ポスティングの平均単価 料金相場が決まる要因と費用を抑える方法
ポスティングの単価が決まるのは、原価である配布スタッフの「人件費」をベースに、配布エリアの地形や住宅の密度、チラシの種類や配布期間など、複数の要因が関係しています。各要因と費用を抑えるにはどうしたらいいのかを解説し、関東一都三県の平均単価を紹介します。
ポスティングの原価は配布スタッフの「人件費」
ポスティングの原価は1人の配布員が何枚配れるか、です。つまり、チラシをポストに投函する配布スタッフの人件費が原価なので、納期内にポスティングを完了するために人数を増やさなければならない場合は、当然単価が上がりますし、人数が少なく済めば単価は下がります。
配布スタッフの人数の増減に関わってくるのが、この後紹介するポスティングの単価・料金相場が決まる要素です。
ポスティングの料金相場
まずは、1都三県のポスティング料金相場をご紹介します。(※当社調べ)
同一県内でも、戸建てが多いエリアは単価が比較的上がったりと異なりますので、この料金表はあくまでも参考値として捉えてください。
エリア別単価シミュレーション
また、エリア別にB5サイズ5万部を配布した場合をシミュレーションしてみました。
エリアごとに比較して見ると、東京都内でも、世田谷区のように集合住宅が密集しているエリアと、八王子市とでは、、単価が1円以上異なることが分かります。埼玉県さいたま市と狭山市との単価の違いも、同様の理由です。
また、軒並みと集合で比較してみると、どちらの方が費用が安いかはエリアの地形や住宅の密度などによって異なります。例えば、東京都世田谷区の場合は、軒並み配布(5.28円)の方が集合配布(5.7円)よりも単価が安いです。住宅地が密集しているこのエリアでは、集合・戸建てを問わずポスティングする方が効率がいいためです。
ポスティングと新聞折り込み・DMの料金相場の違い
続いて、ポスティング単価を新聞折込、DMと比較すると下記です。
よく比較されるのは新聞折込ですが、新聞折込の方が用紙のサイズや形状などの制約が大きく、またノベルティや試供品を添付するといったこともできません。DMは郵便物として投函されるため、価格は圧倒的に高くなります。利用目的に応じて使い分けましょう。
また、ポスティングサービスだけでなくチラシのデザインや印刷、加工まで全て依頼できるポスティング会社もあります。より高品質なチラシに仕上げやすく、1色刷りやフルカラー、片面、両面印刷など印刷方法も様々です。ただし、デザインや加工代などは追加で発注費用がかさんでしまうため、その分単価も上がるので、予算と照らし合わせて検討しましょう。
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ポスティングの単価・料金相場が決まる要素
ポスティングの単価を左右する要素は、基本的に
・配布エリアの住宅密度と地形
・配布セグメント
・チラシの種類・サイズ
・チラシの枚数
・配布期間
・配布形態
・配布方法
の7つです。それぞれについて、詳しく紹介します。
配布エリアの住宅密度と地形
例えば、住宅地が密集していて、道路が平坦で区画整備されている東京都世田谷区などは、配布コースも決めやすく、効率の良い配布ができます。何度も同じ道を行ったり来たりする必要がないからです。一方で、神奈川県横須賀市のような、古くからの街並みが残っており、住居が点在している上に、山も多いため配布スタッフが作業に時間がかかり、1日当たりに配れる配布部数は、世田谷区で配布するよりも少なくなる、つまり仕事の効率が下がります。そうなると配布スタッフを増やさなければなりません。
この場合、単価は横須賀の方が世田谷よりも2円ほど高くなります(当社実績)。住宅密度と地形について、単価が上がる要因と下がる要因をまとめると下記です。
配布セグメント
チラシ配布の配布セグメントには集合配布、戸建て配布、軒並み配布(ローラー配布)があり、ポスティング業者に依頼する際に選択することができます。軒並み配布は集合・戸建ての別を問わず配布する方法で、ローラー配布とも呼ばれます。対してポスティング配布はポストを選別してチラシ配布していく方法です。全戸配布に比べて配布先が少なく、配布数は減りますが、ターゲットが明確な場合ピンポイントで配布できるので費用対効果が良くなるというメリットがあります。配布セグメントには主に、下記の3つの分類があります。
集合:アパートやマンションなどの集合住宅にのみ配布する
戸建て:戸建て住宅にのみ配布する
軒並み:集合・戸建てを問わず配布する
住宅の密度が高い都心部では、軒並みの方が安くなりやすいですが、軒並みよりも集合配布を選択した方が、単価が安くなる場合があります。
