「関西学院大学法学部」広告の考察
関西学院大学の法学部の宣伝広告。
1. なぜアイデアとして優れているか?
「感情」と「論理」の対比構想となっている。
ターゲット層と思われる高校生以下の思春期真っ只中の学生に向けた広告として、恋愛は自分ごと化されやすい内容である。
対して、「法律」は身近なものでなく、法律に触れる機会がない限り、自分ごととして捉えにくい。
そこを「恋愛の質問を法学の観点から答える」という見せ方で、法律に興味を持つキッカケとなる広告となっている。
さらに、ビジュアル面積のほぼすべてを「感情的」な部分に使っているところがこのビジュアルのよさだと思う。
感情面と法律をどちらも全面に押し出してしまうと、ひろゆきが話してくるような「正論で論破される」体裁に変わってしまい、嫌味を感じさせる広告になってしまう。
この広告は、「青春の1ページ」を切り取ったような甘酸っぱさを感じさせるビジュアルがメインで、「法律」をサブの訴求にあえてすることで、嫌味のない体裁に落とし込めている。
2. ビジュアル表現のよさは何か
ノートと青い空のかけ合わせた表現によって青春を想起させるというよさがある。
このビジュアルは「コピーを読んでもらう」ことが一番のゴールである。
そして、「青春の1ページ」を切り取るようなビジュアルで、「思春期の恋」という世界観を後押しする必要がある。
このビジュアルは、まずノートと手書き風フォントを入れることによって、学校らしさを演出している。しかし、ノートだけでは青春というよりも「考えすぎの重たい人」というネガティブな印象与えかねない。
そこで、「青春」を想起させる青空をモチーフに、青い背景や手書きのノートを雲のように見せることで、直感的に学生であることを演出できているところによさがある。
コピーの配置は、メインコピーの質問→回答→詳細の事例や法律という順番に文字を読んでいくような配置やフォントサイズによって、「惹きの議題」→「結論」→「理由」という、思わず自然と読んでしまうデザインの組み方になっている。
4. 批判的視点
メインの雲以外の小さめの雲の形に色んな幅があってもいいと思った。
青いベタ面は、あえて世界観をわけて手書きのようなテクスチャを入れなかったと思うが、色鉛筆や蛍光ペンなどで紙と同化させてみても面白いかな?と思った。
5. 個人的な感想
コピーもいいが、今回はコピー単体では誤解を与えかねない。例えば、「友達って嘘をついたあの人のことを詐欺で訴える」という言葉を言っている人をただ連想すると、恐ろしさを感じてしまう。
これをノートや雲・青空を連想させるビジュアルにすることで、青春の雰囲気を想像させて、これを言っている人が学生であることが連想できる。
ビジュアル✕コピーの連動によって伝えたいことがちゃんと伝わるよう設計されている好例だと思う。