国際教養大学 せなさん「将来キャリアが見えたことで受験を突破」
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■ なぜ国際教養大学に決めた?
・決め手は、授業は全部英語・1年間の留学義務・国公立大学
能登: 国際教養大学を第一志望にされたのは、どういう基準で決めたのでしょうか?
せなさん: 本当に巡りあわせというか、たまたま中学3年生のとき図書館で、なんとなく手に取った大学案内の本をパラパラめくって見つけました。
私は英語が好きだから国際系かな? と思って見ていたら「えっ、授業はぜんぶ英語?」「しかも1年間の留学ができるの!?」「私にピッタリじゃん、国際教養大学に行きたい!」と、本当に直感で決めました。
それで、まだ高校受験も終わっていないのに「私は国際教養大学に入る!」と言い続けていました。
能登: 巡りあわせもありますが「国際」というキーワードは自分の中にあったのですね。
せなさん: 私は親の仕事の関係で小学校はアメリカで、英語が好きだったし海外の人と関わるのも好きだったので。
中学、高校は地元の公立校だったし、英語に自信があるという訳じゃないんですけども。逆に日本語、国語が苦手だったので、英語を活かしたいなと思っていました。
能登: 国際というキーワードで、他の大学も見てみましたか?
せなさん: はい、見ました。高校生になって色々な大学を調べたときに、同じような大学は色々ありましたがほとんど私立で。「家庭の経済的には国公立大学がいいな、このプログラムならやはり国際教養大学がいいな」と思い、第一志望はずっと変わりませんでした。
・他人との比較ではなく自分の成長を言語化できた
能登: 国際教養大学の学校推薦型選抜は、英語小論文と日英面接がありますよね。面接ではどんなことを聞かれましたか?
せなさん: 最初の質問はこうこうこうだったので、心の中で「よしきた、これ起業じゃん!」と興奮しました。GTE サマースクールで習ったことだったので。「来た、来た! これは背中を押されているぞ、風が吹いてるぞ!」と(笑)。
能登: あきさとさんも言っていましたよ。「GTE の流れのまま受験した感じです」って。
せなさん: 本当にそうです。高校3年生の夏まで本当に何もやっていなかったから、「何かやらなきゃヤバイ! 話すネタがない!」と必死で。だから GTE で吸収できるものはすべて吸収し尽くしました(笑)。
私は国際教養大学から合格をもらえたけど、本当に GTE 以外は何もやっていなかったんです。生徒会長をやっていた訳でもないし、部活で成果を出した訳でもないし、スピーチコンテストなどで賞を取った訳でもない。しかもその唯一の課外活動である GTE で、私たちのチームは賞を取れなかった。
だけど、肩書や受賞といった分かりやすい成果は、あくまでも他人との比較基準。そうではなく、自分がどう成長したのかを言語化して、自信を持って「自分が選択した道を伝えよう」という姿勢をとても大切にしてきました。
能登: 課外活動で自分の人間性をどう磨いたのか、どう成長したかが大学に伝わったのですね、きっと。
・大学合格が終着点ではないと気づき、アクションが変わった
能登: ちょっと聞いてみたいんですけど、「本当に国際というキーワードだけで進路を選んでいいの?」と悩みませんでしたか?
