
療育計画編03 自閉症早期療育:EIBI vs ESDM vs SST
(前回のあらすじ)1歳半の息子のタクヤの療育に向けた準備を進めるにあたって、通える範囲での児童発達支援施設に電話をして見学の申し込みを進めるITパパ。今回はお勉強編、時間軸でいうと3日目から4日目にかけて考えていたことです。
きっかけは、タクヤ(1歳半)の言葉の遅れを何とかしたいと思ったこと。AIに「最適な療育って何?」と聞いたら、「EIBIが効果的」と返ってきたこと。米国ではEIBI(早期集中行動介入)による自閉症(ASD)の療育が進んでいるらしい。
「早期集中行動介入!? 1歳半なら、まだまだ早期療育だし、タクヤは自閉症(ASD)を完全に克服する所まで持っていけるのでは……?」
EIBIについて調べ始めたら、ITパパの頭はフル回転に突入しました。
※本ノートの内容はGrok、ChatGPT、Deepseek、Claudeと4つのAIによる知見と相互チェックにより科学的根拠のある形で掲載しています。ノートの最後に参考文献を掲載してあります。
EIBI(早期集中行動介入)とは?
EIBI(Early Intensive Behavioral Intervention)は、ASD(自閉スペクトラム障害)の子ども向けに開発されたABA(応用行動分析)ベースのプログラムです。
調べていて衝撃だったのは、その強度。EIBIでは、週20〜40時間という長時間が必須。
ITパパとして、息子のタクヤにはできるだけ良い療育を受けさせるつもりだったけど、こんな長時間は考えていませんでした。
でも、EIBIの効果を知ったら興奮が止まらなくなりました。
1987年のロヴァース(Lovaas)の研究では、EIBIを受けた子どもの47%が通常学級に進めるレベルまで改善し、IQが平均20〜25ポイントもアップ。195名のASD幼児がEIBI群、135名が対照群に含まれてたメタ分析でも効果は有意で、言語スキルが向上するだけでなく、社会性や適応行動も伸びるらしい(Eldevik et al., 2009)。
「これはすごいものを見つけたぞ……」
ITパパの療育方針は、一気にEIBIへと傾いていきます。
用語解説:ABA、EIBI、ESDM
ここで、このノートを理解する上で必要な用語として、ABA、EIBI、ESDMの用語の関係について解説しておきます。
ABA(応用行動分析):土台となる理論
定義:行動主義心理学に基づく科学的手法。B.F.スキナー(Skinner, 1953)が基礎を築いたもので、行動を観察し、「強化」(褒めるなど)や「弱化」(減らす工夫)で望ましい変化を促す。米国ではBACB(Board Certified Behavior Analyst)という団体及びアナリストがいる。
特徴:具体的なプログラムじゃなくて、「理論と技術の傘」。EIBIやESDMはこのABAを応用したもの。なお、ABAはASD介入の「ゴールドスタンダード」とされ、米国心理学会(APA)やCDCが推奨。
ITパパの理解:実はこれ、犬のしつけと同じ原理(オペラント条件付け)に基づきます。ただし、ABAは人間の認知や社会性を考慮してあり、最近は子供の自主性を伸ばす方向へと進化しています。
EIBI(早期集中行動介入):プログラム。ABAによる自閉症早期治療における効果証明の古典。BACBが設計・監督するのがスタンダード。純ABA。
ESDM(早期スタートデンバーモデル):プログラム。ABAと発達心理学をミックスしたもの。BACBの基準にも基づいているが、他職種との連携も。
つまり、ABAはどちらに対しても基礎なので、EIBI、ESDMと並べてしまうと、比べるレイヤーが異なるということ。ABAが親で、EIBIとESDMはそこから生まれた兄弟。厳格さや強度などが異なる。
スマイルママにEIBIを相談する
翌朝、ITパパは早速スマイルママに相談することにしました。
ITパパ「ねえねえ、昨日すごいもの見つけたんだ。タクヤの療育のこと。EIBIって考え方があるらしい」
スマイルママ「それ何?」
当然の反応です。ITパパだって数時間前まで知らなかったのだから。
ITパパ「米国だと早期療育が進んでいて、週20〜40時間やるんだって。早期からそれをやると、IQも上がるし、言葉の遅れも高確率で改善するみたい」
スマイルママ「週20時間も療育に通うの!?」
ITパパ「最低が週20時間だよ。理想は40時間。だから、週6日くらい療育に通う必要がある」
スマイルママ「週6日!?そんなに療育に通ったら、タクヤ、疲れちゃわない?」
