装苑の考察
装苑表紙のビジュアルについて考察する。
1. なぜアイデアとして優れているか?
人を直線的に捉えて配置し、パターンの一部として見せている
このビジュアルの面白いところは、「腕や足、髪、洋服」などを直線的に配置することによって、人の自然な形や動きの滑らかさを排除し、パターンと化している部分にある。
Perfumeの3人を直線的に捉えると、縦・横・斜め・円 という輪郭が見えてくる。
さらに、周りの文字配置もPerfumeの輪郭と同じようにタテ・ヨコ・ナナメという配置にすることで、ビジュアルのルールがより認識しやすく、統一感のあるビジュアルとなっている。
2. ビジュアル表現のよさは何か
ルールに一貫性があることで「パターン」として認識してしまう面白さ
3人は違う服を着て違うポーズをとっているが、パターンルールに一貫性があるので、パターンとして認識できるようなレイアウトで作られいる。
例えば、のっち(一番上)の手は直線、足は斜めだが、かしゆか(真ん中)の手も斜めになっているので、「X」のような形が浮き出てくる。加えて足は直線になっていて入れ子のような構造で「直線→斜め」という一定のルールができている。
この一定のルールを守ることで、パターンとして認識できるだけでなく、服やメンバーの動きが各々違うという「崩し」ができるため、デザイン的にも単調にならない。
同じ服、同じポーズでは全く面白みのないものになっていたはずである。
3. 構図の妙は?
パターンであることをより強調するための要素としてタイポグラフィもあげられる。
このビジュアルの中でも「斜め」という要素は、パターンとして認識させる肝になるレイアウトである。
普段私達が文字を読む時に、斜めに文字が配置されている状況はほとんどないはずである。
となると、「通常の文字組みとは違う」という違和感によって、「斜め」がこのビジュアルのルールの1つだと強調することができるアイコンである。
4.批判的視点
パンプスのカラーが2つとも黒いが、それぞれの服のカラーになっていたら、3人それぞれのカラーが際立ったかもしれない。
5.個人的な感想
斜めの文字を「勢いを表現する」ために使っていたことが多かったが、今回の斜め文字は人のパターン演出を惹きたたせる役割を担っており、斜め文字の使い方の新しさに感動した。
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