いしこ

スーパーマネージャの下で働くデザイナーの覚書きnote。 某事業会社のグラフィックデザイナー兼ウェブデザイナーです。

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マガジン

  • グラフィックデザイン考察班

最近の記事

【毎日広告賞 優秀賞】日本公園緑地協会「公園の未来」

毎日広告賞で優秀賞を受賞した広告。 何を言い得ているのか公園は遊ぶだけでなく、遊びを通して感情を育て、人と人との関係性が変化していく場所でもある。このグラフィックは、そんな関係性や成長を「言語によって可視化」することで、公園で起こる群像劇を想像させ、人の営みを感じ取ることができるところに面白さがある。 ジャングルジムや滑り台などの遊具に「張り紙」を装って「ここで何が起こったのか」がテキストで示され、可視化する方法も公園らしさを感じる作りになっている。 評価されているポイン

    • 【毎日広告賞 優秀賞】象印マホービン

      2014年、毎日広告賞で優秀賞を受賞した広告。 何を言い得ているのかタンブラーを乗り物に見立て、人がタンブラーに覆われている状態によって、「保温」という機能性と、あたたかいものを飲んだときの「体や心が温たくなる」という感情を掛け合わせて表現している。 日常の身近な場面に寄り添う製品であるということを、日常の場面とタンブラーに置き換える見立てによって表現している独創性に面白さがあるビジュアルである。 評価されているポイントは?マホービンは暮らしに寄り添った日常生活発想の製品

      • 【毎日広告賞 最高賞 】ロゴス

        2014年、毎日広告賞で最高賞を受賞したアウトドアブランド「ロゴス」の広告。 何を言い得ているのか通常のデザインであれば、草花の写真や絵などを使って自然を感じさせるものが広告としては多いが、このグラフィックは、ビジュアルとコピーによって風の「音」、草の揺れる「音」、火が燃える「音」を想像させるビジュアルに落とし込んでいる点に面白さがある。 評価されているポイントは?キャンプなどのアウトドアは、自然を五感で感じることができる機会である。このブランド広告では、グラフィックでそ

        • 【毎日広告賞 最高賞 】のりたま

          2013年、毎日広告賞で最高賞を受賞した広告。 何を言い得ているのか「ご飯のお供」としての存在であるのりたまを訴求するために、「ご飯」を主役にするという広告の主従を入れ替え、通常のお弁当では魅力的でないおかずの全くない白米のみの弁当によって、「のりたまをかけることが最高のごちそうになる」ことを訴求している。 また、母・父・娘の3連のお弁当になっていることで、のりたまをよく使うであろう家族層に向けた表現になっていると思われる。 評価されているポイントは?通常の広告であれば、

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        • グラフィックデザイン考察班
          34本

        記事

          【毎日広告賞 優秀賞】光文社新書

          2014年、毎日広告賞で優秀賞を受賞した広告。 何を言い得ているのか映画映像を無断で使用し、短くまとめた違法動画が問題視されている「ファスト映画」の「短縮されている」という特性を、「タイトルを短くまとめる」という手法で端的に表現している。 評価されているポイントは?映画タイトルをただ短縮するだけではなく、ビジュアル面でもシンプルき削ぎ落とし、「省略する」という文脈に一貫性がある。 例えば「ショーシャンクの空に」や「犬神家の一族」では、パッケージのグラフィックの背景トーンの

          【毎日広告賞 優秀賞】光文社新書

          【朝日広告賞 最高賞】キューピーコーワゴールドα-プラス

          2014年、朝日広告賞で最高賞を受賞した作品。 何を言い得ているのかキューピーコーワは、疲れた体に活力を与える栄養補給剤。 「打ちのめされても」というコピーから、「人間から活力が奪われた状態」をしぼんだ人間型で表現している。 人が疲れている状態を視覚化するにあたっては、普通は「疲れている顔」「猫背になっている」など、表情や身体表現で疲労を表現するCMや広告が多い。 この作品では、人間の体を空気の入っているゴムのような捉え方で、しぼんだ人間で「疲れている人間」を表現するという

          【朝日広告賞 最高賞】キューピーコーワゴールドα-プラス

          【毎日広告デザイン賞 受賞】打ち水大作戦本部の考察

          2012年、朝日広告賞で最高賞を受賞した作品。訴求対象はSDGsに取り組む18歳。打ち水大作戦の本質は、「水を繰り返し使う」「自然の力で涼を得る」「みんなで一緒に取り組む点にある。 何を言い得ているのか自然の力で涼を得るという本質を、犬がブルブルするという「自然な行い」に変換していい得ている 自然の力で涼を得るという本質を、犬がブルブルするという「自然な行い」に変換していい得ているのではないかとも考えられる。 現代人に馴染みのない打ち水のイメージを、身近にいる犬を使って「

          【毎日広告デザイン賞 受賞】打ち水大作戦本部の考察

          【朝日広告賞 最高賞】金鳥の考察

          2012年、朝日広告賞で最高賞を受賞した広告。 「金鳥」は、蚊取り線香などの「殺虫剤」メーカーの会社。 何を言い得ているのか殺虫というイメージを、「肌を守る」という価値に転換 「殺虫剤」という企業イメージを、180度転換した。 このビジュアルは、「肌を守って111年」というコピーから、殺虫ということが価値なのではなく、「人の肌を守る」目的であり、殺虫はあくまでもそのための手段であるという価値に変換している。 評価されているポイントは?視点の転換と、それを体現するための