せなさん: 実は、GTE に参加して考え方が変わったんです。
高校3年生の夏までは、大学合格が終着点だと思ってその先が見えていませんでした。
だからずっと悩んでいました。GTE に参加するまでは、「私には何か勉強したいものがある訳じゃない。なりたいものも特にない。国際教養なら色々なことを学べるから、何か進路が見えるんじゃないか」って、ぼんやりした状態でした。
でも GTE に参加して、「困っている人の悩みを見つけて新しいビジネスとして解決する、起業家精神(アントレプレナーシップ)ってステキだな。私それやりたい!」と将来のことを考えるようになりました。
大学のその先が見えたら、将来キャリアから逆算してアクションを考えることができます。「ビジネスを学ぶには自己流では難しいから大学に身を置いてしっかりした教育を受けたい。それに、私は日本の食を海外に広めたいから海外に行きたい。だから、私は国際教養大学を目指すんだ!」と志望理由がはっきりしました。
能登: 大学合格が終着点ではないと気づいて、その先が見えたから、進路の悩みが消えたのですね。
せなさん: はい。私は何でも逆算思考で考えているんです。一つ大きな、実現できるかどうか分からないけれど高めの目標を置いてそこにアンテナを立てれば、逆算して色々なアクションが見えてくる。アクションへのモチベーションが変わってきます。
だから、国際教養大学に合格した後も受験勉強を続けていました。今も母校や留学先で、自分の将来を見据えた授業選択ができています。
■ 高校時代はどんなことに力を入れた?
・総合型選抜(AO)や学校推薦型選抜のネタがなくて GTE に参加
能登: せなさんは高校3年生の夏に GTE サマースクールに参加されましたよね。受験真っただ中でなぜ課外活動に参加したのでしょう?
せなさん: 国際教養大学が第一志望だったので、一般選抜だけでなく学校推薦型選抜も受けようと思っていました。でも、勉強も部活も生徒会活動もとくに目立った成果がなくて。「ヤバイ! 何か課外活動をやらないと話すネタがない!」と思って参加しました。
国際教養大学は授業がぜんぶ英語なので、英語に関わる課外活動を探し始めてたまたまヒットした感じです。
能登: ですが、高校3年生の夏、受験勉強真っただ中にサマースクールに行くのは勇気がいりませんでしたか?
(※ 補足:GTE サマースクールの参加者の1割程度は高校3年生なので、高3でも安心して参加できます)
せなさん: やはり最初は、「周りの友だちは一生懸命ガリガリ勉強しているのに、本当に行っていいのか!?」とすごく迷いました。
それで、私が一番信頼している先生に相談したんですよ。そうしたらその先生が「行ってきなよ。たぶん行って後悔することはないから」と背中を押してくれて。
その先生は留学経験もあって考え方がオープンで。私が半分行きたい気持ちで相談したし、国際教養大学を志望していることも知っていたから、背中を押してくれたんだと思います。
能登: もしかすると、別の先生に相談したら止められていたかもしれませんね。相談した先生がよかったかもしれませんね。
・親は、助けを求めてから初めて、手を差し伸べるようにしていた
能登: せなさんのご両親はどのような反応でしたか?
せなさん: 私の親は進路に対して寛容というか、そこまで指図をしないので、「がんばって~。いいね、いいね!」という感じでした。
能登: 勉強については何か話されましたか?
せなさん: 私は学力ではぜんぜん足りなくて。今も、大学の同級生と話していると「本当にみんな頭の良い人ばっかりだな」と感じます。
実は、高校2年生のとき、担任の先生と親との二者面談で「国際教養大学を目指すのなら、もう部活を辞めて勉強しないとダメですよ」と言われたらしいんです。
能登: ご両親はきっと、せなさんが悩む以上に「この子、どうなるんだろう!?」と悩んでいたと思いますよ。
せなさん: そうかもしれません。でも、親は先生からの言葉を伝えはしたんですけど、だからといって「別の大学にしたら?」とか「部活を辞めて勉強しなよ」とかは言わなかったんですよ。
自分は本当に頑固なので、何か言われたとしても自分は変わりません。私は、「親に口出しされたくないな、首を突っ込んでほしくないな」と思っていたので。そのことを親も分かって分かっていたので、何も言わなかったのだろうと思います。
親は、口出ししなかった代わりに見守ってくれました。私は「両親から陰で支えてもらっているな」という感覚がすごく強いんです。
忘れ物を持って来てくれたりとか、お弁当に好きなものを入れてくれたりとか、本当にそんなすごく小さなことが大きな支えになっています。私以外の受験生も、陰ながら支えてくれるのが励みになるという人が多いんじゃないかな。
能登: せなさんのご両親はせなさんのことを良く分かっているから、あえて口を出さずにいたのでしょうね。
せなさん: そうだと思います。だから普段は何もしなかったのかな、と。でも、私が愚痴って「ちょっと、協力して調べてよ!」と言ったら手伝ってもくれました。
能登: 子どもが助けを求めてから初めて、手を差し伸べるようにしていたのですね。
■ さいごに、受験にのぞむ高校生にメッセージを!
