菩提心の称賛《宝珠の灯》第258偈
258)宝珠の菩提心を失えば
利他行をしても偽物である。
果実袋が空っぽの樹は
美しくとも飢餓をなくさない。
同じことをしても、
利他の場合もあるし、
自利のみの場合もある。
それは
その者の動機にかかっている。
他者に施しをして
他者が利益を得たとしても、
ただ相手の幸せを思って施すか
施しをしたことによって
自分の立場を良くする等
根底に自らの利益を量りながら施すかで
本物か偽物かに分かれる。
良い悪いではなくて、
本物の利他か
利他のように見える自利かに
分類が分かれるということ。
利他から得られる
喜びの甘露を味わいたい者には
利他のように見える自利の行為では
満足感が得られない。
他者を助けることで自然に得られる
福徳の巡り合わせに飢えた者が、
スカスカな果実袋の果物を食べても
本当に必要な福徳の甘い果汁は
得られない。