菩提心の称賛《宝珠の灯》第116偈
116)菩提心が、布施と、
持戒、忍辱、精進、禅定と、
真如を了解する智慧の全てを
殊勝なものにするのである。
「殊勝」とはあまり使う言葉ではないが、
「とりわけ優れているさま。格別。」と、『大辞泉』にある。
布施:差し出す心。
持戒:自他を害さぬよう慎む心。
忍辱:困難な状況にあり、怒りや嫌悪を感じても無理もない状況にありながら受け入れ、怒らず、穏やかにある心。
精進:善を行うことを喜ぶ心。
禅定:一点集中して安定する心。
智慧:ものごとを正しく知る心。本偈では空性について了解する智慧。
「施しをする」行為を「布施」であると世の人は思うが、
波羅蜜の授業で習った話では、
「布施」などの本質は心にある。
修行の進行状況は、
目に見えて何をどれだけしたかというより、
その人の心の状態ではかるものだから。
さて、「布施」など六種類のものごとを、
それぞれ修行することはできるけれど、
それが「波羅蜜」という名を持つには、
その後ろ盾に菩提心が無ければならない。
同じことをしていても、
その目的によって、その結果も違ってくる。
同じ千円を稼いでも、
一万円の本を買うために貯めるか、
今日のランチで使ってしまうかの違いである。
大きな結果を得るために据えられた目標によって、
今ここで行う小さな善行も、
仏智・仏地という測り知れない智慧と福徳を持つ結果につながる。
殊勝なものになるのである。
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