というのも、大型のマンションなどでは集合ポストが設置されていることも多く、短時間で数十戸から100戸にポスティングができる場合もあります。軒並みの場合は、戸建て住宅にもポスティングすることになるので、1軒1軒に配布するには、何度も同じ道を行ったり来たりしなければならない場合もあるため、効率が落ちます。
そのため、例えば世田谷区の場合は、住宅の密度が高いのでそもそも単価設定は比較的低いですが、配布セグメントを「集合」で選択して配布すると、さらに0.5~1円程度単価が安くなります(当社実績)。
一方で、都内でも戸建てが多く集合住宅の少ない練馬区や、埼玉県寄りの足立区の一部エリアなどは、単価は比較的高い傾向があります。
物件を選ばずにポスティングできる「軒並み配布」が単価ダウンに最も貢献しそうな印象ですが、必ずしもそうではなく、そのエリアの住居形態に集合住宅が多く、かつ密集しているエリアが最も単価が安く済む、といえるでしょう。
チラシの種類・サイズ
ポスティングは、1枚のチラシだけではなく、冊子タイプのものや、ポスティングの特長でもある試供品やノベルティを付けることができます。これらのタイプのものは、反響率アップの要因になりうる一方で、配布単価を押し上げる要因でもあります。
配布スタッフがポスティングをする際は、例えばB4サイズのチラシであれば、一度に2,000枚ほどを持って行うことができます。しかし、例えばOPP袋にチラシとポケットティッシュを入れたものをポスティングする場合は、かさばる上に通常のチラシよりも重量が大きくなるため、一度に持てる量が300部程度にとどまります。配布スタッフを追加する必要があるので、単価が上がるというわけです。
手持ち分がなくなるスピードが速いため、配布スタッフは配布チラシ在庫の集積所に取りに行って、また現場に戻って、と往復が増えることにもなりタイムロスも生じるので、時間的コストがかかってしまうのです。
あくまで参考値ですが、都心部で軒並み配布の場合の料金例は、
B4チラシ 5円
OPP袋入りA4チラシ&ポケットティッシュ 7円
このように、2円程度の差が出てきます。この価格の差は、配布エリアによっても異なってきます。チラシ在庫を比較的取りに行きやすい場所に設定できる都心であれば、高くなりにくいですが、横須賀など住宅が点在しているようなエリアではプラス4円ほどかかる場合があります。
チラシの枚数(配布枚数)
部数が多いほど、ボリュームディスカウントが効く場合もあります。当社実績では、1回あたりの部数が10万部を超える場合に、0.5~1円の割引をしています。
ただ、前述のようにポスティングの原価は人件費(原価)です。そこをしっかりと確保している企業ほど、大幅なディスカウントはしないはず。もし単価設定が極端に低い場合には、人件費をカットしていたり、配布をしないことで価格調整をしている可能性もあるので、注意したほうがいいでしょう。
配布期間
配布期間とは、チラシの納品から配布完了までの日数を意味します。部数によらず1日で配りきる新聞折込と異なり、ポスティングは部数によって配布期間が複数日かかることがあります。
納期が長いほど配布スタッフのスケジュールを押さえやすく、配布エリアの緻密な地図作成が行えるといった事情から、単価は安くなりやすいです。例えば、配布期間を「1週間」としている企業の場合は、その期間を短く指定するほど、単価が上がります。
ただ、「即日配布を依頼したい」といった急を要するケースもあると思います。即日依頼・即日対応をしているポスティング会社さんもあるので、ニーズに応じて選択しましょう。
配布形態
配布形態とは、配布スタッフの調達をどのように行っているか、を意味します。配布形態には、主に下記の2つがあります。
固定型:配布したいエリアに居住している配布スタッフの自宅にチラシを届け、自宅を起点にその周辺エリアにポスティングする
移動型・キャラバン型:居住地に関係なく、配布スタッフに配布エリアに集合してもらい、所定の場所を起点にポスティングする
近年では、ポスティング会社の9割が固定型を採用しているといわれています(当社調べ)。実際に、固定型は、配布スタッフの交通費がかからないため、単価ダウンにもつながります。
配布方法
ポスティングの配布方法は大きく分けて下記の2つがあります。
・単配(単独配布)
・併配(併せ配布)
単配は依頼主のみのチラシを配布してくれる配布方法で、他のチラシに埋もれにくいというメリットがあります。広告の数量が少ないほど注目率が上がり、手にとって保存してもらえる確率が高くなります。その分、一部あたりの配布単価が割高になったり、坂が多い地形や雨天・荒天などの場合は作業に時間がかかるといったデメリットがあります。
