菩提心の称賛《宝珠の灯》第83偈
83)屠殺人は命のかなめに通じている。
大工は木のかなめに通じている。
偉大な心をもつ王子、菩薩は、
菩提心のかなめに通じている。
皆に褒められる仕事ではないけれど、
家畜を屠ることを生業として入る者は、
できるだけ苦しまず、短い時間で命を断つことができるように、
命のかなめが何処にあるかを知っているものだ。
他の者には分らない。
木を使って小さな道具から大きな家まで作り上げる大工も、
材料の木の性質や強度、
使う角度や、作業後の木の慣れ方など、
木のかなめを知ったうえで木を使う。
これも、職人でない者にはなかなか分からない。
全ての生き物を思って、全ての者の利益をしようと誓った仏陀の子、菩薩は、
自らの中にある菩提心から、
相手に応じて最適の助け方で助けようとする。
菩薩初心者は、
熱意はあっても、対応で時々外すこともあるかもしれないが、
経験を積んでいくことで、
利他行の「かなめ」を学んでいくことになる。
学ぶ側から、ついには「かなめ」に通じ、
それほど困難を覚えず、利他行に携われるようになるのだろう。
これも、
自分だけの利益を考える人には理解しがたい、
隠された「かなめ」であるに違いない。
菩提心のアンテナをもつ者のみが、
アクセスできる「かなめ」なのかもしれない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?