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菩提心の称賛《宝珠の灯》第18偈
18)豊かに茂り、鈴なりの果が熟す樹木は、
地の滴によってである。
輪廻と涅槃にある限りの善益は、
菩提心によってである。
チベット語は、短い言葉で多くの意味を表す。
「弁(’dab)」という一語で、広葉樹の葉と花の花弁も示す。
「弁と果が豊かに熟した樹木」が直訳。日本語は少し変えた。
「地」も、チベット語では「保持するもの(’dzin ma)」。
修辞法で「地」を表す。
水を保持するものの滴とは、水のこと。
樹木が大きく茂り、実を豊かにつけることは、
大地が保持した一滴ずつの水分によってである。
大地に張り巡らされた根っこから、樹は少しずつ少しずつ水を吸い、
太い幹に集め、更にそれぞれの枝葉に分配し、
充分な花をつけ、実を熟させる。
同様に菩提心も、
小さなそれぞれの場面で善業を積み、
仏陀への道という大きな幹に集約し、
それぞれの場面で、広く衆生にその利益を分け与える。
偈の意味もさることながら、
この譬喩の選び方に、
クヌラマリンポチェの思惟の深さを感じる。
正直、今まで気付かなかった。