併配は複数の依頼主のチラシを同時に投函する配布方法です。一つのポストに複数の配布物を投函することで配布単価が安くなり、コストの負担が低くなります。少しでも低価格で、とにかく新聞折込よりポスティングが良いといった依頼主には最適のスタイルといえるでしょう。しかし、一つのポスト一回の配布時で多枚数投函されるので、配布時に捨てられたり見てもらえなかったりする可能性も高くなります。
ポスティング費用を抑えるためには
単価がどのように決まっているかを紹介してきました。ここで、それぞれの項目が単価にどのように貢献するのかを一覧にまとめました。
安い方を選択していくことで、単価ダウンが見込めます。ご予算をオーバーしてしまいそうな場合は、譲れない項目と調整できる項目とを複数パターン提示して、見積もりを取ってみると良いでしょう。
配布の条件設定をできるだけ緩めるのも単価を抑えるポイントです。条件ごとにオプション料金がかかるケースが多いため、できるだけコストを抑えたいのなら条件はあまり具体的にせず、緩めに設定するのがおすすめです。ただし、条件を緩めると反響が出にくくなることもあるので注意が必要です。
反響の出るポスティングと単価
ポスティングの費用が安く済むに越したことはないものの、コストを掛けるからには、反響を出したいですよね。反響の出るポスティングを実施する上で、特に注意したいのが下記の3つです。
・ポスティングのクレーム対応
・配布スタッフの管理体制
・希望の配布エリアに対する知識
ポスティングのクレーム対応
ポスティングは他の販促手法と比べるとクレームが発生しやすいのは事実です。単価が安い企業は、配布スタッフの教育などのコストをカットしている可能性もあり、クレームにつながりやすくなる可能性も高いです。
クレームが発生のリスクを最大限抑えつつ、万が一クレームが発生してしまったときに真摯に対応してくれる会社なのかを吟味しておく必要があるでしょう。
ポスティングのクレーム対応について、詳しくは関連コラムで紹介しています。ぜひ参考にしてください。
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ポスティングのクレーム対応 「自宅まで詫びに来い!」と言われたらどうしたらいい?
配布スタッフの管理体制
ポスティングスタッフの雇用形態は業務委託、アルバイトが主です。しっかりと教育が行き届いていなければ最悪のケースではチラシを廃棄して配ったことにする、といったことも。GPS(位置情報システム)付きのスマートフォンを持たせて管理しているかどうか、配布完了のチェック体制なども、依頼する前に確認することをおすすめします。
特に、単価が平均よりも大幅に安い場合は、一概には言えませんが、人件費を極力安くしている可能性もあります。それは結果的に、いいパフォーマンスにつながりません。配布スタッフの質によって反響は大きく異なってくるので、管理体制については単価に関わらず事前に確認しましょう。
希望の配布エリアに対する知識
ポスティングするエリアに、その商品やサービスへの需要があるかどうかを知ることも大切です。例えば世帯の大多数が若年層の配布地域に高齢者の集客を狙ったチラシを配布しても効果が全く得られないのは当然のことです。その商品がそのエリアで必要とされているのかを調べ、十分な反応が得られそうもない場合はエリアを再検討しましょう。
ポスティング会社によっては特定の地域に対する知識が深いケースもあり、地域密着型のポスティング事業所も多く存在します。配布スタッフが配布可能エリアにどのような層が住んでいるのかを理解しているケースもあります。配布希望のエリアに対してどの程度のノウハウがあるか事前に相談してみるといいでしょう。そうすることでより効率の良いポスティングが可能となります。
ポスティングの単価 まとめ
ポスティング単価の原価は配布スタッフの人件費であり、ご紹介してきた配布エリアの地形や配布期間、配布方法などによって費用相場は変動します。そのため企業間の単価の差は、それほど大きくはならないはずです。同じエリアと条件で比較した時に、平均相場を大幅に下回る場合は、どのような理由があるのか質問しておきましょう。納得できる理由でなければ、発注先が手間を極力省くなど品質面でコストカットしている可能性も高いです。また、希望のエリアに希望するターゲット層がどれだけいるかも重要です。単価だけを見るのではなく、管理体制やエリアに対する知識なども加味して比較し、反響の出るコスパの高いポスティングを実施しましょう。