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Kamvas 13とミニPCで構築するモバイル環境
Kamvas 13とNucBox M7で構築するプロの制作環境
持ち運べるクリエイティブ環境で、どこでも制作を快適に!
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持ち運び可能なクリエイティブ環境を構築する場合、通常はiPadやGALAXY Tabなどのタブレット端末、もしくはSurface Proのような2in1 PCが一般的な選択肢とされています。
しかし、今年のブラックフライデーセールを機に、新たな選択肢を模索することにしました。
実は、以前使用していた持ち運びに適したサブデバイスを手放してしまい、改めて購入を検討したのですが、タブレット端末や2in1 PCは非常に高額です。
例えば、コストパフォーマンスに優れたMinisforum V3でもAmazonでは15万円超、公式サイトでも14万円超。
iPad ProやGALAXY Tab Sに至ってはさらに高額で、サブデバイスの予算的に現実的ではありませんでした。
そこで注目したのは、ミニPCとモバイルモニターとの組み合わせでした。
さらに、モバイルモニターを軽量タイプのペンディスプレイ(液タブ)にすれば、単なる映像出力だけでなく、クリエイティブ用途に特化した使い方も可能になります。
この構成なら、コストを抑えつつ、コンパクトでパフォーマンスの高い制作環境を10万円以内で実現できると考えたのです。
また、USB4やThunderboltの普及により、モニターとPC本体をケーブル1本で接続できるようになり、配線の煩雑さが解消されつつあります。
ミニPCはバッテリー駆動ができないものの、電源カフェやコワーキングスペースの増加で電源の確保が容易になり、この欠点が問題になりにくい環境が整いつつあるのもポイントです。
さらに、私はこの構成を実現するために、ミニPCに付属する大きなACアダプターをPD100W対応のモバイル充電器に置き換えることを目指しました。
これにより、持ち運びやすくコンパクトなクリエイティブ環境を構築しようと考えましたが、後述するようにこの計画は想定通りにはいかず、試行錯誤の過程を経ることになりました。
この記事では、この試行錯誤の記録を含めてお届けします。
クリエイティブ用途で使えるサブデバイスが欲しいものの、タブレット端末や2in1 PCが高額すぎて手が届かない方や、ペンディスプレイ環境を求めているもののBTOデスクトップPCのコストがネックと感じている方には、この構成が新たな選択肢として参考になるかもしれません。
購入したデバイスの紹介
様々に検討し、実際に購入したのがHuionの「Kamvas 13(Gen 3)」とGMKtecの「NucBox M7」でした。
ミニPC:GMKtec NucBox M7
NucBox M7を選んだ最大の理由は、USB4のType-Cポートが2基あることでした。その理由は以下の通りです:
ミニPC自体は筐体がコンパクトで持ち運びやすいものの、付属のACアダプターは非常に重くかさばるため、モバイル充電器での給電を想定していた。
DCポートをType-Cに変換するアダプターも販売されているが、信頼性が未知数であるため、給電に1基、モニター接続に1基と、Type-Cポートが2基必要だった。
さらに、搭載しているCPU(Ryzen 7 PRO 6850H)、メモリ(16GB DDR5)、ストレージ(512GB NVMe SSD)を考慮すると、この価格帯では非常に安価であり、購入を決めました。
これらのスペックにより、Clip Studio Paintを快適に動作させられることを期待できたのもポイントでした。
ちなみにM7 Proという上位機種があり、こちらもコストパフォーマンスに優れます。
人によってはメインで使うこともできるストレージとメモリ量です。
ペンディスプレイ:Huion Kamvas 13
Kamvas 13を選んだ理由は、以下の複数の要因によるものです:
現在使用しているペンディスプレイ「Kamvas Pro 19」と同じHuion製品であるため、同じドライバーを使用できる互換性があったこと。
Kamvas 13はPentech 4.0テクノロジーを採用したPW600シリーズのペンに対応するHuion製品の中で、持ち運びを想定した小型モデルとして唯一の選択肢だったこと。
高い描画精度や発色性能に加え、作業効率を高めるショートカットキーやデュアルダイヤルコントローラーが搭載されている点。
Kamvas 13は軽量かつスリムで、外出先でも使いやすい設計になっていたこと。
余談ですが秋葉原のHuion直営店で購入すると20%オフで購入できます。
また、より安価なMPP対応ペンが使用できるモバイルモニターや、Wacomの「Wacom One」、Movinkも検討しましたが、使用感や互換性、操作性を総合的に判断した結果、Kamvas 13が最適だと判断しました。
基本情報
Kamvas 13 (Gen 3)の基本情報
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GMKtec NucBox M7の基本情報
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レビュー(試行錯誤の連続)
意図しなかった追加購入の発生
まず、NucBox M7に想定していたPD100Wの給電がうまくいきませんでした。
手持ちのHyperJuice製100W充電器ではスイッチが入るものの、途中で電力不足によりシャットダウンしてしまいます。