たしかに、こんな長時間はITパパも昨日までは考えてもいませんでした。でも、ITパパにはひとつ説得材料がありました。
ITパパ「いや、でもさ……子供を1歳から保育園通わせて、週5日、1日11時間預ける人もいるよね。土曜日にも預ける人がいる。それができるなら、児童発達支援施設にも通えるんじゃないの?」
ちなみに、ITパパもスマイルママも自宅保育→幼稚園ルートなので、保育園に通った経験はありません。
結果、スマイルママも「タクヤが負担なくできるなら」と、一応は納得してくれました。ただし、妥協ラインで「週5日」ということにしました。
EIBIではなく、ESDM(早期スタートデンバーモデル)でも良いのでは
スマイルママの合意を取り付けたITパパは、さらに学習を続けます。
まず、EIBIはABAの厳格な適用プログラムだと分かりました。ABAは行動主義心理学に基づく手法で、行動を観察して強化や弱化で変化を促す(Skinner, 1953)手法ですが、調べていくうちにEIBIに対する、批判的な意見が目に入ってきました。
まず目についたのは、EIBIは高強度すぎて子どものストレスになるという批判。EIBIのプログラムで特に批判の対象となるのは、「離散試行訓練(DTT)」です。
DTTは、課題を細かく分けて反復練習するスタイルです。例えば、「ボール」と言わせたいなら、何度も「ボール」と提示して正解したら褒める。これを1日何時間も続ける。特に、「DTTの機械的な反復が子どもの個性を無視してる」と叩かれています(Prizant ,2015)。
EIBIの効果が誇張されているという批判もあります。
メタ分析では、Lovaas (1987) の「IQが20〜25ポイント向上」「47%が通常学級へ」という成果は、ほとんどの追試研究では再現されておらず、多くの研究で「IQは向上するが、平均で10〜15ポイント程度が一般的」、「通常学級への移行率はまちまちで、10〜30%程度の研究が多い」とい指摘もあります(Howlin et al., 2009; Eldevik et al., 2009)。なんだ結局IQは上がるんじゃん。
また、EIBIが一定の効果を示すものの、全てのASD児に適しているとは限らず、ESDMやSCERTSなどの発達的アプローチとの比較が必要との議論もあるそうです(Sandbank et al., 2020)。
さて、ここで新しい言葉が出てきました。「ESDM(早期スタートデンバーモデル)」です(SCERTSについては付録で扱います)。
ESDM(Early Start Denver Model)は、ABA(応用行動分析)を基盤にしつつ、発達心理学を取り入れた自然派のアプローチです。週15〜25時間の介入を推奨し、遊びや日常の中で社会性や言語の発達を促す(Dawson et al., 2010)。EIBIほど構造化されておらず、親の関与が必須です。
RCT(無作為化比較試験)の結果では、ESDMを受けたASD児はIQが15〜20ポイント向上し、社会性も改善(Dawson et al., 2010; Rogers et al., 2012)。また珍しい所ではEEG(脳波)研究も入っていていて、定型発達児により近い脳の反応パターンが示されたそうです(Dawson et al., 2012)。
EIBIでは、「ボールはどれ?」と直接的に尋ねるのに対し、ESDMでは「ボール転がそうか?」と自然な遊びの流れの中で発話を促します。これは、「ジョイントアクティビティルーティン(Joint Activity Routines; JAR)」 という考え方に基づいており、子どもの興味(例:電車のおもちゃ)から始めて、そこに発達目標(言葉、交代など)を埋め込む形を取るそうです(Vivanti et al., 2017)。
実際のESDMのセッションを見ると(公式マニュアルが存在するんですよね)、90分の中で、床での活動、テーブル活動、おやつタイム、感覚運動活動、絵本の読み聞かせなど が組み込まれています(Rogers & Dawson, 2010)。
子どもの興味を引き出しながら自然に学習ができるよう工夫されているし、ESDMの中身は、ITパパの考える療育に近いので、タクヤでも自然に受け入れられそうです。
ちなみに、ESDMに対しても様々な批判もありますが、ABA批判としてEIBIとESDMをまとめて論じるものが多いようです(Howlin et al., 2009; Prizant, 2015)。また、一部の研究ではESDMの効果は従来のEIBIと比べて決定的な差がないとの指摘もあります(Sandbank et al., 2020)。
日本でメジャーなSSTってなんだ?