          【朝日広告賞 最高賞】金鳥の考察

          【毎日広告賞 最高賞】地球の歩き方の考察

          2024年、毎日広告賞で最高賞を受賞した広告。 「地球の歩き方」は、日本や海外の観光地情報を掲載するガイドブックである。 何を言い得ているのか写真や映像での画一化された美しさより、「実際に自分の目で見る生感」が旅の趣きであり、魅力であることを気づかせてくれる。 私達は、「ここに行きたい」という動機を持つとき、SNSや雑誌、youtubeなどのメディアを通して、美しい景観の写真や映像をみることが多い。 そんな時流の中で、写真や映像を通して見る海外と、実際に足を運んでみる現

          【毎日広告賞 最高賞】地球の歩き方の考察

          「関西学院大学法学部」広告の考察

          関西学院大学の法学部の宣伝広告。 1. なぜアイデアとして優れているか? 「感情」と「論理」の対比構想となっている。 ターゲット層と思われる高校生以下の思春期真っ只中の学生に向けた広告として、恋愛は自分ごと化されやすい内容である。 対して、「法律」は身近なものでなく、法律に触れる機会がない限り、自分ごととして捉えにくい。 そこを「恋愛の質問を法学の観点から答える」という見せ方で、法律に興味を持つキッカケとなる広告となっている。 さらに、ビジュアル面積のほぼすべてを「感情

          「関西学院大学法学部」広告の考察

          「小学一年生」広告(朝日広告賞受賞作品)の考察

          小学生向け雑誌「小学一年生」の広告。 1. なぜアイデアとして優れているか?漢字の単語と崩れ方を掛け合わせた、「なぞかけ」の体裁となっているところに面白さがある。 まず、小学校でよくある「漢字テストの赤ペン」という題材が、雑誌のターゲットである小学生との親和性が高い。 年金や首相などの「単語が示すもの」とかけて、「文字の形状ミス」と解く、その心が赤ペンに繋がっていくという造りとなっている。 通常は単語との掛け合わせによって生み出されるが、単語と漢字の形をかけるというとこ

          「小学一年生」広告(朝日広告賞受賞作品)の考察

          エボルタ(朝日広告賞受賞作品)の考察

          1. なぜアイデアとして優れているか?このビジュアルは「子供が電池切れしている」という部分に面白さがある。 「持久力」をキーワードに、子供とロボットを使い、「子供の体力の持久力」と「ロボット(電池を使っている)の持久力」を比較する体裁で、「エボルタ=長持ちする電池」という商品価値を演出している。 電池は日常生活の中で使われる場面が多いため、通常の広告では、普段使いされる場面を切り取ることが多いが、ただ家電の電池としての機能だと面白みに欠ける部分がある。 子供が寝ていて、

          エボルタ(朝日広告賞受賞作品)の考察

          「ギャツビー」の広告(準朝日広告賞受賞)

          一般公募の広告賞受賞作品。 1. なぜアイデアとして優れているか?毛を「トゲや菅状花(花の中央部分)」に見立てるという、シンプルながら毛を使う挑戦的な広告。 ギャツビーといえば、ワックスやシャンプー、シェービング剤など、メンズ向けの商品を展開するブランド。 通常、体毛を使う広告は、発想自体は面白いが、違和感や気持ち悪さを醸成するようなビジュアルになりかねない。 しかし、この広告では体毛を「花」の中に上手く調和させることによって、ぱっと見た雰囲気では華やかな印象だが、G

          「ギャツビー」の広告(準朝日広告賞受賞)

          オロナインの広告

          オロナイン軟膏の紙媒体での宣伝広告。 1. なぜアイデアとして優れているか? 紙のシワを使って手のひびやあかぎれを表現するという、紙媒体ならではの手法で演出している。 手の傷を表現する際、通常のビジュアルであれば、「手を使う状況を絵にする」ことは軟膏の広告でよく見るものになっていたと思う。 今回は紙媒体の特性を使い、カサカサになってひび割れた手を演出することで、紙媒体で見る閲覧者に「くしゃくしゃになった紙」がそこにあるという驚きを与えることができる。 もしかしたら捨てら

          オロナインの広告

          「夜の水族館」の広告

            水族館が期間限定での夜の営業に伴う宣伝広告。 1. なぜアイデアとして優れているか?「夜の水族館」というテーマを、日中のビジュアルでうまく表現しているところに面白さがある。 夜という表現を、団地に並ぶ布団によって「粗相した布団」→「水族館の夢を見ている」→「夜」という連想で想像できてしまう。 本来は、粗相が海の生き物の形になることやシミが青くなることはないが、非現実的な表現に振り切ることで「魚の夢を見ている」ようなイメージができ、結果として、魚の夢を見てしまうほど楽し

          「夜の水族館」の広告

          「味の素広告」の考察

          調味料や食品を扱う企業「味の素」のブランド広告。食事で使われるうま味調味料が認知されている企業でもある。 1. なぜアイデアとして優れているか? ダ・ヴィンチの絵画作品「最後の晩餐」をパロディにし、「最初の晩餐」として変換している。 作品自体が有名なものなので、直感的に絵画のパロディであることが認識でき、比較的万人に認知されやすい作りになっている。 最後の晩餐においてはキリストの「死」を思わせるものであるが、 本広告の「最初の晩餐」では赤ちゃんに変わっており、「生」を感じ

          「味の素広告」の考察