菩提心の称賛《宝珠の灯》第256偈
256)菩提心はひたすらに
自利を妖毒のごとく見る。
菩提心はひたすらに
利他を甘露のごとく見る。
それを摂るべきか、
摂るべきでないか。
自利と利他で考える。
「妖毒」とは妖怪の毒。
妖怪は、
魔物ほど強くない。
自利は
それを摂取した者を
酷く怖しいということはないけれど、
何をしているのかよく分からない
妖怪のようにしてしまうのか。
それに対して
他者の役に立つことは
甘く滋養のある飲料のごとく。
摂ることで
他者の役にも立ち
自らも健全に育む。
しかしながら、
利他行をしようと頑張るより、
相手(他者)が好きだから
何か役に立つことをしようと
自然に行うことの方が長続きする。
菩提心が生じた時には、
全ての衆生は
既に近しい相手になっている。
「他者」というより
「我が友」。
ならば菩提心にとっての「利他」とは
既に仲良くなった他者への奉仕で、
「自利」とは
仲良しの他者を除いた独りぼっちの
自分の利益。
何だか可哀想な
妖怪「自利」なのだ。