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それでも夜は明けた

目が覚めたらわたしはとても幸せで、何の問題も抱えていない少女だったらいいのに。
こんな世の中は、すべて夢だったらいいのに。

そんな儚い願いを抱えて眠りに落ちる夜は、いつも薄紫色のままだった。

ぼんやりとした夜の気配は、わたしをどこか悪い場所へと連れて行ってしまいそうで、踏ん張って立っているのがやっとだった。

明けない夜はない、などと言う人がいるが、明けない夜がないから困るのだ。
明けてくれなんて頼んでいないのに、夜というのは朝になってしまう。

順風満帆に生きてきたという自負などない。いつもジタバタとして、いつも余裕などなくて、いつもどこか悲しいまま。

だからだろうか、わたしは自分がどんな人間か実態をつかめない。
なんだか自分が100通りほどあるような気がして、本当の自分は歳を重ねるうちに、どこかへと隠れてもう出てこなくなった。

それでも、わたしはこの世界のどこかにまだ自分の居場所を探している。そして、生きている。

わたしにとって、生きることは難しいこと。
怒りまかせに母を殴る父の荒々しい物音を聞くと、まだ幼かった自分は命の危うさを感じて体の震えが止まらなかった。

あの日から、生きることはとても難しくなった。

生きることは、歪で、バラバラで、ちぐはぐだ。
生きることは、ただご飯を食べて眠ることだけではない。
生きることは、呼吸をするだけではない。

生きることは、
まるでわたしみたい。

生きることぐらい、自分で舵を切ってみたい。
生きることぐらい、答えを見つけてみたい。

頭をもたげるような重たい朝は、いつかわたしに笑いかけてくれるだろうか。
生きてやろう。生きて、生きて、情けないほどに生きることにしがみついてやろう。

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