「サランラップ広告」の考察
1. なぜアイデアとして優れているか?
新鮮さの原点回帰
新鮮とは何か?=自然の中で生きている状態のこと
という論理で、食べ物ではなく生き物としての状態に原点回帰させている。
このアイデアが、サランラップをかけたところだけは新鮮なままということを直感的に認識させていて、ビジュアル的なインパクトと新鮮に保つという機能訴求どちらも叶えている。
2. ビジュアル表現のよさは何か
調理場に配置するという「食べ物の魚」としての演出と、ラップが掛けられている箇所の「海の中にいる魚」の演出のギャップ
ビジュアルについては、もしこの表現じゃなかったら、、と逆説的に考えて掘り下げていく。
①もし、ラップを巻いた演出だったら?
狭くなってしまい、生きている魚の生き生きさが弱くなる。青いラップにも見えかねない
②まな板ではない場所は?
食べ物としての魚、という印象が薄まり、ラップ本来の用途が少しわかりにくくなる。また、調理中という印象が弱くなる。
③そもそもアジである必要があるか?
日常使いするサランラップを使っている印象を与えるために、スーパーでよく売られているかつ丸ごと一匹、そのままの姿で見る印象が強いのはアジだから。
④まな板を茶色以外にするとどうか?
よくある白やグレーになると、明るい魚の色味に近づいていくので、魚の輪郭がぼける。また、背景のステンレスとも近づいていくので、茶色なのではないか。また、その他の色味だとまな板の色の印象が強くなり、今度はサランラップの配色とも喧嘩することが想定される。
3. 構図の妙は?
魚以外の要素(まな板、手、ステンレスの溝、サランラップ)は直線的に配置し、魚だけは斜めに配置することで、魚に目が行きつつ、生き物としての魚の勢いも感じ取れる構図。
4. 個人的な感想
シンプルなのに製品の魅力が瞬時に伝わる、高度なクリエイティブだと思う
サランラップは日常使いするものだからこそ、調理中の風景を使いながら、海という要素をいれるだけで直感的に新鮮さが伝わってくる。これを見たとき、とてもシンプルであるにもかかわらず、瞬時に製品の魅力が伝えられるクリエイティブは稀有な例だと感じた。尊敬。
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