オロナインの広告
オロナイン軟膏の紙媒体での宣伝広告。
1. なぜアイデアとして優れているか?
紙のシワを使って手のひびやあかぎれを表現するという、紙媒体ならではの手法で演出している。
手の傷を表現する際、通常のビジュアルであれば、「手を使う状況を絵にする」ことは軟膏の広告でよく見るものになっていたと思う。
今回は紙媒体の特性を使い、カサカサになってひび割れた手を演出することで、紙媒体で見る閲覧者に「くしゃくしゃになった紙」がそこにあるという驚きを与えることができる。
もしかしたら捨てられる直前のボロボロの紙媒体の中に紛れていた場合はさほど驚きはないかもしれないが、通常は、購入した雑誌や新聞がくしゃくしゃになることはないので、新品なのにシワがあるというギャップが驚きに繋がり、惹きになる演出となっている。
2. ビジュアル表現のよさは何か
オロナイン軟膏は特に「はたらきものの手に」というコピーのように、手がカサついたりひびわれる状況で使いたい商品である。
このビジュアルは手にフォーカスし、「手」を使っている状況をシンプルに写真で見せることで、シワと手がナチュラルに融合できている。
また、このシリーズは何枚か確認できたが、その中でも最も面白みがあるのは雑巾を絞るビジュアルで、「手のひび」と「絞っている雑巾」という2つの演出が紙のシワを使ってなされているところがよくできている。
3. 構図の妙は?
構図としては、3分割法を使っているように感じられる。
主に「コピー」「手」「バケツ」というレイヤーが3段に上から並んでいて、3分割した交点に、手が来ており、またピントが手に合っていることで真っ先に手の中央に目がいく造りになっている。
また商品の配置は、バケツの輪郭に沿った黄色い帯を引き、そこに商品の写真も添わせる形にすることで、3分割にしても綺麗な構図を保ちながら、バケツの輪郭も保ちながら商品が配置できている。
4. 批判的視点
ひびやあかぎれをもう少し強く表現するために、シワだけでなく紙の破れがあってもよかったかもしれない。雑巾絞りと馴染んていることによって、手のひびが紙のシワで表現されているということが、瞬時に理解できない可能性があるからである。
破れによってよりキャッチーな印象になったかもしれない。
5. 個人的な感想
媒体の特性を広告に活かすことで、キャッチーな印象を演出できることが勉強になった。
直近の似た事例では、「メトロアド」の中吊り広告が、あえて破れている広告を作っており、実際にこの広告に出くわした私は、一瞬で興味を惹かれた。この事例も中吊り広告としてはありえないからこそなし得た興味喚起の例である。
今後普段見ている媒体の特性を利用するということを試してみたい。