EIBIとESDMに突き進む前に、日本でよく耳にするのが「SST(ソーシャルスキルトレーニング)」です。児童発達支援事業所のホームページを見ると、たいてい「SSTを取り入れています」と書いてあるし、見学を申し込んであるA事業所もSSTがベースです。
SSTって何?と思い、調べてみました。
SSTのは、1950〜60年代でSSTの基礎は、B.F.スキナーらによる行動主義の理論に由来します(Skinner, 1953 ※ここはABAと一緒)。当初は精神疾患の患者が挨拶や会話など社会復帰目指すところからスタート。1970年代以降、アルバート・バンデューラの社会的学習理論(Social Learning Theory; Bandura, 1977)や、アーロン・ベックのCBTがSSTに取り入れられました(Cognitive Behavioral Therapy; Beck, 1976)。単なる行動の反復から、「観察学習(モデリング)」や「自己効力感の向上」が重視されるようになり、ロールプレイやフィードバックが加わりました。
1990年代以降、ASD(自閉スペクトラム症)やADHDの増加に伴い、SSTは子供向けに特化。PEERS(Program for the Education and Enrichment of Relational Skills; Laugeson et al., 2012)やSkillstreaming(Goldstein & McGinnis, 1997)のような体系的なプログラムが登場し、エビデンスベースの介入として洗練されました。
ポイントとしてはSSTは、基本的に「社会性と対人関係のスキル向上」が目的 であり、個人の行動や認知プロセスの改善を狙う点が特徴的です。
友達との関わり方やルールを、ロールプレイやモデリング(見本を見せる)で練習する。例えば、「こんにちは」の言い方や、順番を守る方法を、遊びの中で見本を見せながら学ぶ感じ。これはABAとは異なるやり方です。
根本的な考え方として、自閉症そのものを直すのではなく、社会で生きていくために必要なスキルを身につけるものですね。
日本では、大人も対象とした障害支援の定番メニューとしてSSTがよく使われています。理由は、歴史の古さもありますが、障害者の自立支援の理念には、直接的な意味で最も合致しているからだとITパパは理解しています。
EIBI、ESDM、SSTを徹底比較
ITパパの頭の中に早期療養の方法について様々な情報が集まってきました。ここで集めたEIBI、ESDM、SSTについてまとめておきます。なお、リサーチはAIで行っていて、「米国ではどう行われているの?」という前提で情報収集しています。
その後、日本でもABA、EIBI、ESDMに他する様々な取り組みが研究があることを知りましたが、このリサーチ時点では日本での状況を全く考慮していません。
比較表:米国におけるEIBI、ESDM、SSTのエビデンス比較

EIBI(早期集中行動介入)
強度:週20〜40時間。個別指導によるABAベースの高強度プログラム。
効果の強さ:
IQが10〜25ポイント向上(Eldevik et al., 2009; Reichow, 2012)
言語・社会性・適応行動などASDコア症状の改善が確認されている(Howlin et al., 2009)
通常学級進学率 10〜47%(研究ごとにばらつきあり)(McEachin et al., 1993; Eldevik et al., 2009)
米国での実践情報:
ABAのゴールドスタンダードとされ、最も広く研究され、効果が確認されている療育法。
特に重度ASD児の親に高い支持を受け、年間数千ケースが実施されている。
全米50州で保険適用(例: CPTコード97153「適応行動治療」)。
