【5/17】基礎ゼミ#10「三つの神経症の抑圧のプロセス」
現代思想コース・基礎ゼミでは、フロイト「無意識について」(1915)(『フロイト、無意識について語る』中山元訳、光文社古典新訳文庫)を読んでいます。なかなか難しくなってきており、遅々として進みませんが、今回は、123頁~130頁まで進みました。
「三つの神経症の抑圧プロセス」という箇所では、不安ヒステリー、転換ヒステリー、強迫神経症それぞれにおける抑圧の違いについて論じられています。まず、議論の前提として、確認したポイントとしては、
欲動ないしリビドーについて、無意識系と意識系から独立しているとはいえ、実体的に捉えてはならない。
備給の撤収が抑圧であり、まったく意識系にのぼることなく無意識系に留まる原抑圧と、備給が代理表象に割り当てられる本来の抑圧・事後的な抑圧がある。
これをふまえ、これまでの議論を整理する意味で、不安ヒステリーの発生メカニズムと、恐怖症の発生メカニズムについて、スライドを使って整理しました。
恐怖症においては、外界からの知覚(馬が怖い等)を不安の原因とすることで、抑圧されたものの代表を代理表象に置き換えることで意識系を保護するわけですが、不安の原因となる対象がどんどん拡大するため、日常生活の自由はどんどん制限されていくという部分が説得的でした。
ただし、今回読んだ部分の、転換ヒステリーと強迫神経症の部分の記述がとても簡略なので、本書にある「抑圧」(1915)を合わせて読むと、少し内容が掴めるかと思います。
ともあれ、(とても困難な箇所ではありましたが)神経症と抑圧の議論はクリアしたので、次回は「五 無意識Ubw系の特性」から読み進めることになります。おそらく、今月中には「無意識について」を読み終えることができるので、6月からは岡本裕一朗『フランス現代思想史』(中公新書)をあらたなテキストにしてゼミを進めていく予定をしています。
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