Nirvana 「 Unplugged in New York 」

グランジはパンクとメタルのサウンドを融合させたものと書いてあるのを見たことがあるが、その通り「bleach」「nevermind」「in utero」でスリリングで激しいロックを展開していた。しかし「unplugged in new York 」では彼らの楽曲のまた違った側面を垣間見ることになる。

このライブ演奏は1993年11月18日ニューヨークにあるソニースタジオで行われた。ソニーのスタジオだとは思わなかったが、ライブの初めにカートがこう言った。

「まずはファーストから知らないかな?」

「about a girl 」
アルバム「ブリーチ」に収録されている「ブリーチ」は直球のグランジだが「about a girl 」はブリーチの中は1番メロディアスなナンバーになった。そしてアンプラグド形式になるとよりそれが顕著となる。実はこんなに美しいナンバーだったのであった。

「君と毎晩会えないなら、俺は夢を見る」
「君に時間があればいいのにって」
「そうさ、俺も日時を選ぶよ、そして君との約束は守るから」

カートには珍しいストレートなラブソングとなった。

「come as you are」
自分は「smells like teen sprit」よりもこの曲を聴いた回数の方が多い、そしてプロモーションクリップがかっこいい、髪を赤く染めたカートだが、持っているギターもあまり見たことがないどこのメーカーだろうか。

程よくダークで暗い曲調、それでいてメロディがあり、普通とはちょっと違う詩、これを聴くと「ニルヴァーナというか(カートの)の曲はセンスがあるなぁ」と思ってしまう。

この曲もアンプラグドにするとまた違う発見がある。この曲は是非聴いて欲しい。この曲を演奏してくれたのは嬉しかったが、できれば「in bloom」もやって欲しかった。

「nevermind」収録「銃なんかもっていない」と歌っているが、この僅か半年後拳銃自殺を図る。

「Jesus doesn’t want me for a sunbeam」
カートコバーンが敬愛する、ヴァセリンスというバンドの曲、この収録をテレビで見たアメリカの人達はどのくらいの人がこの曲とバンドを知っていただろうか?自分も知らなかったが。

こういったマイナーなバンドをメジャーなライブでやってしまうカートに「インディーズ魂」を感じてしまったが、曲はメロディのあるいい曲です、アコーディオンのアレンジもいい。

「神よ陽の光に代えて俺を求めないのでくれ」
「俺に死を望まないでくれ」

この詩を見るとカートお気に入りのナンバーだというのがよく分かる。聴いているうちに自分も気に入ってしまったが。

「the man who sold the world」
邦題「世界を売った男」この曲もカバーだが、この曲はデヴィットボウイの曲(最近亡くなってしまったが)自分はデヴィットボウイの曲はほとんどというか全く知らない。「ジギースターダスト」というアルバムがあることぐらいだ。

生前デヴィットボウイは「なぜ彼が(カートコバーンが)この曲をカバーしたのか訊いてみたかったと言っていたが。この詩はなんとなく物語調になっている

「通りすがりの階段で僕達は出会い、昔話をした」
「そこには僕はいなかったのに、彼は僕を友達だと言った」
「随分僕は驚いて彼の瞳に語りかけた」
「あんたは独り死んだものだと思っていた、大昔にね」

死の匂いも感じるが、文学性も感じてしまった。デヴィットボウイというアーティストはロック界にかなり影響を与えたことは間違いないのでいずれ聴いてみようかと思ったりした。

曲が終わった後カートが「今のはデヴィッドボウイの曲」と言うが…かっこいい(笑)

「pennyroyal tea」
ペニーロイヤルティーとはメグサハッカを使ったフレイバーティーらしい、よく知りません。今回のアンプラグドバージョンではドラムもベースもギターソロもその他楽器はありません。カートのアコースティックギター一本です。しかしギター一本だけでもいい感じです。

この曲のスタジオ版ではカートの一つの手法としてサビの部分でギターのディストーションを上げるという手法がある。カートの定番だが、別の人がやったらすぐにパクリとバレてしまうのであまりやらないようにしましょう(笑)

…まぁ時々ならいいんじゃないでしょうか(笑)
曲が良くなるなら。

「dumb」
「in utero」の中の曲では唯一静かなナンバーなのでアンプラグドバージョンもアレンジは同じ感じだ。

「太陽が沈んでしまっても、俺には光がある」
「全盛期が終わってしまっても、俺は楽しんでいる」

「nevermind」で大成功を収めたカートコバーンだが、それでもカートの曲には寂しさや孤独感の漂う曲が多い。自伝「heaver than heaven」を読むとかなり辛い少年時代を送っていたことがわかる。有名になって金が入って来たら全てが解決する問題でもないのだろうか。自分には一生分からない話だが。どうだろうか。

