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ワ―ママ開業社労士が、初めてお客様に怒られた話

お客様対応には普段から気を付けている私ですが、一度だけお客様に怒られたことがあります。怒られた、というより正確には「怒鳴られた」です。

個人事業主たるものは自分に変わりクレームの矢面に立ってくれる上司も、守ってくれる会社もありません。そのためお客様からのクレームやトラブルは、基本的には自分で解決しなければなりません。



きっかけは一枚の見積書

それはすでに顧問契約をいただいているお客様でしたが、新たに雇用する人の雇用形態に合わせて既存の人事制度を変更しなければならないことになりました。

人事制度の改編となると顧問料の範囲でお手伝いすることは難しかったため、事前に一連の変更作業にかかる見積書を発行しました。



見積書を発行して数日後、そのお客様から電話がかかってきました。

「なんでこんなに費用がかかるんだ!!」

補足しておくと、発行した見積書は決して相場を大きく外れるものではなく、作業時間と作業の複雑さを加味して算出したものでした。
見積書を発行するまでにお打ち合わせの時間を設けて、必要な変更点についてご説明も済ませていました。

相手はベテランの男性社長でしたが、その怒鳴り声の迫力に私も体が震えてしまいました。

とはいえ、私も正当な見積書に怒鳴られる謂れはありません。
変更にかかる作業時間等を説明し、極力感情的にならないように震えながらも気迫に負けまいと必死でした。

その時の電話では互いに主張を言い合って、最終的には先方より一方的に電話を切られてしまいました。

数日後、社長から謝罪の電話を受ける

正直、このお客様とはお付き合いが途切れてもやむを得ないと思っていました。むしろ、感情的に怒鳴り声をぶつけてくる方とはお付き合いできないと思っていました。

断り文句を考えていた頃、その社長から電話がありました。
一瞬身構えましたが、開口一番の言葉は先日の苦情に対する謝罪でした。

「あの時は事業が上手くいかないタイミングが重なってイライラしていた。本当に申し訳ない。見積書の内容で問題ないので、その見積通り手続を進めてほしい。」

怒鳴り声をあげる人は苦手ですが、この時は二周り以上年の違う私に、わざわざ頭を下げて謝ってくださる社長さんに、私は心底恐縮しました。

ベテラン社長と、30代の若造社労士、こんなに立場が異なるのにわざわざ謝ってくださるんだと感動すら覚えました。

私からも言い返してしまったことについて謝罪をし、結局そのまま顧問契約は継続していただけることになりました(人事制度の改編作業も受託となりました)。


自信を持って仕事をするには、自分が誠実であることが必要不可欠

今回の件で、自分の仕事を誠実に遂行する必要性をより一層強く感じました。
誠実、というのは自分の仕事について何を質問されても説明ができる状態だと思っています。

この見積の計算根拠は〇〇です。
この数字にした理由は〇〇です。
〇〇なのは〇〇だからです。

感覚で仕事をしない。理由を説明できる。
これができれば、自分の仕事にも自信を持てますし、相手方の納得性も高まります(もちろん、相談の内容によっては感覚や経験則で応えることもありますが)。

今回のようにお客様が不信感を持ってしまった時も、根拠を持った数字、説明できる内容であればさほど問題にはなりません。
これで問題になるようでしたら、元より自分のお客様にはなっていただけない人だったということです。

個人事業主になるということは、トラブルの責任は全部自分に返るということ

今回の件はかなり心理的なダメージが大きくしばらくは凹んでしまいました。
しかし個人事業主というのは仕事上のトラブルは全部自分で引き受けないといけないことを再認識し、この出来事はそれ以降の自分の仕事の姿勢に大きな影響を及ぼしました。

自分の名前で仕事をするのは、非常にシビアなことです。
以上、ご参考いただけますと幸いです。


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