また、DCポートにType-C変換アダプターを使用しても同様の結果に終わりました。
このため、目論みは崩れてしまいましたが、諦めきれずにさらなる検証を行いました。
100Wの給電に加えて、65W出力のモバイル充電器を併用し、2基のモバイルバッテリーからType-C接続で給電すると、安定して起動することが判明しました。
この結果を受け、より大出力のモバイルバッテリーを追加購入する必要が出てきました。
購入したのは「UGREEN Nexode 300W 充電器」です。
この製品は単ポート140W出力が可能で、現状では最高峰のモバイルバッテリーです。
他にも単ポート140W出力対応の製品はありましたが、充電器全体としての汎用性を高めるため、他のポートでも100Wや65Wといった高出力が得られるUGREEN Nexode 300Wを選びました。
この仕様により、ミニPCだけでなく他のデバイスを同時に効率よく充電できる点が魅力でした。
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実際には単ポート140W出力があれば良いのでここまでの製品は必要ありません。
下の2機種が比較的安価でいいかと思います。
注意点としてはケーブルのほうも高出力に対応していないと意味がない点です。
併せてリンクを貼っておきます。Nexode 300Wは240W対応ケーブルが付属していました。
UGREEN Nexode 300W 充電器
Nexode、NucBox M7、Kamvas 13の接続レビュー
実際にUGREEN Nexode 300W 充電器、NucBox M7(ミニPC)、Kamvas 13(ペンディスプレイ)を接続して試してみました。
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まず、NexodeのType-Cポートを直接NucBox M7に接続しましたが、電源が入りませんでした。
おそらく、ミニPCとの接続時に動作が安定しない恐れのため、Nexode内部の仕様で給電が制限されたのではないかと推測されます。
そこで、以前は使い道がないかと思われていたDCポート用Type-C変換アダプターを噛ませてNucBoxに接続したところ、無事に電源が入りました。
この状態でさらに性能を確認するため、CINEBENCH R23を計測してみました。
計測開始直後に電源が落ちてしまうという問題が発生しましたが、BIOS設定を「Balance」から「Quiet」に変更することで、CINEBENCHを完走させることができました。
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BluetoothキーボードではBIOSに入れないので、有線接続かレシーバータイプのキーボードを用意してください。
Nexode 300W 充電器に接続しQuietでのスコアは以下の通りです
シングルスレッドスコア:1471
マルチスレッドスコア:12059
このスコアは、クリエイティブ用途に十分な性能を発揮しているといえます。
試行錯誤を経て、ようやく持ち運び可能なクリエイティブ環境を完成させることができました。
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さらに、この環境を実際にStarbucksへ持ち込み、試運用してみました。コンパクトな設置スペースに収まり、充電用の電源タップも容易に確保できたため、問題なく作業を進めることができました。
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当たり前ですが、こんなモノ持ち込んでる奴は一人もいませんでした。
Kamvas 13(Gen 3)の詳細レビュー
描画性能とペンの操作性
Kamvas 13に付属するペン(PW600L)は、8192レベルの筆圧感知と±60°の傾き検知に対応しており、描画時の精度と反応速度が非常に優れています。
また、Huionの最新技術「PenTech 4.0」を採用しており、筆圧の緩急をスムーズに反映し、線の太さや濃淡の表現を直感的に行うことができます。
PenTech 3.0との比較
前モデルのPenTech 3.0と比較すると、Kamvas 13(Gen 3)の描画体験は大きく向上しています。
例えば、PenTech 3.0搭載モデルでは、ディスプレイ四隅でのカーソルのズレが発生していましたが、PenTech 4.0ではこの問題が完全に解消されています。
また、ペンを接地した状態で傾けると、カーソルが傾きの角度に合わせてズレていく現象もPenTech 4.0ではほとんど気にならないレベルに修正されています。
ナノエッチング加工が施されたアンチグレアガラスは、紙に書いているような自然な描き心地を提供し、フルラミネーション仕様によりカーソルのズレが最小限に抑えられているため、繊細な作業でもストレスを感じません。
Kamvas Pro 19との比較
Kamvas 13に付属するペン(PW600L)と、Kamvas Pro 19に付属するペン(PW600)には細かな違いがあります。
Kamvas Pro 19のペンには、いわゆる消しゴムスイッチとして使用できるテールスイッチが搭載されていますが、Kamvas 13のペンにはこのスイッチがありません。この違いに特段の影響を感じない人が大多数ですが、テールスイッチを好む人にとっては違いとして認識しておくべきポイントです。
Kamvas Pro 19に関しては以下のnoteでも書いていますのでよろしければ!
