伊ボッコーニ大学 はるきさん「何度も取り組んだテーマが進路になった」
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■ なぜ Bocconi University(伊)国際経済・経営学部に決めた?
・高1までは何も目標がなかったが、GTE に参加しビジネスに興味がわく
能登: はるきさん、こんばんは! いまイタリアは何時ですか?
はるきさん: ちょうどお昼12時くらいです。
能登: スクリーンの背景は Bocconi University のキャンパスですか? さすがイタリアですね、建築物のデザインが素敵です。
はるきさん: はい。でも建築家は日本人のチームなんです。大学が高いお金を払って依頼して。
能登: そうなんですね(笑)
はるきさん: Bocconi University は、日本ではあまり知られていませんがヨーロッパでは非常に有名な大学で。ビジネスやエコノミクスすべてに専門性が突出しているんです。
自分は高校のときイタリアに留学していたので、また戻りたい気持ちがあって。イタリア、しかも自分が気になっていたミラノという都市にある大学だったのでここに決めました。
能登: 学部を決めたのはいつ?
はるきさん: International Economics and Management(国際経済・経営学部)に学部を決めたのは高校2年生の終わりくらいです。
ビジネスを学ぼうと決めたのは、高校1年生の夏に GTE サマースクールに参加したことが最初のきっかけです。
物は試しにと思って出てみたら、5日間ずっとハードスケジュールで。しかも GTE が終わった後も、半年間色々なレクチャーがあって、ピッチの作り方を学んで、『未来 2019』(※ 日本総合研究所が主催していた日本最大級のスタートアップ・ピッチコンテスト(当時))に出られるチャンスをもらえて。
そうやって半年間、ビジネスをかじって、「ああ面白いな、もっと深く学びたいな」と思ったのがビジネスに興味をもった経緯です。
・将来起業したくて Bocconi University に
能登: そういう経緯があったのですね。でも、アメリカだけでなくヨーロッパにもさまざまな大学がありますよね。その中で、はるきさんが Bocconi University(伊)に決めた決め手は何だったのでしょうか?
はるきさん: 日本にいたときはぜんぜん知らなかったのですが、この大学はヨーロッパでは非常に有名な大学で。どの大学に行こうか調べていたときに、「この大学を卒業すればその後のチャンスが格段にちがう」と分かったのが大きいです。
能登: 世界中から集まった周りの学生と、「どうしてこの大学を選んだの?」と話すことはありますか?
はるきさん: はい。でも実際、ヨーロッパ中から来た学生も「ランキングが高い大学だから来た」という人が多い(※ QS World University Rankings の Social Sciences & Management 部門で世界10位、Financial Time 誌のビジネススクールランキングでヨーロッパ5位)。
とくにイタリア人の学生はみんなエリートなので、ランキングを非常に気にしていましたね。
能登: 大学は将来のキャリアを作る過程にあると思いますが、はるきさんが学びたいことは何でしょう?
はるきさん: 自分は将来起業したくて、起業したときに必要な知識や理論を学びたくてこの大学に来ました。
起業、ビジネスといっても広いから、その中で自分は何を専門的にやりたいのか? そう考えて、Bocconi University の International Economics and Management(国際経済・経営学部)を選びました。
自分はミクロ経済学、数学、経営学、あとは論理的思考に関するセミナーを取っていますが、朝から晩まで毎日すごく忙しい。科目数は少ないのですが、とにかく量がすごく多くて速い。
例えば経営学は、企業のケーススタディーを数多く扱っていてとても楽しいのですが、組織論を2週間でこなし、それが終わると会計学で、2週間で企業の財務分析を学んだらそのまま試験があり、その後は損益分岐点の分析が始まる。と思ったら、すぐにぜんぜんちがう企業論が始まる、というすさまじいスピードで進むんです。
それだけたくさんの学びが得られるのと、大学がイタリア、ミラノにあるという立地が良い。ミラノはヨーロッパ経済の中心地のひとつで、これから台頭してくるヨーロッパ、EU 圏のマーケットで行われるビジネスのやり方や、EU 圏の市場を把握することができる。自分が将来何をやるにしても、Bocconi University で学ぶことはすごく良い基盤になると考えました。
能登: 将来やりたいことをすごく考えて、大学と学部を選んだのですね。
はるきさん: でもたぶん、自分が選んだ国際経済・経営学部というのは、ビジネスの中でも例えば「マーケティングを大学1年生のときから専門的に学びたい」という人には合わないと思います。
ビジネス、経済は扱う範囲がすごく広い。広いぶん学べる大学も多いので、大学だけでも総合大学の商学部や経営学部もあれば、ビジネススクールや社会科学に特化した大学なども選択肢に入って来る。
学部を選ぶときにも、数学は苦手で経営を学びたいという人が経済学部に行くと数学で苦労すると思いますし。
大学と学部を選ぶには、どのような専門的なスキルを学んで自分が将来何をやりたいのかを基準に考えたらいいと思います。
■ 高校時代はどんなことに力を入れた?
・高1までは何も目標なし。ネガティブなイメージのまま GTE に参加
能登: ビジネスを学ぼうと決める前は、何か目標があったのでしょうか?