カリフォルニア、ニューヨークなどの州ではリソースが豊富で、民間クリニックも多数存在。
ただし、保険の制約や専門家不足により、週20〜30時間が現実的な介入時間(Rogers, 2012)。
ITパパの感想:
ASD自体に対する改善が大というエビデンスの強さが最大の魅力。批判もあるが、EIBIが最も広く研究され、一定の効果が確認されているのは事実。
ESDM(早期スタートデンバーモデル)
強度:週15〜25時間。個別による遊びベースの自然なアプローチ。
効果の強さ:
IQが15〜20ポイント向上(Dawson et al., 2010)
言語・社会性の改善が確認されている(Vivanti et al., 2017)
EEG(脳波)研究で、介入後の脳の反応が定型発達児に近づくことが確認された(Dawson et al., 2012)
米国での実践情報:
EIBIよりも新しいアプローチで、親子関与が前提。
カリフォルニア(UC Davis発祥)やコロラドで特にメジャー。
ABAの一種として一部保険適用(州ごとに異なる)。
認定セラピストの数が少なく、提供できる施設が限られている。
コミュニティ試験(Vivanti et al., 2014)では、現実的な介入時間は週10〜20時間程度。
ITパパの感想:
EIBIよりも親しみやすく、効果も比較的高いバランスの良い選択肢。ただし、親もトレーニングニングを受ける必要であることに注意。
SST(ソーシャルスキルトレーニング)
強度:週数時間〜10時間。グループ形式が主流。
効果の強さ:
社会的行動が20〜40%改善(Bellini et al., 2007)
PEERSプログラムなどの体系的トレーニングで効果が確認されている(Laugeson et al., 2012)
ただし、言語や認知機能の向上には限定的な効果しかない(Gresham et al., 2001)
米国での実践情報:
教育現場では普及しているが、ASDの早期介入としては主流ではない。
PEERS(Program for the Education and Enrichment of Relational Skills)などの標準化プログラムが10代向けに人気。
SST単独では保険適用されず、ADHDや社会不安障害向けの心理療法としてカバーされることがある(例: 精神保健コード 90834「心理療法45分」)。
ITパパの感想:
社会性を伸ばすのに有効だが、言語・認知機能の発達にはあまり効果が期待できない。早期療育として単独で選ぶものではないような。
ITパパの結論:日本の基準じゃ、全然足りない
ここまでEIBI、ESDM、SSTの違いを比較してみたけど、ひとつ確信したことがあります。
「日本の療育、強度が足りなすぎるんじゃないか……?」
米国のEIBIの研究を見る限り、本気で効果を出すなら週20〜40時間が基本。しかも、これを個別療育のみで満たすことが条件になっている。マイルドなESDMを基準にしても、週に最低15時間は必要。
でも、日本の療育の一般的な支給日数は月10回前後(=週2〜3回、1回1〜5時間)で、人によっては週2日で合計2、3時間なんて場合も。これでは、ESDMの最低ライン(週15時間)にすら遠く及ばない。
「せっかく療育を受けるのに、こんなに少なくて意味があるのか?」
日本の早期療育の取り組みの弱さに絶望しました。
早期療育そのものは、厚生労働省も「児童発達支援ガイドライン(2019年版)」で推奨しているのに、日本の療養の取り組みは、本当に話にならないほどに強度、特に時間の長さが足りていないんです。
タクヤの療育を本気で考えるなら、日本の普通の基準に合わせるのではなく、自分で必要な水準に引き上げるしかありません。
そのためには、どうやって日本の制度を最大限活用するか? どうすれば強度を確保できるのか?
