夢を叶えた五人のサムライ成功小説【川端雄平編】18(ラスト)
この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。
数日後。
『さぁ、今日は林と雄平くんのコラボデビューの日だ』
林と雄平は威勢よく柴田に返事をした。
『はい』
その声は自信に溢れていた。
『お前らはふたりでこそ、頂点に立てる』
『頑張ります。やります』
いつしか数日間、降り続けた雪もやみ、交通規制もすべてが解除された。
会場入りする四人。
楽屋から客席を覗き込む。
200名はいるだろうか。
緊張感が雄平を襲う。
雄平にとってはこれだけの観衆を目前に演奏するのは初めてだった。
最前列にはバーのオーナーの玉山、ライブのメンバー、雄平の両親まで腰をおろしてステージの開演を待っていた。
由里が雄平に声を掛ける。
『雄平なら大丈夫よ、頑張って』
『ありがとう』
そこにスマッフの本村拓也が姿を見せた。
『よう、久しぶりだな。今日は落とせないぜ』
『き・・・本村さん。どうしてここに・・・』
『社長の言いつけ。でもさ、個人的にお前が好きなんだよ。ハート熱いじゃん』
雄平は柴田を見つめた。
感謝と尊敬の眼差しで見つめた。
『あのときのコンビニでの出来事はもしかして・・・』
『コンビニ・・・何のことだ。本村、お前は分かるか?』
『いえ、分かりませんね』
柴田と本村は口を揃えて雄平に一言だけ伝えた。
『過去は語るな。今を見つめて未来に活かせ』
林と雄平の出番がまもなく始まる。
雄平はプロミュージシャンを目指して約10年。
継続の凄さ、継続が生み出す信頼と自信。そして底力。
頑張って頑張って諦めずに夢を追い続ければ、必ず実ること、夢はけして逃げないこと、誰しもがありのままで成功を手にすることも可能だということを強く心に刻んだ。
雄平は柴田との関わりを通して、夢を追い続けた月日を通して、このことを強く教わった。
ようやくその一歩をとなる重要な時を迎えている。
感無量の想いが込み上げてくる。
これまでの月日が走馬灯のように瞬時に脳裏を駆け巡る。
そして・・・
時は・・・
流れた。
柴田が何故、突然に雄平の前から姿を消したかは分からない。
ただひとつだけ雄平は確信を持って言えること、理解したことがある。
柴田に出会っていなければ、きっと俺はまだ歌を歌い続け、バイトをして歳だけを重ねて、とんでもない未来を過ごしていたに違いない。
そしてほんの少し、目指すものも視点や方向性をシフトチェンジするだけで目標は叶う。
成功に繋がること。
今では川端雄平を音楽業界で知らない者はいない。
そして彼は多くの歌い手に楽曲を提供し、単独ライブでプロに必ずなる!と誓ったヴォーカリストとしても日本にその名を馳せている。
柴田はその様子を一部始終知っていた。
常に川端雄平を見守っていた。