友達になる

今日は口伝が休みで、
予定されていた会食もキャンセル。
ゆっくり１人の時間が楽しめる１日だった。

時々は
こんなことも良い。

毎日沢山の人と一緒にいて
しかも
皆を幸せにする為に仏教を学ぶのだという
大乗の同じ志を持って集まった人々と一緒にいるので、

直接知り合いにならなくとも
全ての参加者に近しい感覚がある。

それでも毎日朝7時から夕方5時まで
一所に座って口伝を聴き続けているので
休みは良い息抜きになった。

法話会場は不思議な場所で

普段だったらこんなに沢山の人と
話す事はしないし、
連絡先を交換する事もしないけれど

この場所にいると何故か
ただ同じ道で会うだけで
古くからの知人のように
気安く話をしてしまう。

すぐ友達になる。

誰でもウェルカムなこの感覚は、
誰にでも嬉しく感じられるものだろう。

毎日の読経の中に、
仏法の障害を取り除く為の言葉がある。

善いことをしていると邪魔しに来る存在があるということで、
そういう迷惑な存在を
般若の智慧で斥ける。

唱えながら手を叩き
魔を祓う言葉だ。

最初の数日間、
頂いた読経本の中にある言葉を
皆に合わせてそのまま読んでいたのだが、
ある時思い出した。

数年前、ダラムサラでの
ダライ・ラマ法王法話中の言葉である。

菩提心(皆を幸せにする為に仏陀になろうと強く思う心)と
空性の見解の２つを
最も大切に修行していると
いつも説かれている法王。

「皆を幸せにしようと言いながら、
仏法の邪魔者を斥けようとするのは
納得がいかない。

般若波羅蜜の深い意味を考え
言葉を常に唱えることによって
ワルな魔物全てを
斥けよ！　バチン！(手を叩く音)
無くなれ！　バチン！
静まれ！　バチン！
寂滅せよ！　バチン！

と斥けていたら、
一切有情(全ての心を持つ者)を幸せにできないではないか。
魔物だって有情である事は同じ。
相手の幸せを祈れば、悪さもしない。

なので自分は、
この言葉は唱えない。

灌頂などの特別な作法の時
魔を斥ける為の供養があるが、
それも厳しいものではなく
寂静の優しいやり方でやっている。」

観世音菩薩の変化
さもありなん
と感心したが、

結構感動したのだった。

という訳で、
思い出してしまったからには
無視する訳にはいかない。

なので、こう言うことにした。

般若波羅蜜の深い意味を考え
言葉を常に唱えることによって
ワルな魔物全てと
友達になる！　バチン！(手を叩く音)
友達になる！　バチン！
友達になる！　バチン！
友達になる！　バチン！

１人だけ言っていても
誰にも聞こえないかもしれない。

それでも
友達になる！
と沢山言ってるだけで

自分は
余り怖い思いをすることはないし、
魔物だって
１人でも味方がいるなら、
そう悪いこともしないだろうと
勝手に思っている。

明日も口伝だ。

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