【詩】沈黙の綱渡り
声をかけようとして躊躇った
鬱蒼としているその背中は
家事の音を大きく立てながら
部屋中に電気柵を張り巡らせていた
薬缶のお湯が沸騰し湯気を吹いている
まだついていない嘘のシミュレーションが
電気柵に引っ掛かって粉々に散った
居場所を失い綱渡りを強いられる
すべての言動は危なげで
黙しているのが一番良さそうに思えた
沈黙が綱渡りをしていく
しっかりと背中の目で観察されている
綱が軋んで思わず声を発した
声をかけようとして躊躇った
鬱蒼としているその背中は
家事の音を大きく立てながら
部屋中に電気柵を張り巡らせていた
薬缶のお湯が沸騰し湯気を吹いている
まだついていない嘘のシミュレーションが
電気柵に引っ掛かって粉々に散った
居場所を失い綱渡りを強いられる
すべての言動は危なげで
黙しているのが一番良さそうに思えた
沈黙が綱渡りをしていく
しっかりと背中の目で観察されている
綱が軋んで思わず声を発した