
〈book〉自転しながら公転する
そんなやつと別れろよ……
463ページに渡る長い本編。その間、何度こう思っただろうか。
私は友人関係に対して割とドライだ。私を大切にしてくれなかったり、対等な関係を築こうと歩み寄れないような相手とはキッパリ縁を切る。
恋愛はどうだろう。
別れるべきだと思っていても、
(でも彼にはこういう良いところがあるから…)
(こういう行動を取ってくれるのは私を好きだからなはず……)
自分に都合の良いところだけに目を向け、不安を感じてしまう部分には目を瞑る。そういう思考になってしまう傾向が、私にはある。
そんな私でも、都の行動は理解不能だった。
貫一はどう考えても、今後の人生を一緒に生きていくに相応しい相手とは思えない。そんな相手に縋りつく必要が分からなかった。貫一も都のことを好いているのはよく解る。でも結婚となると?お金の余裕は気持ちの余裕に直結するのではないだろうか。どんなに精神的に安定している人間でもお金が無いと狂うのでは無いだろうか。いや、貧乏育ちの貫一はそれが普通だからどうってことないのかもしれないが。でも都はきっとお金が無いことにイライラキリキリするだろう。私みたいで嫌になる。
私だったらどうする?貫一と生きていく?
今の私だったら彼に縋ってしまうかもしれないが、アラフォーに差し掛かる年齢になったらそんな行動は取らないはず。いやでも、もしかしたら、一緒に人生を歩んで行けるように努力するかもしれない。
うわああ。頭を抱える。結婚って何?
私自身、恋人は本当に良い人だ。こんなに人間性の優れた人は他にいないと思っている。
でも、将来的に金銭面の不安が無いかと言われると頷けない。2人で頑張ろうとは思っているが。
こんな私だって傍から見たら意味不明なのだろうか。
仕事にしても両親との関係にしても都のことが理解できなかった。
『私だったらこうするはず。』
と、頭の中で都の行動に反発ばかりしてしまった。
でも、でも、私もちょっと変な生き方をしているのは否定できない…………。真っ当には生きているけれどね、最もポピュラーな生き方とは外れているので。
本編の最後を読み、嘘でしょ……とため息をついてしまった。都、理解できない。
あとがきかな?と思い、ページを捲る。
エピローグが綴られていた。
誰目線か理解出来ずに何度も最初の2ページを読み返してしまった。やがて、そういうことか!と理解でき、どんどん読み進める。
衝撃を受け続けた。
都、やっぱり理解できない。
でも、ちょっとリアルだった。私の母に似ている面を感じたからだ。
最後の都のセリフが印象的だった。この長い物語はこのためにあったのか、と。
羨ましがられる生き方でなくても、綺麗な物語でなくても、きっと意味はあるのだろうな。
都のように生きたい。
不思議と、そう思いを馳せてしまった。
我々は何のために生きていくのだろうか。幸せのため?そうではないのかもしれない。幸せばかりを追い求めずに、肩肘張らずにゆるりと楽しんで過ごしたい。気が張っていたが自分の毎日を肯定できたように感じ、ほっと胸を撫で下ろした。