1 なぜ起業したのか (2) ー ぼくが起業した理由
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お話しするテーマ
1 なぜ起業したのか
・起業目的 ← 今回はここ
・収支計画
2 何をするのか
・自己分析
・ビジネス案
・社名
・ミッション・ビジョン・バリュー
3 どうやってやるのか
・運営方針
・必要な備品・ツール 他
・登記申請、役所への届出 済
前回の投稿
1-2 時(とき)がきた
2つ目の理由は、起業を試せる時が来たと感じたことです。
「時(とき)」には、大きく「時代」と「時期(タイミング)」のふたつの意味合いがあって、そこから3つの理由を導きました。
3つの理由
①「参謀」が必要とされる時代になった
② 大企業と遜色ないビジネス環境がつくれる時代がきている
③「起業・独立するなら今しかない」と思えた
①「参謀」が必要とされる時代になった
VUCA(ブーカ)と呼ばれる不確実で先の見通せない時代になりました。
※VUCA:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)
テクノロジーの進展や自然環境等の変化、グローバル化、疫病の発生や地域紛争などにより、5年後・10年後はもちろんのこと、来年・再来年ですら見通すことが難しくなっています。
変化の少ない時代なら、親や上司などの年長者が過去の経験から教えてくれる“答え”に従っていれば、”正解”の人生を過ごせたかもしれません。
でも不確実性の高い時代には、これまでの”答え”が”正解”とは限りませんし、そもそも多様性の時代に、みんなに共通する“答え”なんてあるんでしょうか。
こんな時代には、ぼくたち一人ひとりが主体的に自分にとっての“正解”を決めていくことがとても大切です。人類の歴史上、いまほど自分で自分の”正解”を決められる時代はないのですから。
ただそうはいっても、ひとりで”答え”を探すのは簡単ではありません。
だからこそ、”答え”探しを手伝ってくれる「参謀」の必要性が高まるのではないかと感じています。
② 大企業と遜色ないビジネス環境がつくれる時代がきている
「参謀」の必要性が高まったとしても、起業する必要はありません。企業に勤めながらやることもできるでしょう。
とりわけ大企業なら、いわゆる選挙でいう「3バン」がとても強力なので、企業勤めのメリットが大きいのも確かです。
「3バン」
地盤(ジバン):顧客基盤・コネ
看板(カンバン):知名度
鞄(カバン):資金
大企業にはこれまでの歴史の中で培われた強固な顧客基盤や取引先があり、社名を名乗れば誰もが相手をしてくれる知名度があり、年度末には予算消化に困るほど潤沢な資金があります。
大企業の「3バン」が、いまでも十分に強力なことは確かですが、インターネットの出現によって徐々に変化が生じていると感じています。
◆地盤(ジバン)
クライドソーシングやスポットコンサルなど「ギグワーク」と呼ばれる働き方の出現によって、顧客基盤やコネがなくても仕事ができる環境が徐々に広がってきています。
飲食店にも注文した顧客にもコネがなくても、ウーバー・イーツのデリバリーが担当できるのと同じですね。
下記のリストは、ぼくが調べた「ギグワーク」を募集している企業のリストです。(順不同)
「研修講師」「コンサルティング」「コーチング」「その他」の4つカテゴリーで分類しています。
すべてを網羅しているわけではありませんが、「結構あるんだな」というのが調べてみての正直な感想でした。
その後それぞれのカテゴリーのいくつかの企業に問い合わせて、報酬額の目安を確認しました。
各社共通して報酬は案件ベースで、固定給はありません。どのくらいの頻度で仕事が得られるかも不確実です。
当然ながら、すべてのところと取引するわけではありませんが、前提条件を置いて「ギグワーク」でのおおよその収入レンジを見積もって、「ギグワーカー」として働く場合の理解を深めました。
◆看板(カンバン)
上記でご紹介した通り「ギグワーク」の普及によって、看板(カンバン)=知名度がなくても仕事が得られる環境ができつつあります。
(「仕事獲得の安定性」には欠けます。「毎日同じ仕事をしなくていい」と考えればメリットともいえます)
いざ看板(カンバン)を作ろうとした場合でも、これまでのように「◯◯業界の大家」になって業界で有名になったり、既存のマスコミに取り上げてもらったり、高いお金を払ってTV CMを打ったりしなくても、SNSなどを活用して個人で主体的に知名度を高めていくことも可能になりました。
しかもツールはほぼ無料で利用できます。
