)
賞味期限を「日付」ではなく「月」や「旬」で表示することを「大括り化」といいます。細かい日別管理でなくなることから納品期限切れを回避して出荷できる機会が拡大し、食品ロスの削減につながります。
また、検品時間が減り積み下ろし時間が減ることでトラックの回転率向上や、月別管理となり倉庫スペースの効率化やトラック積載率向上も期待されます。人手不足が深刻なトラックドライバーや店舗スタッフの負担軽減のほか、消費者の鮮度意識を助長しない効果もあります。
○賞味期限の延長に取り組む食品メーカー
⇒269社(前年比87社増)
賞味期限の延長によって、在庫や消費のための期間が長くなり、食品ロス削減につながります。メーカー等では包装や製法を工夫し、安全確保の上でいかに賞味期限を延長できるか、日々研究を重ねています。
フードバンクへの食品寄贈
○食品メーカー
⇒240社(前年比88社増)
○小売事業者
⇒165社(前年比74社増)※
フードバンクへの余剰食品の寄贈は、食品を必要とする人々のために役立てられることに加え、食品廃棄のための費用や環境負荷を抑制します。地域貢献の意義も大きい取り組みであり、フードバンクとの連携強化より食品を無駄にしないことは従業員の心理面に好影響を与えるとされます。