#02 「ノートルダムの鐘」で英語の勉強しよう!
今日は、ヴィクトル・ユゴーの書いた作品「パリのノートルダム」のミュージカルバージョン「ノートルダムの鐘」に出てくる曲「Out there」から、試しに英語の歌詞解説を作ってみました。
ノートルダムの鐘のお話と背景
時は15世紀、ルターの宗教改革が起こる前で、まだキリスト教の勢力がヨーロッパでも強かったとき。
主人公のカジモドは、くる病という骨が曲がりやすくなってしまう病気をもつ障がい者。彼は宗教的に権威のあるフロローという男に育てられます。
カジモドは、フロローの弟がジプシーの女性と結ばれ遺した子でした。(注:ミュージカルバージョンのあらすじです。ディズニーバージョンとは違います。)
ジプシーは芸事、占い、犯罪で生計を立てている流浪の民で、フロローの立場からすると取り締まりの対象でした。
弟は、なんでジプシーなんかと結ばれちゃったんだ。自分と同じくキリスト教の祭司として清く正しく育てられたはずなのに、恥ずかしい。
自らが正義だと勘違いしているフロロー君は、弟が病気で瀕死の状態で、フロローに子どもを引き取ってくれと懇願するのに対してこう言います。
いや、黙って引き取ってあげなさいよ!!!(笑)と思ってしまいますね。
弟がそのまま息を引きとり、赤ん坊を見つめて一瞬悪い考えがよぎります。
この子を殺してしまおうか。
いや、司教なのかなんなのか知らないけどいい加減にしなさいよ?
と思いますが、そこでフロロー君、ノートルダム大聖堂の壁に並ぶ石像の視線を感じます。
(まるで神が見ているかのようだ…)
神の視線を感じてすっかり怖くなったフロロー君。子どもを捨てに捨てきれずに(視線感じなくても育ててやれよ。)
両親と違ってその子が「正しく生きていけるように」私が矯正してやろう!(恐ろしいほど傲慢)ということで、ノートルダム大聖堂のてっぺんにある屋根裏部屋にカジモドを閉じ込めて育てます。
カジモドは毎日パリの街を見下ろしながら鐘を鳴らすことしかできません。
聖堂の上から街を見下ろしながら、ぼくも普通の暮らしがしてみたいなあという純粋なカジモド君の強い憧れを歌ったのがOut there という歌です。
Out thereの歌詞を見てみましょう
以下がOut there の歌詞抜粋になります。ブランクに入る動詞は何でしょう。
参考に、日本語訳(劇団四季版)を見てみましょう
英語歌詞解説
まずは以下補足です。
・日本語訳は、英語の歌詞すべての意味を拾えていません。
・All I ask is one のoneはその前の行のone dayを指します。
・英語版は、「一日だけ街の中で暮らしたい。そうすれば、その一日の思い出に思いを馳せながら、大聖堂の中で生きていける」ということを歌っています。後半の部分は日本語訳で表現しきれていませんね。
Holdの意味
まず空欄にはholdが入るのですが、
I hold your hand.
のようにholdは握る、持つ、のような意味の動詞だけではないよというのが今回のテーマです。
今回の歌詞ですが、
All I ask is one (dayが省略されている) <to hold forever>となります。
holdの主語はカジモドで、to以下がaskにかかる副詞句、to 〜のためにone day をaskする、という構造で捉えていいと思います。
(Ask someone to Vの形に見えなくもないですが、one day とholdに主語述語の関係があるとは言えないためこれは間違い。)
hold にはkeepに似た意味があります。
keepというのは何かを同じ状態に保つという意味だけでなく、大切なものを取っておくというニュアンスがありますね。今回のholdのニュアンスはこれに近いものだと理解しています。
カジモドが街に出て1日過ごせるなら、その思い出をずっと抱えて、大聖堂の中で生きていく。という意味だと私は理解しています。哀しい話ですね。
ちなみにholdの成句で、hold onto something もよく使われます。
直訳すると〜にしがみつく。これは物理的に何かにしがみつくことにも使いますし、思い出など精神的に何かにしがみつくときにも使われます。
以上、簡単ですが歌詞解説でした。
曲も素敵なので、ぜひメロディと一緒に歌詞を味わってみてください。
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