勝負事が嫌い、という悩みと勝負する

私は勝負事が嫌いだ。

こたつに入って相撲を見ながら「勝負事は嫌いだよ」と言っていた祖母のことを思い出す。

とにかく、私は勝負事が嫌いだ。遺伝かどうかはよくわからない。

運動が嫌いなのも、そのほとんどが「勝負」に繋がるからなのだろう。
単純に出不精であり、汗をかくのが嫌いなのもあるが。

これまでも、世の流れに乗っかってFPSや対戦ゲームの類に手を出したことがある。

例えばApex、Valorant、スプラトゥーン、OW、LoL、ハンゲームで触ったSpecial Force。アーケードゲームにも手を出して、三国志大戦、戦国大戦、LoV、ワンダーランドウォーズ、CoJ、QMAに金を投じた。
そのどれも「対戦が嫌だ」という理由で辞めてしまった。アーケードも含めてカードゲームの場合、何万もカードを集めて、そして辞めた。筐体の前で自分が「やりたくない」と考え始めたときは、少し吐きそうになりながら「でも、カード集めたし……」と悶えていた記憶がある。たしか、LoV3のときだ。

とはいえ、この「勝負事が嫌いだ」という悩みは実は綺麗事であって、本当は「負けるのが嫌い」なだけだ。負けた瞬間に、自分のこれまでの努力とか資金とか時間とかが吹き飛んだ気がして、自分の人生そのものが否定された……というと大げさだが、まあ、それに近い感情に苛まれるのだ。別にろくな努力もしていないのに、他人の努力の結果を受け入れることができない。

そう、ろくに努力もしない。

FPSで言えばエイム練習とかキャラコンとか。"覚えること"もしない。Valorantで言えば、エイム練習も特にやるわけでもないし、セットアップとか、定点とか。厳密に言えばまったくやらないわけでもないけれど、負けないレベルまでやったかと言えば、おそらくやってない。配信で見たものを適当になぞる程度だ。

結果、Valorantのレベルは40くらいになったけど、まともにコンペには行ったことがない。Apexもランクが付いたことがない。カジュアルに乗り込んで、味方のせいにして暴言を吐こうとして飲み込んでいるだけ。今ではどちらもアンインストールしてある。

「勝つことだけが楽しみじゃない」と人は言うけれど、結局それは「勝てる側」の宣伝だと思っている。無論、勝てる側というのは(文字どおりの)常勝であることではなく、勝負事を楽しんで、努力の末に勝利を掴める人たちのことだ。

引き分けに終わらない限り、勝負には勝者と敗者がいる。勝者になれれば脳汁が飛び出て、もう一戦行きたくなる。でも、負けた瞬間に人生そのものが吹き飛ばされたような気持ちになる。別に、人生かけるほど努力もしていないのに。

もうすぐ40歳になろうとする"いい大人"がこんなことで悩んだところでどうしようもないし、実は世の中には「勝負事」以外の要素が山ほどあるわけだが、ゲームというのは大体「勝負事」である。

私は勝負事が嫌いだ。
でも、勝負事を楽しみたい、とも思っている。

そして今こうやってわざわざnoteを登録してこんな駄文を書き連ねている。
勝って喜んで、次の勝利を目指し、
負けて悔しんで、勝利を目指して努力する。
それを、自分の人生に取り入れたい。

ここ最近、ストリートファイター6の配信が増えてきて、自分もやってみたいと思い始めている。モダン操作、というやつは初心者にも優しいらしく、いろいろな大会で初心者のサクセスストーリーを目にしている。アケコンは不要らしい。今手元にあるPS4のコントローラーでも楽しめるようだ。

あとは、勝負事が嫌いな自分が変わるだけ。
ApexやValorantは「味方のせい」にできるが、SF6ではできないだろう。1vs1だし。
購入しようか、ずーっと悩んでいる。どうせ「負けたくない」という幼稚な感情を「勝負事が嫌い」という言い方に変換して、やらなくなる自分が見えるからだ。

でも、やってみたい。
小学校の頃、父親が東京出張の帰りにお土産で買ってきてくれて、兄弟でハマったSF2の延長。両親が「コントローラー壊れちゃうね」なんて言ってたのを覚えている。初めて波動拳を出せたとき、昇竜拳を出せたとき、竜巻旋風脚が出なくて誤魔化していたとき、あの頃の思い出を、もう一度噛み締めたい。

勝負事は嫌いだが、勝負事を楽しみたい。

ということで、もう少し悩んでみよう。

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