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自閉症の発語練習:離乳食のやりとりにABA(ESDM)を取り入れる

(このノートは、「ITパパが療育を学び、実践する中で考えたことや気づいたことをまとめた学習ノートです)


1歳半の息子、タクヤの発達を支えたい一心で、ABA系のEIBIやESDM、その他の療育アプローチを勉強したITパパ。早速自宅での療育に取り入れ始めました。

ITパパが最近学習したことは、別にまとめてあります。


離乳食のおにぎりのおかわり。これにワンステップ加えればいいのでは?


家庭でもできることはないかと考えたITパパ。目を付けたのは、毎日繰り返される食事のシーン。

タクヤは自閉症スペクトラムの影響で、まだスプーンを上手く使えません(ここも発達の遅れ)、一口サイズのおにぎり(オニギラズとも呼ぶらしい)が1歳半になった今でも主食です。

おにぎりはスマイルママの手作りで、夕方から仕込んで作っています。ご飯を海苔で挟んだ上に、最後にキッチンバサミで一口大に切る手間が結構大変。なので、食事時には半分のおにぎりを完成させてお皿に乗せて、タクヤに食べさせている間に、スマイルママは残りの半分をキッチンバサミで切って、タクヤが食べきった分を、お代わりとして補充しています。

「これだ……!」

療育方法の知識を付けたITパパは、このプロセスにABAを取り入れることを思いつきました。

ITパパ「ねえスマイルママ、タクヤがおにぎりの最初のお皿を食べきったら、一度お皿を取り上げて、お皿の上に、タクヤに見えるように、追加のおにぎりを、1,2,3,4……と数えながら置いて。そして、お代わりのオニギリを乗せたお皿をタクヤに見せて、オニギリを指さして『欲しい?』と尋ねて。そこでタクヤが『欲しい』とか、何か声を出したら、あげるようにして

スマイルママは素直にITパパのアイデアを受け入れてくれるので、早速話をしたその場で実践を始めました。

スマイルママ「ねえタクヤ。オニギリのお代わり、欲しい?」

タクヤは、最初は上手く反応できません。無言で手を伸ばしたり。そこで、5~10秒ほど反応なかったら、また「欲しい?」と聞いてあげます。それでも反応がなかったら、また指差しをしたりして促します(ABAのセラピストには反応を待つ10秒ルールというものがあるらしい)。


タクヤは最初は不思議そうに顔をあげたり、そっぽむいてしまう事もありました。

ただ、そのうち「あー」のような声を出す事もあります。そうしたら、すぐに追加のおにぎりの載ったお皿を渡して、拍手して褒めてあげます。

これは、やり方としてはABA(応用行動分析)がベースになっていますが、実際には柔軟にやりとりをしているので、ABAに発達心理学をミックスさせたものを採用するESDM(早期スタートデンバーモデル)にも近いかな。

ESDM、ABAの観点から、この療育を解説します



このやりとりをESDMに当てはめると、次のようになります。

  • 準備:食事の時間に、お皿に半分のおにぎりを乗せ、タクヤの前に置く。スマイルママが笑顔で「見て、おにぎりだよ!」と軽く声をかける。

  • きっかけ:タクヤが自然に手を伸ばすのを待つ。手を伸ばしたら、スマイルママが「欲しい?」と聞く。

  • やりとり:タクヤが「あー」と声を出したら、「すごいね!」と大げさに褒めておにぎりを渡す。声がなくても手を伸ばすだけでも「欲しいんだね!」と反応しつつ、少しあげて様子を見る。反応がなかったら「食べる?」と別の言い方で聞いて、少し待つ。

  • 拡張:おにぎりをあげた後、「おいしいね?」と聞いて、タクヤの笑顔やうなずきを拾って「うん、おいしい!」と一緒に喜ぶ。

  • 調整:楽しそうなら続けるし、嫌がったら少し休憩。タクヤのペースに合わせるのがポイント。

ESDMは、タクヤの興味(おにぎり)を活かして、自然なやりとりの中で発語や社会性を育てる方法。声が出なくても小さなサインを拾って、双方向のコミュニケーションを増やしていくのが特徴です。