はるきさん: ぜんぜん何も。すごく色々迷っていて。高校1年生のときは、自分はどこに進めばいいのか、将来何をするのかとすごくモヤモヤしていました。
能登: みんな悩みますよね。
はるきさん: 実は、親が会計の仕事をしているので、中学生のときに損益計算書やキャッシュフローの見方などを教えてもらったことがあるんです。でもそのときはビジネスが楽しいとはぜんぜん思えなくて。
高校1年生のときに、親に「GTE というプログラムがあるから出てみない?」と勧められましたが、「夏休みにイタリアから帰ってきて、やることがないからまあいいか」くらいで。能動的に参加した訳じゃないんです。
むしろ、ビジネスって何か難しそうだな、とネガティブなイメージを持っていました。勧められて、申し込んだら参加 OK になったから何となく参加しただけで。
それが実際に飛び込んでみたら、すごく楽しい環境だった。自分の先入観が打ち砕かれました。
能登: 嫌々ながら何となく参加した課外活動が、その後の進路選択につながったのですね。
はるきさん: はい。先入観を持たずに、とりあえずやってみるのが大切だなと実感しました。
能登: 本当にたまたま取り組んだ GTE が、進路選択の決定打になったんですね。
はるきさん: いえ、GTE だけだったら、たぶんそこで止まっていたと思います。
能登: 一回だけだったら、進路に影響はなかった?
はるきさん: はい。一回だけだったら「ああ大変だったな、でも楽しかったな」と、それで終わっていたかもしれません。
でもその後、未来 2019 まで行けたことが大きかった。
未来 2019 でピッチをすることになったので、ビジネスについて勉強せざるを得ない。ビジネスについて情報収集をしたり、プレゼンピッチを組み立てたり…… 半年間もビジネスのことを考え続けたのが、すごく大きかったです。
・周りの高校生や大人がロールモデルに
能登: はるきさんの中で、「自分の将来の道はビジネスだ!」と確信に変わったのはいつでしょう?
はるきさん: 周りの高校生や大人から刺激を受けたのが大きいです。
GTE サマースクールに行ったらすごく出来る高校生がたくさんいて、彼らと一緒にビジネスプランを作るという目標を共有して、意見交換をして、ハードワークをして…… 同じ高校生同士で共通の目標を達成することに充実感を覚えました。
能登: 未来 2019 は当時日本最大級のスタートアップ・ピッチイベントでしたが、具体的にどんな点が刺激になったのでしょう?
はるきさん: 自分たちは高校生でしたが、周りの人たちは全員大人、しかも起業家など実務経験豊富な大人ばかりで、すごい人たちがそろっていましたよね。
そんな大人が大勢集まって、色々な人が色々なビジネスプランをどんどんプレゼンしている。「これって楽しいな」って。みんな、社会を良くしていこうと行動している。
彼らを見ていて、「自分もできるんじゃないか」と可能性を感じました。自分たち高校生なら、もっと頭の柔軟さや創造性を使って何かできるんじゃないか。ビジネスを学んで、経験値を積めば、もっとアイデアを出せるんじゃないかって。それで、将来は起業したいと思うようになりました。
■ 受験にのぞむ高校生にメッセージを!
・高1までは色々活動して、現実的でなくていいから夢やアイデアを持つといい
能登: 中学生・高校生が目標を決めるにあたって、何かアドバイスはありますか?
はるきさん: 自分に正直でいることが大切だと思います。高校1年生までは、現実的でなくてもいいから夢やアイデアをたくさん持つことが大事。
高校2年生、3年生になると、自分の成績だったりこれまでの課外活動だったりで、本当にその夢やアイデアが可能か否か、現実味が増してくる。それで色々あったアイデアも絞れると思うんですよ。自分は高1の終わりに目標が見つかったので、進路を決断すること自体、あまり必要がなくなりました。
能登: 「目標が見つからないけど、とりあえず大学受験に有利な課外活動をたくさんする」というのはどうでしょうか?
はるきさん: 大学受験に有利だから課外活動をする、という考え自体は悪くないと思います。ただ、コンテスト受賞などの結果ばかりに集中すると、プロセスから学ぶ意識がそがれてしまうデメリットはあると思います。
中学や高1までは、まずはやってみることが大切。目標が定まれば自分の中に基準ができてくるので、その後はその基準に沿って課外活動を選ぶといいですね。
・多様な価値観を持つ人とディスカッションやプロジェクトをやってみる
能登: はるきさんはイタリアの大学に進学しましたが、アメリカやアジアの大学にはない、ヨーロッパの大学ならではのメリットはありますか?
はるきさん: うーん、アメリカやアジアで学ぶメリットもすごく大きいと思うので、確たる答えを出せないのですが……
個人的には、文化的多様性のある環境で学べるという面で、とても大きなメリットがあると思います。ヨーロッパは色々な国の集合体。自分が通う Bocconi University(伊)はヨーロッパのさまざまな国から生徒が集まる大学で、彼らと意見交換をしながら学べる。文化が多様だと、さまざまな意見に接することができます。
これは自分の見方なので実際はどうか分かりませんが、文化の多様性という面からいうと、アメリカは文化が一つはっきりあって、またアジアは文化的要素がある程度共通しているように思います。
ヨーロッパ中から集まった多様な文化的価値観を持つ生徒と議論して、彼らの意見を受け入れたり、自分の意見をアウトプットしたりしていると、多文化を理解するにはとても適していると感じます。
能登: はるきさんは将来の目標やロールモデルを課外活動で見つけましたが、まだ進路に迷っている人、何をすれば分からない人に、何かアドバイスはありますか?
はるきさん: とりあえず自分で何かを始めてみるのが一番手っ取り早いです。
そして、自分で何かやったことを X(Twitter)や Instagram などの SNS にアップする。SNS から、色々なことをしている生徒や学生団体とつながっていくことができます。人とのつながりから、また新たな課外活動が見つかるはずです。
とりあえず何か興味があれば、余計なことを考えずにやってみる。それができる高校生という時期は、大学生になったいま振り返るととてもいい時期なのだなと感じます。
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