次のステップは、そこを考えることです。
続く。
付録:その他の療育アプローチを網羅
EIBIやESDMに絞る前に、せっかくだから他の療育アプローチも徹底的に調べみました。ここでは、日本ではあまりメジャーではないけど、海外で一定の実績がある療育法を簡単にまとめてみます。
1. TEACCH(ティーチ・プログラム):環境を整えて学ぶ療育
特徴
割と歴史が古く1960年代に米ノースカロライナ大学で開発。
視覚的なスケジュールや構造化を活用し、子どもが環境の変化に適応しやすいようにする。
「自然に行動を身につける環境を作ること」によって、自然に行動させる(例:鉛筆の持ち方を示したイラストを机の前に置く)。
ここに分類しちゃったけど日本でも使われています。
研究データ(Mesibov et al., 2004)
TEACCHを受けた子どもは、日常生活スキルや学校適応の向上が見られた。
ただし、言語やIQの向上にはそこまで強く影響しない。
2. PRT(Pivotal Response Treatment):ABAを進化させた「動機付け重視」の療育
特徴
ABA(応用行動分析)をベースにしつつ、より自然な環境で行うアプローチ。
子どもの「やる気」(動機付け)を引き出すことを最優先にする。
たとえば、タクヤが「ボール」を言えたら、ご褒美にボール遊びをする、といった具合に、自然な流れで学習を進める。
ESDMと同じく自然なやりとり重視。ESDMの方がコミュニケーション寄りで、PRTはより広範囲な行動変容。
研究データ(Koegel et al., 2014)
PRTを受けた子どもは、言語や社会的スキルの向上が見られる。
EIBIよりも柔軟な方法で、親が家庭で取り入れやすい。
ただし、強度が低めな分、EIBIほどの劇的な効果は期待できない。
3. Floortime(フロアタイム):子どもの感情に寄り添う関係性重視のアプローチ
特徴
DIRがベースの理論でプログラムがFloortime。
子ども主導のアプローチ。
大人が子どもの興味に寄り添い、一緒に遊びながら発達を促す。
言語や社会性を感情のつながりを通して育てる。
研究データ(Greenspan & Wieder, 2006)
Floortimeを続けた子どもは、社会性とコミュニケーションスキルの向上が見られた。
ただし、エビデンスの蓄積が少なく、ABAほどの効果は明確ではない。
4. RDI(Relationship Development Intervention):社会的関係性と柔軟思考を育む
特徴
親子の関係性を重視し、「適応力」や「柔軟な思考」を伸ばすことに特化。
自然なやり取りの中で、社会性や問題解決能力を高めていく。
研究データ(Gutstein, 2009)
ASDの子どもにRDIを実施すると、社会的な関係性の改善が報告されている。
ただし、効果が出るまでに時間がかかるため、長期的な取り組みが必要。
5. SCERTS(スカーツ・モデル):社会性、感情調整、支援環境の統合アプローチ
特徴
「社会性」「感情の調整」「支援環境」の3つを軸に発達をサポート。
ABAよりも自然な発達を重視し、日常生活の中で学んでいくスタイル。
学校や家庭との連携も強調される。
研究データ(Prizant, 2003)
SCERTSを受けた子どもは、情緒の安定や社会的相互作用の向上が見られた。
ただし、EIBIのようにIQ向上や言語発達に特化したものではない。
参考文献(References)
参考文献(References)
EIBIの歴史的基盤
Lovaas, O. I. (1987).
Behavioral treatment and normal educational and intellectual functioning in young autistic children.
Journal of Consulting and Clinical Psychology, 55(1), 3–9.
→ EIBIの基盤となるRCT研究。IQ向上や通常学級進学率の向上を示した画期的な研究。
DOI: 10.1037/0022-006X.55.1.3Smith, T. (2001).
Discrete trial training in the treatment of autism.
Focus on Autism and Other Developmental Disabilities, 16(2), 86–92.
→ EIBIの主要手法であるDTT(離散試行訓練)の詳細な解説。
DOI: 10.1177/108835760101600204
EIBIの効果検証とメタ分析
Eldevik, S., Hastings, R. P., Hughes, J. C., Jahr, E., Eikeseth, S., & Cross, S. (2009).
Meta‐analysis of Early Intensive Behavioral Intervention for children with autism.
Journal of Clinical Child & Adolescent Psychology, 38(3), 439–450.
→ EIBIのメタ分析。IQ向上の効果は認められるが、Lovaas (1987) のような劇的な改善は再現されていないことを指摘。
DOI: 10.1080/15374410902851739Howlin, P., Magiati, I., & Charman, T. (2009).
Systematic review of early intensive behavioral interventions for children with autism.
American Journal on Intellectual and Developmental Disabilities, 114(1), 23–41.
→ EIBIの長期的な有効性を検証し、研究ごとの結果のばらつきを指摘。
DOI: 10.1352/2009.114:23-41Eikeseth, S. (2009).
