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「タスク均分」〔コイネージ【新造語の試み】5〕


 例えば、AがBに、"本来Cがやるはずの"作業を振ったとする。理由は「Cが大変だから思いやれ」。

 これに対し、Bはこう思うだろう。 

「俺もやる事あるんだが…。その分増える俺の負担は思いやらないのかい」ーと。

 確かに、「人を思いやること」はそれ自体はいい心がけである。

 しかし、「『思いやり』という観念」を用いる際には細心の注意が必要である。

 「思いやり」という響きの"正しさと美しさに浸る"あまり、他人にも「人を思いやるコト」を要求してしまいがちだからだ。

 このとき、この者は、大抵相手に生じるタスクの負担を思いやっていない

 思うに、実生活、とりわけ仕事においては「思いやり」ではなく、「タスク均分」を心がけるべきである。

 ここで「タスク均分」とは、「彼我の負担する業務を全て把握して秤にかけ、他に比べて多く生じている人間の負担を、業務の一環として、可能な範囲で、まずは自分に振り分けること」と考える。

 重要なのは、あくまで「業務の一環として」やることだ。これにより「思いやり」と思ってするときに多少なり生じる、「貸し借りの感情」を限りなくゼロにできる。

 また、「まずは自分」が率先してやることが重要である。他人に"思いやらせるならば"、それはもはや"思いやりではない"。

 この「タスク均分」を心がけることにより、かえって"適切な思いやり"を実現できるのだ。

 「タスク均分」は「思いやり」の上位互換の概念ではない。

 むしろ、「思いやりの精神を"実質的"なものにする」ためのマインドである。

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