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【詩】一生に一度しか会えない人に会いに行く。

一時間に一本のバスに乗り運ばれてゆく。途中川を渡りバスが走るには狭すぎる道を運転手は器用にハンドルをさばく。道は上り坂になりうねっている。調べても詳しい情報が見つけられない町にさしかかると広い空に映えて歓迎のムードを醸し出している白梅の並木。初めてのバス停で降り辺りを見回すと自然と行く方向がわかる。太陽の位置で方角を確認しながら歩く白梅の並木道。夢を見ているようにも感じられる。だんだんと高揚していく気分。待っていたかのような小さな鳥居をくぐる。小さな祠。辿り着いたことを知る。おーいと呼ぶ声がする。顔が綻ぶ。一生に一度しか会えない人。今日だけというかけがえのない時間。白梅の香りに洗い流された日常。

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