「若手成長」だけで十分ですか? (2022/8/8)
記事の長さはおよそ1,500文字。2〜3分程度で読めます。
記事のポイント
従業員の能力を伸ばし、社員が働きがいを感じる企業の企業価値は高いのか。
社員口コミを収集・分析するオープンワーク社の協力を得て、社員や元社員が5段階で評価する「企業評価スコア」と業績や株価の関連を分析した。
「待遇面の満足度」「社員の士気」「風通しの良さ」「社員の相互尊重」「20代の成長環境」「人材の長期育成」「法令遵守意識」「人事評価の 適正感」の8項目と、
「総合スコア」の9項目を使い、2021年時点での上位20社と下位20社に分けて調べた。
「総合スコア」を分析したところ、上位の株価は7月19日時点で16年末に比べ72%上昇し、下位の18%を大幅に上回った。
上位は21年度まで5年の売上高も4割強と下位の1割強に比べ伸びた。
個別のどの項目が効いているかを探るため、8項目と様々な財務指標の関係を調べた。
その結果、1人当たり売上高の伸びと「20代の成長環境」の関連が高かった。
人への投資で成長戦略を磨き、マネーを引きつけられるかが今後の企業の浮沈を握る。
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こんなふうに考えた
就職・転職のためのジョブマーケット・プラットフォーム「OpenWork」を運営するオープンワーク社と日経新聞が、社員の「働きがい」と「企業価値」の関連性を調査したところ、
「総合スコア」の上位20社と下位20社で企業価値に大きな違いがあった。
上位20社:株価72%上昇、売上高4割強アップ。
下位20社:株価18%上昇、売上高1割強アップ。
さらに個別項目でみると、
1人当たり売上高の伸びと「20代の成長環境」の関連が高かったそうです。
この調査結果をみると、企業価値を上げるために人への投資、
特に20代が活躍できるような環境を作らなきゃ、と考えますよね。
同じオープンワーク社から今年(2022年)の5月12日に、
「日本の働き方 10 年での変化『社員クチコミ白書』」が発表されていました。
白書によると、
10年間で「働きがい」は概ね向上。
個別項目では「20代成長環境」のみが下降。
「20代成長環境」は業界別で評価の差が広がった。
大きく下落したのは、官公庁、放送・出版等、日用品・化粧品など。
最も上昇したのはインターネット。他は人材サービスやコンサルティングなど。
白書へのリンク:
この調査からはこんな仮説も考えられます。
上昇した業界は比較的歴史が浅く成長している分野なので、
相対的に若い社員が多く、早くから活躍・成長できる機会がある。一方下落したほうは、どちらかといえば伝統・成熟産業なので、
年齢の高い人が多い社員構成になっている。
そのため組織がガッチリ固まっていて、若くして活躍(成長)できる機会が少ない。さらに全体として「20代成長環境」が下がっているということは、
下落している伝統・成熟産業の従事者のほうが多い。
(伝統→成長産業への移動が少ない)
私は「人への投資」を促進することは大賛成ですが、
もしこの仮説が正しいとすれば、企業価値を上げるためには
「20代成長環境」整備だけでは十分ではなさそうですね。
本投稿は日経新聞に記載された記事を読んで、
私が感じたこと、考えたことについて記載しています。
みなさんの考えるヒントになれば嬉しいです。
「マガジン」にも保存しています。
「学びをよろこびに、人生にリーダシップを」
ディアログ 小川