Outcome of comprehensive psycho-educational interventions for young children with autism.
Research in Developmental Disabilities, 30(1), 158–178.
→ EIBIの長期的な効果に関するレビュー。DTTと自然派アプローチの比較を含む。
DOI: 10.1016/j.ridd.2008.02.003
EIBIへの批判と代替アプローチ
Gresham, F. M., & MacMillan, D. L. (1998).
Early intervention project for children with autism: An intervention in search of data.
Behavior Therapy, 29(4), 689–705.
→ EIBIの効果のばらつきや、DTTの限界について批判的に論じた研究。
DOI: 10.1016/S0005-7894(98)80028-0Prizant, B. M. (2015).
Uniquely Human: A Different Way of Seeing Autism.
Simon and Schuster. ISBN: 978-1476776248
→ ABA批判の文脈でEIBIに言及し、「機械的すぎる」「子どもの個性を尊重していない」との指摘を行う。Sandbank, M., Bottema-Beutel, K., Woynaroski, T., Thiemann-Bourque, K., Feldman, J. I., & Yoder, P. (2020).
Systematic review and meta-analysis of early intervention for young children with autism spectrum disorder.
Psychological Bulletin, 146(6), 491–523.
→ EIBI、ESDMなどのASD早期介入を比較し、EIBIの優位性が必ずしも明確でないことを示す。
DOI: 10.1037/bul0000227
ESDMの理論的基盤
Rogers, S. J., & Dawson, G. (2010). Early Start Denver Model for Young Children with Autism: Promoting Language, Learning, and Engagement. Guilford Press.
→ ESDMの公式マニュアル。理論、実践、ケーススタディが詳細に解説されている。Dawson, G., Rogers, S. J., Munson, J., Smith, M., Winter, J., Greenson, J., Donaldson, A., & Varley, J. (2010).
Randomized, controlled trial of an intervention for toddlers with autism: The Early Start Denver Model. Pediatrics, 125(1), e17–e23.
→ ESDMのRCT(無作為化比較試験)研究。ESDMがIQ向上と社会性改善に効果があることを示す。
DOI: 10.1542/peds.2009-0958Vivanti, G., Dissanayake, C., Zierhut, C., Rogers, S. J., & Dawson, G. (2017).
Predicting developmental outcomes in autism spectrum disorder: The role of participation in early intervention. Journal of Autism and Developmental Disorders, 47(3), 921–931.
→ ESDMの「ジョイントアクティビティルーティン(JAR)」の理論について言及。
DOI: 10.1007/s10803-016-3006-5
ESDMの効果検証と批判
Dawson, G., Jones, E. J., Merkle, K., Venema, K., Lowy, R., Faja, S., Kamara, D., Murias, M., Greenson, J., Winter, J., Smith, M., & Rogers, S. J. (2012).
Early behavioral intervention is associated with normalized brain activity in young children with autism. Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry, 51(11), 1150–1159.
→ ESDM介入後、ASD児の脳波パターンが定型発達児に近づいたことを示す研究。
DOI: 10.1016/j.jaac.2012.08.018Sandbank, M., Bottema-Beutel, K., Woynaroski, T., Thiemann-Bourque, K., Feldman, J. I., & Yoder, P. (2020).
Systematic review and meta-analysis of early intervention for young children with autism spectrum disorder. Psychological Bulletin, 146(6), 491–523.
→ ESDMを含むさまざまなASD早期介入のメタ分析。EIBIと比べてESDMが明確に優れているとは言えないとの指摘。
DOI: 10.1037/bul0000227Howlin, P., Magiati, I., & Charman, T. (2009).
Systematic review of early intensive behavioral interventions for children with autism. American Journal on Intellectual and Developmental Disabilities, 114(1), 23–41.
→ EIBIとESDMの効果の再現性を検証した研究。ABA全般の批判も含む。
DOI: 10.1352/2009.114:23-41Prizant, B. M. (2015). Uniquely Human: A Different Way of Seeing Autism. Simon and Schuster.
→ ABA批判の文脈でESDMも言及される。ABAが「行動修正」に偏りすぎる問題点を指摘。
ABA(応用行動分析)
Skinner, B. F. (1953). Science and Human Behavior. The Macmillan Company.
