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他空派の宗論 18

第二項[備考]
菩薩地の分類の要約は、『現観荘厳経論』より説かれたごとく、それも第一地の時に法性を全てに行き渡るさまで悟り、第二地の時に法性を最高の意味として悟り、第三地の時に経証は法性を悟るに合致した因であると確信したことによって、法性を合致した意味のものとして悟り、経証の教えを信じる信仰を強化する。第四地の時に法性を執着と思い込みの無い意味として悟り、第五地の時に法性をまさしく平等に悟って、器(世界)と内容物(有情)は心相続が別であると捉えることから反し、慢を殊更に捨て去った面から悟り、第六地の時に法性は全く清浄な空であると特別な悟り方から悟り、第七地の時に法性をニ元の発生が全てより寂滅したさまで悟り、第八地の時に法性を自然成就の門より悟り、第九地の時には法性を、それぞれに知覚する四智から、有情を完全に熟させることが自在になる門から悟り、第十地の時には法性を、兜率天への転生をみせるなど、種々の神変を示すことが自在になる門より悟るのである。

菩薩の地とは、
大乗の修行に入った者(菩薩)が
空性を直覚した時から入り、上がっていく
意識のステージをいう。

「直覚」とはよく使われる言葉だが、
思考を通さず直(じか)に空性を知覚するので
「直覚する」という。

大乗の発心をして菩薩になり
智慧(空性を悟る智慧)と
方便(空性を修する以外)の修行を始め、

思考で空性を正しく知り、瞑想を深め、
ついに思考を通さず直接に空性を悟った時
菩薩の一地が始まる。

地にいる菩薩は、
全てが空性を直接悟ったことのある
聖者ばかり。

菩薩地には十段階あり、
これを卒業すると仏陀になる。

第一地 歓喜地(かんぎじ)
第二地 離垢地(りくじ)
第三地 発光地(ほっこうじ)
第四地 焔慧地(えんねじ)
第五地 難勝地(なんしょうじ)
第六地 現前地(げんぜんじ)
第七地 遠行地(おんぎょうじ)
第八地 不動地(ふどうじ)
第九地 善慧地(ぜんえじ)
第十地 法雲地(ほううんじ)

菩薩地は、
どれだけ心の汚れを排除して
はっきりと空性を悟れるかによって
上がっていく。

空を見ていることは同じでも
雲がだんだん晴れていくと
空がはっきりと見えるようになることに
似ているそうだ。

本項では、
それぞれの段階で
どのように空性を悟っているのかを
説明してくれる。

とても深い。

第三地では、
(空性をより明らかに直覚したことによって)
法性について経典・論書に書かれていることが正しいと確信して、
書かれている通りの意味だと知り、
テキストは正しいことを言ってるなぁと
信仰心を強くする。

第五地では、
(空性=法性を直覚すると
主客二元が無い状態で空性と一つとなるので)
法性は全てに全く等しくあると知り、

瞑想に入る前に経験していた世界も
意識に映っていただけのもので、
自分の心とは別モノであると捉えていた
思い込みから離れ、

自分を他と区別して捉える自我を
殊更に捨て去った状態で
法性を悟る。

第九地の「それぞれに知覚する四智」とは、
菩薩が、主客二元として現れる
さまざまな世俗の法(現象)を
それぞれの定義を誤らずに知る四つの方向で、

①法(現象)をそれぞれ正しく知る
②意味をそれぞれ正しく知る
③言葉の説明をそれぞれ正しく知る
④智慧をそれぞれ正しく知る

となる。

法性の悟り方は更に深くなる。

ここでは文字の意味だけ追って

その時になれば納得するだろうと
希望的観測をもって祈る。

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