すでに有名な芸能人の方までもが、テレビからYouTubeをはじめとしたネット環境に軸足を移していることからも、看板(カンバン)のあり方が変わってきていることがみてとれますね。
さらに先日手に取った哲学者 東浩紀著『ゆるく考える』の中に、Amazonのレコメンデーションや「友情系」ソーシャルメディアを例にあげながら、ネットの特徴を説明している文章がありました。
このようなインターネットの特徴が、従来の地盤(ジバン)や看板(カンバン)の重要性を低下させているように思えてなりません。
(一方で情報の信頼性や質の高さは、これまで以上に重要になるでしょう)
「ゆるく考える」:
◆鞄(カバン)
最後に鞄(カバン)です。
これまで企業活動を行うには、設備投資などに多額の資金が必要でした。
土地を買って工場を建てたり、都心にオフィスを借りたり、コンピューター・ネットワークを構築したり・・・。
もともと「企業」自体が、多額の資金をみんなで分担してリスクをヘッジし、利益を分配するための「箱」として発展してきたともいえますよね。
それがインターネットの出現によって、ネット上のサービスを活用すれば、小さくても大企業と同等のビジネス環境を整備することができるようになりました。
メール、LINE、Zoomなどのコニュニケーションツール
Googleドキュメント・スプレッドシートなどビジネス用ソフトウェア
クラウドサーバー、HP作成ツール、
会社登記手続き、決算処理、法律相談などなど。
これまでは導入に高額な資金が必要だったり、専門家に高い料金を払ってお願いしなければならなかったことが、無料か、とても安価で利用できます。
みなさんも当たり前のように使っているものが多いのではないでしょうか。
加えて、テクノロジーの導入の流れにも変化がみられます。
インターネット以前のテクノロジーは導入費用が高額だったこともあって、導入の流れは大企業が使い始めてから、徐々に価格が下がるにともなって個人が使い始める、大企業→個人の流れが一般的でした。
メールも携帯電話も会社で使い始めて、その後に個人へと広がっていきましたよね。
ところがSNS以降のテクノロジーでは導入費用がほぼ無料なため、導入の流れに逆転現象が起きています。
Facebookやインスタグラムも、個人利用から始まって企業の利用に広がっていきました。
最近の例でいえば、ZoomをはじめとするWeb会議システムは、コロナ禍で個人やスモールビジネスでの利用が先行し、セキュリティの関係でなかなか利用許可のおりない大企業は、使い始めるのがかなり遅れました。
プライベートでは友達と何ヶ月も前からZoom飲み会をやっているのに、仕事ではいつまでたってもZoomが使えない、という経験をした方も多いのではないでしょうか。
インターネットをベースとするビジネス環境の整備においては、大企業よりも個人やスモールビジネスのほうが先行できる時代になっています。
③「起業・独立するなら今しかない」と思えた
ぼくは今年2022年で55歳。「役職定年」になる方も多い年齢です。
4月末まで働いていた会社は60歳が定年でしたが、本人が希望すれば65歳まで再雇用されます。
さらに昨今の定年延長等の状況から、近い将来には70歳まで雇ってもらえる可能性もありました。
定年再雇用になれば給料は減るものの、65歳まで10年間も雇用が保証され、安定的な収入が得られるのはとても魅力的です。
しかも大手企業なので福利厚生も充実していますし、一緒に働く仲間にもとても恵まれていました。
しかしせっかくの機会なので、一度「ゼロベース」で自分に問いかけてみることにしました。
何も条件をつけず制約を設けず、”プロとして働く”ことだけを考えたとき、
これからの10年間、ここで働くことを選ぶか?
10年後に振り返ったときに、「良かった」と思える決断は何か?
そう考えたら、「いますぐ起業・独立する」がぼくの”答え”でした。
今日のまとめ
今日のまとめ
不確実な時代になったことで、一人ひとりの”答え”探しを手伝う「参謀」の必要性が高まった
「ギグ化」「無料化」によって、小さくても大企業並のビジネス環境の整備が可能になった
10年後に振り返ったときに「いま起業・独立」することが最適な選択だと思えた
次回のテーマ
次回は、「1-3 大丈夫と思えた」についてお話しする予定です。
会社員生活に漠然とした不安を抱えている方、
起業を検討されている方、
ご自身の来し方、行く末を考えている方
などのご参考になれば嬉しいです。
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