より厳格にABAに当てはめると、次のようになります。

  • 前提条件:お皿に半分のおにぎりを乗せ、「欲しい?」と明確に聞く。おにぎりをタクヤに見える位置に置いて、発声を誘発する。

  • 行動:目標は「声」を出すこと。「あー」でもOKだけど、具体的で観察可能な反応に絞る。

  • 結果:声が出たら「すごいね!」とおにぎりを即渡す。出なかったらおにぎりをあげず、「もう一回、『欲しい?』だよ」と繰り返す。

  • データ:1回の食事で「10回中何回声が出たか」を記録して、次回の調整に活かす。

ABAだと、ルールが明確で「声が出ない=報酬なし」が徹底されます。タクヤが声を出さないと、スマイルママはおにぎりの載ったお皿を手に持ったまま待つ形に。ESDMより「訓練感」が強くなり、柔軟さは減りますが、発声の強化に特化します。

……ただ、実はこのノートを書いていて気づきました。ITパパがスマイルママに教えた方法は、ESDMにおける重要なステップが抜けているので、かなりABA色の強い形で行われていました。

反省:ESDMのここが不足していて、ABAになっていました


反省点として、タクヤのケースを見直してみると、ESDMの「準備」と「きっかけ」の一部が抜けちゃってるんです拡張もないです。具体的には:

  • タクヤの自発性を待つステップがない:ESDMだと、タクヤが自然に手を伸ばすとか、おにぎりに目を向けるのを待って、そこから「欲しい?」につなげるのが大事。でも、今はタクヤが注意を向けるかどうかに関係なく最初から「欲しい?」と聞いてて、タクヤの自発的な動きを拾えてない。これだと、ABAみたいに「大人が指示を出して反応を待つ」形に寄っちゃう。(実は、「1,2,3,4...」と数えるのは、タクヤが数字を喜ぶから別でやってたのを混ぜたんだけど、それで興味を引く準備にはなってる。ただ、そこから自発性を待たずに聞いてるから、やっぱりABA寄り)

  • 拡張が抜けてる:声が出たらおにぎりをあげて終わりで、「おいしい?」とか次のやりとりに広げてない。ESDMは双方向のコミュニケーションを増やすのが特徴だから、おかわりを渡した後に、「ねえ、おいしい?」と聞いて、タクヤの反応をもう一歩引き出すステップが必要

タクヤが手を伸ばしても、手を伸ばさなくても、スマイルママが「欲しい?」と聞いてしまっているから、結果的に「指示→反応」のABAっぽい流れになってる。しかも、「おいしい?」に繋げてないから、やりとりが1往復で終わっちゃってるのも、もったいないなと。

今後の改善案

現在のABA色の近い方法を、もっとESDMに近づけるなら:

  • 準備を丁寧に:おにぎりを置いて、「見て、おにぎりだよ!」と声をかけた後、5~10秒待ってみる。タクヤが目を向けたり、少しでも動いたら「欲しい?」につなげる。

  • 自発性を拾う:手を伸ばさなくても、「おにぎりを見る」とか「何か音を出す」をきっかけにしてみる。タクヤの小さなサインを見逃さない。

  • 拡張を追加:声が出たらおにぎりをあげつつ、「おいしいね?」と聞いてみる。笑顔やうなずきでも「うん、おいしい!」と返して、やりとりを増やす。

こうすると、タクヤのペースに寄り添いつつ、発語や社会性が育つESDMらしい形になるかな。


でも、今のABA寄りのやり方は始めて数日なのだけど、声が出る回数はハッキリと増えました。これまでは、おかわりのタイミングで発語はなかったけど、自然と「欲しい?」の呼びかけに対して、スマイルママの顔を見たり、声を出して応じるようになりました(ABAだから反応しないと進まなかったんですよ)。

この日記を書いている今日は、なんと毎回弱々しくだけど「はい」と答えていました。これが明日も続いたら明確な改善です。

そう考えると既に成果は出ているので、無理に変えなくてもいいのかもしれません。スマイルママと相談して、少し修正を加えながら、特に「ESDM」の拡張を取り入れていこうかな、と考えています。

ITパパは、リアルタイムで発達遅延の療育の勉強と実践を実行しています。ここでは今後とも得た知識と経験をアウトプットしていきたいと思います。


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