虫の目、鳥の目
週末は電車乗ってベルギーへ行ってきた。
デュッセルドルフからICEに乗って3時間半ほどでベルギーの首都ブリュッセルに到着した。
車内で高城剛の新刊『分断された世界』を読む。彼の本は、どこまで本当かわからないという印象をいつも持つが、面白いのでつい読んでしまう。
今回の本は、戦後のメディア、経済、政治の歴史に触れながら、米国、欧州を中心にした現代の世界についての彼の考えが簡潔にまとまっており個人的には非常に勉強になった。
帰りの電車ではブライディみかこの『労働者の反乱 地べたから見た英国EU離脱』を読む。どちらの本も、実際に自分の目で見てきたという点で共通しているところがある。
この2冊を読んで思うのは、虫の目と鳥の目というように、物事をうまく理解するためにはミクロとマクロの両方の理解が必要なのだろう。実物を見ることは大切というが、ブリュッセルの町をただ漠然と歩いているだけでは「へー、きれい。」以上の気づきは得にくい。
たとえば、ベルギーはオランダ語圏とフランス語圏に分かれており、いまも分離独立の可能性がある、という事実を知った上で町を見るとまた違って見えてくるかもしれない。実際に半日過ごしたところでほとんど何もわからなかったけれど。
しかし、特に何もわからなかったというのも一つの学びとしよう。
外部からは大きく騒がれているが、実際に現地ではそんなに大きな問題となっていないというケースもあるし、その逆もある。マクロから見てるだけでは、見えてこないものがある。そして、目の前のことを見るだけではわからないこともある。
歴史や経済の大きな流れをつかみながら、自分の目で町の様々な立場の人の声を理解するというのはとても難しいことだ。今の私にはまだできそうにない。
そもそも自分が普段付き合う人間というのはとても限られている。友人関係を見ても、高校や大学の頃のつながりが多く、どうしても偏りがある。多様な理解を受け入れる、という価値観は素晴らしいけど、具体的にはどういう世界なのだろうか。町で物乞いされることがあるたびに目をそらす。今ここで彼にお金をあげても彼は救われない。その通りだ。できることなら自分はおいしいものを食べて仲の良い友人に囲まれて楽しい暮らしがしたい。誰もがそうだろう。少し考えただけで途方に暮れてしまう。
だから、こうして心に引っかかった部分をここに書いておこう。 この日帰り旅行をきっかけにまずはベルギーの歴史の本を読んでみよう。
よし。虫の目、鳥の目、虫の目、鳥の目・・・
それにしてもベルギーのワッフルはおいしかった。ワッフルを食べた覚えがあまりないのだけれど、想像以上に歯ごたえがあってずっしりと歯ごたえがある。熱々の生地にヒップクリームとチョコレートを載せて食べると口の中に幸せが広がる。
夕食にはこれもおきまりのムール貝の酒蒸しをいただく。今の季節はニュージーランドからの輸入らしいが、バケツ一杯でもぺろりといける。バケツの下に残ったスープがこれまたうまい。パンにつけて飲み干す。
20時過ぎの電車でドイツに戻る。
日帰りで隣の国まで行けてしまうというのは、日本にはない感覚だ。