Kamvas 12との違い
Kamvas 12との比較では、PenTech 4.0への更新のほかに、Kamvas 13では一般的なType-C(PDおよびAlt-DP対応)ケーブルで接続可能になった点が大きな改善点です。
Kamvas 12やKamvas Pro 13/16では、Huion製の特殊なケーブルしか使用できず、他社製ケーブルでは接続できないという制約がありました。この問題がKamvas 13で解消されたため、より汎用性が高くなっています。
カラーパフォーマンス
Kamvas 13は、sRGBカバー率99%、Adobe RGBカバー率90%、Rec.709カバー率99%といった広い色域を実現しており、色再現性に優れています。
写真やイラストの制作時に、微妙な色彩の差異も正確に反映できるため、プロフェッショナルな品質を追求するクリエイターにも最適です。
また、Delta E<1.5という色精度も魅力の一つで、印刷やデジタルデザインのカラーマネジメントにも対応可能です。
使い勝手と携帯性
重さ約865gとスリムな設計は、外出先での使用を想定したモバイル性を備えています。
デュアルダイヤルコントローラーや5つの静音キーを搭載し、ショートカット操作も直感的に行えるため、効率的に作業を進められます。
さらに、USB-Cケーブル1本での接続に対応しているため、配線が簡潔になり、設置の手間が軽減されました。
これにより、限られたスペースでも快適に作業を行えます。
ミニPCとペンディスプレイをモバイル運用するメリットとデメリット
メリット
1. コストパフォーマンスの良さ
高額なタブレット端末や2in1 PCに比べ、ミニPCとペンディスプレイの組み合わせは、総コストを抑えながら高性能なクリエイティブ環境を構築できる点が魅力です。特に、10万円以内でこのレベルの制作環境を構築できるのは、予算重視のクリエイターにとって大きな利点です。
2. カスタマイズ性と拡張性
ミニPCはBTOデスクトップPCと同様に、メモリやストレージの増設などのカスタマイズが可能です。ペンディスプレイも、専用スタンドや外部モニター接続を追加することで、用途に応じた柔軟な運用が可能です。
3. 陳腐化への耐性
ミニPC、ペンディスプレイ、その他周辺機器がそれぞれ独立しているため、特定のパーツだけを交換・アップデートすることで、長期間にわたって最新の性能を維持できます。例えば、PC本体を最新モデルに変えることで描画ソフトの要求に対応し、ペンディスプレイはそのまま使い続けることができます。この分離構成は、タブレット端末や2in1 PCのような一体型デバイスに比べ、陳腐化のリスクを大幅に軽減します。
4. 描画性能と操作性の高さ
Kamvas 13(Gen 3)は、8192レベルの筆圧感知や±60°の傾き検知、広い色域など、プロフェッショナルな用途にも対応できる性能を持っています。タブレットでは実現が難しい、精密な描画体験が得られる点がメリットです。
5. 持ち運びやすい構成
ミニPCとペンディスプレイは軽量設計で、バックパックにも収まりやすいサイズ感です。USB-C接続に対応したことで、配線もシンプルにまとまり、外出先でのセットアップが容易になりました。
6. 他デバイスとの互換性
ペンディスプレイは、WindowsやMac、Androidといった複数のOSで動作可能なため、既存のデバイスとも簡単に組み合わせて使用できます。また、USB-Cポートが標準化されているため、接続機器の選択肢も広がります。
デメリット
1. 電源の確保が必要
ミニPCはバッテリーを内蔵していないため、モバイル運用では外部電源が必須となります。電源カフェやコワーキングスペースなど、コンセントが利用できる環境が前提になります。
2. 追加購入の発生
電源確保のため、PD対応の高出力モバイルバッテリーや変換アダプターが必要になる場合があります。今回の運用では、UGREEN Nexode 300Wのような高性能充電器を追加購入する必要があり、計画外のコストが発生しました。
3. 持っていく物が多くなる
ミニPC本体、ペンディスプレイ、充電器、ケーブル類、必要に応じてスタンドやポーチなど、持ち運ぶ物が多くなります。一体型のタブレット端末や2in1 PCに比べて、携帯性の面では劣る点が課題です。
4. 持ち運び時の重量増加
ペンディスプレイやミニPC本体は軽量でも、充電器やケーブルなどの周辺機器を含めると全体の重量は増加します。特に、UGREEN Nexode 300Wのような重量級の充電器を持ち運ぶ場合、全体で1kg以上になる点はデメリットといえます。
5. セットアップの手間
タブレットのように「電源を入れるだけで作業開始」とはいかず、ミニPCやペンディスプレイの接続・設定を行う手間があります。頻繁に移動する場合、このセットアップ作業が負担になる可能性があります。
6. 高出力対応デバイスの必要性
ミニPCやペンディスプレイは高出力の電源が必要な場合が多く、安価な充電器やケーブルでは動作が安定しないリスクがあります。このため、選ぶ周辺機器の仕様にも注意が必要です。
結論
ミニPCとペンディスプレイをモバイル運用するメリットとしては、高いコストパフォーマンスと描画性能の両立、陳腐化への耐性、拡張性の高さが挙げられます。一方で、電源の確保やセットアップの手間、携帯性の課題といったデメリットもあります。
この構成は、コストを抑えつつ柔軟なクリエイティブ環境を求める方にとって、大きな可能性を秘めた選択肢です。ただし、持ち運びの負担や使用する環境を十分に考慮したうえで導入することをおすすめします。
ぜひ、この記事を参考に、自分に最適なクリエイティブ環境を見つけてください!
質問などがあればコメントを残していただければと思います。
Xでも大丈夫です!
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