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【基礎ゼミレポート】ラ・ボエシ『自発的隷従論』#01【ソトのガクエン】

ソトのガクエンの基礎ゼミ、6月からは、エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ『自発的隷従論』(ちくま学芸文庫)をテキストに読み進めることになりました。何の因果か、前回まで読んでいたレヴィナス『実存から実存者へ』(ちくま学芸文庫)の訳者である西谷修先生が解説を寄せておられたり、また、ソトのガクエンから大学院の修士に行かれた方が、今、本書の訳者である山上浩嗣先生の授業を受けておられたりと、意識せぬところで本書に導かれていたのかもしれません。

さて、前回、6月6日の初回では、こちらから著者であるラ・ボエシの経歴と『自発的隷従論』の成立過程やどう読まれてきたのか等についてお話しました。
僅か33年の生涯を終えたラ・ボエシですが、親友のモンテーニュ(彼とは、1554年5月に評定官として着任したボルドー高等法院で出会い、死ぬまで友情で結ばれていたそうです)によると、本書は著者が16歳か18歳のときには書き上げられていた論文だということです。ラ・ボエシ自身は、ボルドー高等法院の人間として、王権への忠誠とカトリックの伝統に従いながら、しかし、当局による改革派への圧制には寛容を求めるという立場にありました。にもかかわらず、『自発的隷従論』は、革命を扇動する本として読まれ、反体制運動を扇動する者として祭り上げられることになります。本書を政治的に利用されることを危惧したモンテーニュは、あえて彼の死後、本書の草稿を預かりながらも、本書を出版することを意図的に避けていたようです。

こちらの説明の後、今回は、冒頭から15頁までを読みました。いかなる君主といえどもひとりの人間である以上、決して力ですべてを圧制することは不可能であるのにも関わらず、なぜ何百万もの人々が、そのような者に対してみじめな姿で隷従しているのか、なぜそれ良しとしているのか不思議でならないというラ・ボエシの疑念が表明されている箇所でした。
ともあれ、ラ・ボエシがこれを執筆していた中世における政治形態や人々の生活について、あまりに無知であるため、勉強しないといけませんね、という話から、参加者の方が下記の本をおすすめしてくれました。これを読んで勉強しつつ、読み進めたいと思います。

次回は、6月13日(火)22時からです。よろしくお願いいたします。

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