⑥転職失敗。売り手市場で転職時代と言われてますがやはり転職は博打。私の実体験をお話します。六章目
六章目です。
初めて読みに来ていただいた方は大変お手数をおかけしますが、この前の一章目~五章目をお楽しみに頂いてから、本章を読み進めていただけますと幸いです。小説風に営業ストーリーを描いてます。また別で有料記事になりますが転職失敗についての本編記事もありますので、良ければご購入頂きお読み頂けましたら幸甚です。
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事務所に戻り、お客さんから頂いた情報をモミヤマ氏と共に一緒に元に提案資料を作成していく。
モミヤマ氏が作成した提案資料を作るための、エクセルや訪問販売時に配布したチラシ(実はモミヤマ製)など一式セットのデータをもらうことができた。
それに沿って資料を作成していくと色々と彼が訪問販売で一億円売ったというのは頷けることが分かった。俺以上に上司も首が取れるんちゃうかという勢いで、かなり頷いていた。
どの資料も当たり前なのだろうがまず無駄がなく見やすく、確かに一緒に作り上げていくにつれ、資料といっても見積書を含めても2-3枚だ。その中のある一つの資料が購入を前向きに検討出来るような気分にさせられる内容だった。この資料はモミヤマ氏が苦節数年考えてひねり出したものらしい。とにかくうちの製品はいいですよと性能や特徴がどうとか、市場の価格状況とかも、くどくど説明したりせず、押し売りするようなことは一切書いてないのだ。
全部が訪問販売時のファーストコンタクトからアポ取りの説明とちゃんとしっかりとつながっていて、今検討だけでもする価値があるんだな、話聞いて良かったと思うような作りこみになっていた。
モミヤマ氏「・・・・・明日商談は俺がするけど、実際にはこの資料を出す前に別で製品のことを俺は別で資料持ってるから、それを5分ほどでサラッと説明する。で、今作ってるこの資料を含めても商談自体は10分ぐらいで終わるかな。むしろお客から色々質問やら聞かれるので、それ込みで20-30分ぐらいかなという感じやな。」
ワイ「わかりました。」
その日はモミヤマ氏のエクセルファイルを使い、すぐに1時間ぐらいで資料ができ、あっという間に準備ができた。
モミヤマ氏「ほな明日もよろしゅう。」
そして次の日曜日…
遅れる事なく訪問先の家に着いた。アポイントは午前10時なのだが、カーナビの時計を見ると9時…早く着きすぎた。
モミヤマ氏「流石に早いな。ちょっと他の住宅地域も見たいから、回りをドライブするか?」ということで、先日回った訪問販売エリアから少し離れてある住宅街に着いたのだが…
モミヤマ氏「あれっ!!この辺りだいぶ前に回った記憶あるぞ!10年間ぐらいに購入してもらったお客さんいるわ!」
と車を走らせていると、
モミヤマ氏「あそこやあそこ!すまんけど車停めてや。」
と車から出ていき、ある一軒家のインターホンを押す。
ピンポーン!!
住民の方「・・・・・はい?」
モミヤマ氏「〇〇のモミヤマです~~~!! お久しぶりです。たまたま近くによったので立ち寄ったんですけど、お元気でしたか?」
私も離れたところから住民の方とモミヤマ氏とのその後の会話を聞いていたのだが、その住民の方のインターホン越しからの声がかなり小さく、何を言っているのか分らなかったのだが、モミヤマ氏はしっかり聞き取って会話をしていた。
モミヤマ氏「今日は突然、失礼いたしました。お話出来て、よかったです。お元気そうでよかったです、ありがとうございました!」
と終わり車に戻ると、
モミヤマ氏「いや~~~かなり久しぶりに来たけど、この人やっぱ変わってるなぁ~。でもまぁしっかり納得して導入してくれてるから、今でも導入してよかったと喜んでいるみたいやねぇ。」
ワイ「(変わってるってあんたが言うか・・・・)よかったですね。」
と、ふとこれまでのやりとりでも思っていたのだが、このモミヤマ氏はあらゆる記憶力がものすごい。というのが、そもそも10年前に訪問販売した時の自宅もよく覚えているなと驚愕したし、実はその後も回りをグルグルとドライブをしたのだが、「このお宅も買ってもらったなぁ!あそこもやな~!ここもやな!懐かしいわぁ~~~」と数軒ポツポツ車越しから懐かしんでいた。
実は私と上司との訪問販売活動時、一回目の訪問、その後のチラシを入れた後、2回目に訪問した時にはモミヤマ氏は手元に地図は持っていなかったのだが、ドンピシャでチラシを入れたところを覚えていたのだ。住宅街なので似たような外観の家も多いし、覚えていても地図を見て確認してからピンポンを押す方がいいのかなと思うのだが、「せやせや、ここや!」と躊躇なく押していた。しかもどんな感じの人で、どんな会話をしたかどんな反応だったかもしっかりと覚えていた。
モミヤマ氏「そろそろ戻るか~ええ時間やしな。10分前ぐらいについて、精神統一!!ゆっくりしよ。」
ワイ「了解です。」
そして、アポを取った住宅まで戻り、近くの駐車場に車を停め、ドキドキと心臓が鳴り出していた・・・・・。
【第7章】に続く