幼馴染がくれる、特別な御守り。
私には幼馴染がいます。
家が近所で、親同士も若い頃からの友達。誕生日も3日違いなので、生まれた時から兄妹のように一緒に成長してきました。
弟妹同士も歳が近く、うちの姉弟+幼馴染の兄妹みんなで7人。小学生の頃は冬はみんなでかまくら作って、スーファミのマリオして、夏はプール行って、スイカ食べて、旅行も毎年一緒に行きました。
同級生なんだけど、私よりはるかに背も高く、力も誰よりも強くて大人びていたので、みんなのお兄ちゃんみたいな存在でした。
小学校高学年になるとだんだん話さなくなってきて、一緒に遊ばなくなって、登下校も彼だけ1人で行くようになって。
中学生になる頃には学校で声をかけようものなら嫌な顔されて無視されるほどになりました(男子の反抗期!笑)。
だけど、私たちにとってはどんな時でも頼りになるお兄ちゃんに変わりはありませんでした。
私が失恋した時、泣きながら幼馴染の家に行くと「うんうん」とずっと黙って話を聞いてくれて、半分に切ったグレープフルーツにザラメをかけたデザートを出してくれたりして。未だに私の失恋の味はその味です。
言葉にはしないけど、お互いに特別な存在です。
それぞれ大人になり、居酒屋でもう1人の同級生と3人で焼酎を飲みながら、幼馴染が長年付き合っていた彼女にプロポーズして成功したと言う話を聞いた時はめちゃくちゃ嬉しくて大盛り上がりで乾杯しました。
その後の結婚式も特別なものでした。私達と私のイトコだけのテーブルがあり(みんな歳が近くてこれも合わせると10人)散々みんなでワイワイ騒いで飲んで食べて……泣きました。今までで一番泣いた結婚式はこれ以上ないです。なんでこんなに泣けたのか自分でもよく理由は分からないけど。
私ががんになった報告をする時は、失恋の報告より離婚の報告よりも戸惑いました。どんな顔するだろう。きっと悲しませるだろうな。
3年間地元を離れていた私が遠方で奮闘した末、がんになり治療に専念するため実家へ戻ってきたのは、まだ肌寒い3月の初めでした。
手術を控えた私に幼馴染からの突然のLINE。
「今、家おる?」
久しぶりに私が戻った実家に、ジャージ姿で入ってきた時の幼馴染の顔を私は一生忘れません。神妙な面持ちで、いつものやさしい目じゃなくて。
「これ……。手術、がんばって」
相変わらず言葉は少ないけど、手渡された物を見てそれが何かを把握すると、私はまた泣きました。
石切神社のなでまもり。お米が7粒入っていて、毎朝一番に患部を撫でて一粒ずつ飲むと悪いものが治ると言う御守りでした。
私の為に石切まで行ってお参りして御守り買って……どんな気持ちだったんだろう。ごめんね。いつもいつもいつもいつも心配ばかりかけて本当にごめん。そしていつも泣いてばかりでごめんなさい。
貰った日から7日間、心を込めて大切にお米を飲みました。手術当日と翌日は絶食でしたが、看護師さんにお願いして一粒飲ませてもらいました。
絶対に治すよ。
そして、私の抗がん剤もひと段落した去年の4月。
幼馴染の長男と、ウチの次女が同じ小学校に入学しました。今は毎朝娘を迎えに来てくれて一緒に登校しています。
優しい男の子と、おてんばな女の子。
いつもありがとう。
あなたの存在は、私の一生の御守りです。
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