ISBN: 978-0029290408
SSTに関する主要論文・書籍
Skinner, B. F. (1953). Science and Human Behavior. New York: Macmillan.
→ オペラント条件付け(ABAとSSTの基盤)の理論を確立。Bandura, A. (1977). Social Learning Theory. Englewood Cliffs, NJ: Prentice-Hall.
→ 「観察学習」理論を提唱し、SSTのモデリング手法の基盤を形成。Beck, A. T. (1976). Cognitive Therapy and the Emotional Disorders. New York: International Universities Press.
→ 認知行動療法(CBT)がSSTに統合される基盤を確立。Bellack, A. S., Mueser, K. T., Gingerich, S., & Agresta, J. (1980). Social Skills Training for Schizophrenia: A Step-by-Step Guide. New York: Guilford Press.
→ 統合失調症患者のリハビリテーションとしてのSSTの確立。Liberman, R. P., DeRisi, W. J., & Mueser, K. T. (1986). Social Skills Training for Psychiatric Patients. New York: Pergamon Press.
→ 精神疾患の社会復帰支援としてSSTの基礎を確立。Gresham, F. M., Sugai, G., & Horner, R. H. (2001). "Interventions for Social Skills Deficits in Autism Spectrum Disorders." Behavior Modification, 25(5), 741-759.
→ SSTがASD児の対人スキル向上に有効であるが、スキルの汎化に課題があることを指摘。Bellini, S., Peters, J. K., Benner, L., & Hopf, A. (2007). "A Meta-Analysis of School-Based Social Skills Interventions for Children With Autism Spectrum Disorders." Journal of Autism and Developmental Disorders, 37(8), 1318–1329.
→ SSTの有効性を示したメタ分析。Laugeson, E. A., & Frankel, F. (2012). PEERS® for Adolescents: Social Skills Training for Teenagers with Developmental and Autism Spectrum Disorders. Routledge.
→ SSTの体系的プログラム「PEERS」の詳細なマニュアル。Goldstein, A. P., & McGinnis, E. (1997). Skillstreaming in Early Childhood: A Guide for Teaching Prosocial Skills. Research Press.
→ 体系的なSSTプログラム「Skillstreaming」を開発。
その他の療育アプローチ
TEACCH(ティーチ・プログラム)
Mesibov, G. B., Shea, V., & Schopler, E. (2004). The TEACCH approach to autism spectrum disorders. Springer.
ISBN: 978-0306486470
PRT(Pivotal Response Treatment)
Koegel, R. L., Koegel, L. K., & McNerney, E. K. (2001). Pivotal areas in intervention for autism. Journal of Clinical Child Psychology, 30(1), 19–32.
https://doi.org/10.1207/S15374424JCCP3001_3Koegel, R. L., Ashbaugh, K., Koegel, L. K., Detar, W. J., & Regester, A. (2014). Increasing social behaviors in adults with autism spectrum disorder. Research in Autism Spectrum Disorders, 8(3), 164–176.
https://doi.org/10.1016/j.rasd.2013.12.011
Floortime(DIRモデル)
Greenspan, S. I., & Wieder, S. (2006). Infant and early childhood mental health: A comprehensive developmental approach to assessment and intervention. American Psychiatric Publishing.
ISBN: 978-1932466102
RDI(Relationship Development Intervention)
Gutstein, S. E. (2009). The RDI Book: Forging new pathways for autism, Asperger's and PDD with the Relationship Development Intervention program. Connections Center.
ISBN: 978-0977718636
SCERTS(スカーツ・モデル)
Prizant, B. M., Wetherby, A. M., Rubin, E., & Laurent, A. C. (2003). The SCERTS model: A transactional, family-centered approach to enhancing communication and socioemotional abilities of children with autism spectrum disorder. Infants & Young Children, 16(4), 296–316.
https://doi.org/10.1097/00001163-200310000-00004Prizant, B. M., Wetherby, A. M., Rubin, E., Laurent, A. C., & Rydell, P. J. (2006). The SCERTS model: A comprehensive educational approach for children with autism spectrum disorders. Brookes Publishing.
ISBN: 978-1557668189