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祭り、怪談、お化け屋敷
(2000文字くらい)
本日、地域の祭りが行われた。白山神社の例祭だ。
私はこの町に来てから、まだ10年も経っていない「よそ者」なので、祭りの当事者としての実感はあまりない。つまり、闘鶏楽とか獅子舞とか笛太鼓の練習に参加したこともないし(年齢的なこともある)、鬼が二体!先頭に立つ行列にも並んだことがない。
なにせ、コロナ禍でこの間ずっと中止となっていた祭りなのだ。
そして今年は育成委員(こども会の運営)になったこともあり、こども神輿でワッショイワッショイやる係になった。上の子は、神事で祭壇にお供え物を献上する巫女の練習をする年齢にもなった。
そう。地域総出でガッツリやる祭りなのだ。
これ、それぞれが一生懸命練習して受け継いでいかないと成り立たない。
だがその甲斐もあって、闘鶏楽の鐘の音とか、獅子の華麗な舞とか、神事のおごそかな雰囲気とか、本当に感動ものなのである。
若いひとが減ってゆく中で、この文化を守ってほしいなあ、と思うのは、よそ者の無責任な意見かもしれないが、今後も何らか協力をしてゆくつもりだ。
地域の活動といえば少し前に、岡山のPTA連合が今年度をもって解散するというニュースを聞いた。私も保育園、小学校とPTAをしてきたので、解散という結論もよくやったなあと思うし、一方自分自身が活動する中で、園長先生や校長先生を始め、保育士さんや先生方と突っ込んだ話ができたのは、貴重な時間であったと思う。保護者同士の横の繋がりもそうだ。特によそ者にとっては。
まあ何にせよ、与えられた仕事は嫌がらずにちゃんとやって、面白さを見出した方が得策だと思っている。それが「解散」という結論であれ。
話は、お化け屋敷の話になる。
今年はPTAと子ども会の関係で、2度もお化け屋敷を企画した。
小学校では、コロナ禍で不自由な思いをさせた。何か、卒業する子ども達にサプライズをしたいという、先生方とPTAの発案だった。
会場は何と何と夜の怖ーい学校校舎。先生方のご協力の賜物です。
んで、私はこんな感じで参戦した。
![](https://assets.st-note.com/img/1726308053-3oqbYH9AderZiaz2gklh08IB.jpg?width=1200)
ちなみにライダースジャケットはカドヤのメリデン。
これ、本当に怖かったみたいで効果は抜群だった。
子ども達は1階から2階、3階へと上がってゆく中で、保護者の皆様に散々脅かされて、校舎中は、
「ぎゃー」
とか、
「いやー」
とか、完全に阿鼻叫喚の巷と化している。で、最後にエレベーターで3階から1階に降りるのだが、そのエレベーターの中にも細工をしておいた。
照明にセロファンをかぶせて赤い光を灯し、大きな鏡にはこれまた赤い布テープで「呪い」という文字を、おどろおどろしく貼っておいた。
絶対にまだ何かあるぞ、という伏線をあらかじめ意識させておき、1階に着いて「チーン」とかいって扉が開く。その先にジェイソンのような俺様が隠れている。
あれ、いないじゃん。
と、思わせておいて陰から飛び出し、
「凸凹✖Θ§Ψモ゛モ゛モ゛」
とかわめき散らして襲いかかり、ダメ押しをする。
これは、一生忘れられない小学校の思い出となったはずだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1726317848-ykhjdR02nsqLVi8YvlfTrgXO.jpg?width=1200)
そんなことをやっていたら、ふと、こんなことを思い出した。
話はここから怪談になる。
私の知り合いが、小学生の時に体験した実話である。
その日の授業は、6時間目が図工の時間だった。
鋏で紙を切って部品を作り、糊で組み立てるアレだ。
彼はその黄色いプラスチックの柄がついた鋏がお気に入りで、とても大事にしていた。
授業が終わり、下校時刻になると、友達数人でふざけながら帰り始めたのだが、途中であの黄色い柄の鋏を教室に忘れてきたことを思い出した。
まあ、いいかと思ったものの、どうしても気になって、一人で教室に取りに戻った。
鋏は机に置き忘れており、彼は確かに、確実にランドセルの中へ、その鋏をしまって帰った。
その後彼は、ふたたび友達と合流し、暗くなるまで遊び続けた。
とても蒸し暑い、夏の日の夕暮れだった。
家に帰ると、親に遅く帰ってきたことを咎められたものの、そのままランドセルを肩にひっかけたまま自分の部屋に向かった。
扉を開けると何も見えない暗闇だった。
何か薄気味悪いものを感じながら、明かりのスイッチを点けようと一歩部屋に踏み出した瞬間、突然暗闇の上から目の前に何かがボトッと落ちてきた。
心臓が飛び出るほどびっくりして、落ちてきたものを拾ってみると、それは鋏だった。
ランドセルの中にしまったはずの鋏は、消えていた。
・・・・・・
最後にお化け屋敷の後日談。
小学校のお化け屋敷で、ジェイソンばりの大太刀回りをしてから4か月ほど経った、とても蒸し暑い日の午後、一本の電話がかかってきた。
電話の主は小学校の教頭先生だった。
「エレベーターの鏡に、何かヘンな文字が見えると子ども達が大騒ぎしています」
「え、なんて」
「呪い、と言ってますが、何か心あたりは」
げ、布テープで呪いと貼り付けて、終わった後剝がしたのだが、糊が鏡に残っていて文字がうっすら読めるらしい・・・
私は丁重にお詫びをすると、シンナーとウエスを持って、呪いを解くため小学校のエレベーターへと向かった。