「on a plain」
「nevermind」収録、アンプラグドを聴いてわかったことだが、カートって歌上手くないだろうか。全ての曲に言えるがCDの音源とアンプラグドバージョンを聴いてもCDと全く同じ、修正しているかどうかはわからないが、音程が全くズレていない、特にアンプラグドバージョンだと誤魔化しが効かないので、ミスをしたらすぐバレるのだが聴いた感じそれがない。

「そんなの当たり前だろ」と思うだろうが、以外と見過ごされがちなポイントだったりする、普段のライブだと叫びが多いので歌が上手いのかよく分からないがアンプラグドバージョンを聴くと実は歌が上手いのが分かったりする。

「something in the way」
「nevermind 」の最後に収録されている、カートは少年時代親戚中をたらいまわしにされていた事実がある、ホームレス状態になったこともあるらしい。「橋の下で過ごした」というのは本当だと思う。

そしてこの曲、2022年に再度注目を集めることになる。映画「The Batman 」で劇中に流れたことでSpotifyでは1,200%再生数がアップしたらしい。「バイラルtop50」ではアメリカのチャート12位まで上昇したらしい。…Spotify、ミュージシャン達からあまりいい声を聞かないが曲が聴かれたのは良かった…のかな。利益はほとんどSpotifyが持っていくらしいですが。

この映画の監督マットリーブスという人は今回の映画はカートコバーンから影響を受けたらしい。しかしこの人だけでなくカートに影響を受けた人は多いだろう、ロックシーンをひっくり返してしまったこととか、それによってアート界やファッション界、音楽界以外にもたくさん影響を与えた筈だ。ちなみに自分は映画は観てませんが。機会があったら観てみたいと思う。

「plateau」「oh me」「lake of fire」
この三曲はミートパペッツというバンドの曲らしい。本人達も出演し、カートはギターを置き歌に専念する。

「plateau」
ではカートの裏声も聴けるやはり歌は上手かった(笑)「oh me」はもの悲しい曲だカートが気に入っているのもよく分かる、センチメンタルなメロディは自分の好きな分野です、いい感じです。自分も気に入っています。

「lake of fire」
「悪い奴らは死んだらどこへ行く」
「天使が飛び交う天国には行かない」
「炎の池に落ちて焼かれ7月4日まで再び姿を見ることはない」

ここでいう7月4日とはアメリカの独立記念日を指している。ちなみに自分はこの世には天国も地獄も輪廻転生もないと思っている、人間はそのまま無になると思うが…まぁ自分の勝手な考えですが。

「all apologizes」
この曲はアンプラグドでもスタジオ版もどちらもいい、原曲がいいからだろうか。ニルヴァーナ最後のオリジナルアルバムの最後に収録されている。

「太陽の光のもとで、日の光のもとで、俺はひとつになった気分」「太陽ので光のもとで、日の光の中、俺は結婚し埋葬される」

カートの死を予言したような詩である。美しくも儚い感動的な曲です。いい感じです。

カートの死後ベストアルバムがリリースされたがこのアルバムには新曲「you know you’re right」が収録されている。ニルヴァーナらしい激情型のロックだ。ギターリフもかっこいい。

「pain pain pain…」

プロモーションクリップは昔の映像を切ったり貼ったりしているが、ニルヴァーナというバンドはどういったバンドだったのか、どういった音楽性だったのかわかる映像になっている。

カートがドラムキットに突っ込んで行く映像とか、ギターを空中に投げぶっ壊す映像も観れます。「これがロックなんだよなぁ」と思ってしまった。かっこいい映像です。ここまでぶっ飛んだバンドももう出てこないかもしれません。

「where did you sleep last night」
このライブの最後の曲だがレッドベリーという1930年から40年代に活動していた黒人のフォークシンガーの曲らしい。この曲はまたカートが書きそうな詩になっている。

「昨夜はどこで寝ていたんだい、松林で光の刺すことのない松林で、俺は一晩中震えている」

そしてこのライブの半年後カートは自殺してしまう。このライブを見た感じどこが問題だったのか?と思ってしまう。

カートは大量のヘロインをやっていたが、ヘロインというのは薬物の中でもかなり危ない種類に入るらしい。ミュージシャンの薬物問題というのは海外のバンドは特に多い、ジャズミュージシャンのビルエヴァンスも大量の麻薬をやっていたらしい。

「unplugged in New York」というアルバムは普段うるさい音楽は聴かない人でも聴けるアルバムとなっている。普通「unplugged 」というとラブソングが多いがラブソングでないが故にカートコバーンの「芸術性」を感じてしまった。自分は一生聴き続けるアルバムだと思う。

このライブを公式として残してくれて良かった、中途半端な音質の海賊版を買わずに済んだのだった。レコード会社に感謝です。



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