・やりたいと思ったことはとりあえず声に出しておく
能登: さいごに、進路に迷っている高校生にメッセージをお願いします。
せなさん: 実現するかどうかは分からなくても1つ目標を持っておくことで、アクションを起こすモチベーションにできます。夢とか現実性とかは考えないで、とにかくやりたいと思ったこと、行きたいと思った場所は、分からないけどとりあえず声に出して、「行きたい! これやりたい!」と声に出すのが大切だと思います。
私が国際教養大学を目指そうと決めたときも、学力ではぜんぜん足りなかった。声に出すのも恥ずかしいくらい。
能登: もしも、声に出して実現できなかった場合はどうでしょうか?
せなさん: そうですね、もし結果が良くなかったとしても、目標に向かってアクションすることで色々な経験ができると思います。
声に出して、もし実現できなくても、私は胸を張って「これを目指していたからこそ、こういう経験ができて、いまの自分があるんだよ!」と自信を持って言える。声に出すことで自分に緊張感を持たせられる。怖気づいても、後戻りできなくさせることができます。
だから、1つ何か、できるかどうか分からなくても「やりたい!」と声に出すことが大切なのかな。
・同じ高校生同士の交流で、進路への意欲や自信につなげる
能登: ちょっと GTE サマースクールの話に戻りますが、せなさんのチームは女子5人のチームでしたよね。
今なら言えますが、GTE のときはすごく行き詰っていたというか、ムードが重かった。みんなから笑顔がなくなっていて、メンターが付きっ切りでサポートしていましたよね?
せなさん: もう何も出ないところまでアイデアが行き詰って、みんな頭が沸騰しちゃって。「もうダメじゃん!」ってなっていました。
能登: でもそのあとムードが切り替わって、「みんなで一気にプランを仕上げるぞ!」となりました。
せなさん: はい。もう時間がないし、今立ち止まっても仕方が無いから強行突破という感じでした。
なぜ行き詰っていたかというと、「私たちのビジネスプランは現実的ではないのかな……」と、みんな頭の中で思っていて、自信が無かったんです。
でもメンターの方々から、「いや、ここはこういうテクノロジーを使えば本当に実現できるよ」と実現性を伝えてもらえて。それが、「じゃあこのまま行っていいんだ!」という一押しになったのかなと思います。
能登: 残念ながらせなさんのチームは賞を取れませんでしたが、とても良い雰囲気で終わりましたよね。
せなさん: チームメイトもメンターさんも、みんながお互いを認めてくれたから、みんなが賞を取ったような達成感がありました。あの雰囲気があったからこそ、順位にこだわることなくその後の自信につながる経験を得られたのだなと思います。
だから GTE の後も、今でも関係が続いていて、ポーランドに来る前にも会ったりしています。
それと GTE で衝撃的だったのは、「東京の高校生、インターナショナルスクールや国際バカロレア(IB)の高校生ってこんなにアクティブなのか!」と分かったこと。高校は田舎の自称進学校だったので。
衝撃を受けたのと同時に、「きっと国際教養大学もこんな人たちが集まっているんだな。私はこういう人たちと一緒に学びたい! 英語で勉強するのって楽しい! やっぱりこの大学に行きたい!」と、自分の進路がより明確になったのを覚えています。
受験戦争の常識にはまっている高校生が一人でも束縛から解放されて、のびのびと自分らしい生き方を見つけて、自分にぴったりの大学に受かってくれるとうれしいですね。