売上を取るか?技術を取るか?~これからのエンジニア組織経営~

漆原 茂[ウルシステムズ](以下人名敬「さん」、社名敬称略で統一)

顧客の要望VSやりたい仕事、自社の利益VS社員の報酬、お金VSヒト。
究極な2択はリーダー層を常に悩ませる。
エンジニアはおそらく後者を選びたい。では経営層は前者を選びたいのだろうか。経営層とエンジニア組織は方向性が違うのか。リーダーはその板挟みで消耗するしかないのか。
漆原さんはその問いに「エモい魂がある」と答えた。

まず漆原さんが語ったのは「報酬」の研究について。
元々やりたくてやっていたことに後から報酬を与えた場合、モチベーションがむしろ下がってしまうというアンダーマイニング効果、逆にきっかけとして報酬を与えることでモチベーションを上げるエンハンシング効果。
だが、こちらも徐々にモチベーションは下がってしまう。
つまり、モチベーションを保つには外発的動機づけは限界があるということだ。
会社は伸びても現場が不幸。個人の幸せが崩壊すると業績にかかわらず組織が崩壊したり大きなダメージを負ったりする。ということだ。

続いて「幸せ」の研究について
人が仕事中はどんな時に幸せを感じるか。
「夢中で没頭しているとき」「限界まで練習出来ているとき」「新しいものをやりつつフィードバックをもらえているとき」など、ドーパミンがドパドパ出ている時に幸福を感じる。
モチベーション3.0でも内発動機づけが強くシンプルな人ほど活躍するとあることからも、主観評価(やりがい)と体験(いい仲間)が長期的に幸せな環境を作るキーになっていると言えそうだ。

では、事業側はどうだろうか。
漆原さんは問う。
エンジニアから尋ねるとき、「数字」の話ばかりしていないか?と。
その事業を好きか。夢は何か。
エンジニア同士だと普通に話す「エモい魂」について、事業サイドと言葉を交わすことは少ないのではないか。

つまり、エンジニア組織にとって事業サイドは戦う相手ではなく別担のオタクである説いた。
エンジニアたちが事業サイドの「エモい魂」をくみ取ることで、「夢中」「魂」「やりがい」「良い仲間」のある良い環境を作り出すことができるのだ。

さて、これまでの話。
皆様はどう感じるだろうか。
「きれいごと…」「せやかて…」「お金さえもらえれば…」
恐らくそれは真実だ。エモさをただただ求めて仕事をしている人は少数派であろう。
ただ、上司という立場で考えてみる。私もまだ短い年月ではあるが携わる中モチベーションというものを考えてみると、職位が上がったり優秀になるほど「エモさ(やりがいや環境)を感じられるかどうか」というものを大事にしていく傾向があった。
自分達の今の業務がどうエモいかを語れるか。
難しいが、これがリーダーと呼ばれる者の責務であるように、私は感じる。

ウルシステムズ株式会社


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