【詩】変身
電車に乗るとすぐにブランドバッグから化粧品を取り出し
のっぺらぼうに顔を描いていく妖怪
にんげんのふりをしているけど
もうぼくは騙されないぞ
顔を書き終えると座席に座り
派手なワンピースから伸びた長い足を組んで
自分の前には人が立てないようにしてから
スマホを片手でスクロール
その爪は長くてキラキラ
描かれた目とぼくの目が合う
ドキリとして目を逸らすと
繁華街のある駅で降りて行った
ぼくにとって華美ないきものは皆妖怪だ
今まで妖術にかかって惑わされてばかりだった
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