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現実と夢と

ときどき夢に知る人が現れる。いつもよく顔を合わせる友人の時もあれば、想い人のときもあるし、血縁関係者のときだってある。

深くは考えないけれど、そういうときはお互いにお互いのことを思い出してるから、夢に見るのだろうと感じてる。夢の内容を深掘りすることはそんなにない。

海外に暮らしている血縁関係者からエアメールが続けて届いた。最初はご自身の大きな病気から来る不安と愚痴。二通目はご自身の家族との関係。「最後にします」と届いた三通目には、病気の完治と私の母について書かれていた。高齢からくる不安がそう書かせたのだろうと受け止めているけれど、独り暮らしで可哀想だからとにかく面倒をみてやれ、と。

一般的な考え方なのだろうけど、娘が母親の面倒をみるのが良い、と言う人が多い気がする。ホームヘルパーの経験から思うのは、性別は関係ない。息子であっても手厚くケアされる方も多くお見かけした。ヘルパーさんの手を借りられずに家族をケアするということは、ケアする側が働きながらでも、負担が大きい場合もある。ケアに専念するとなったら、どこからもお給料は入らず生活することになる。兄弟がいたとしても、果たして兄弟がケアが必要な家族とケアに専念している家族を、養えるほどの金銭を渡せることを当然と捉えるだろうか。と想像する。

ホームヘルパーとして働きながら、血縁関係者をケアしたときは会社からお給料が頂けたけれど、なかなかに気持ちの切り替えが仕事に悪影響を及ぼして、私には合わないと感じていた。かといって、ルールを破ることも出来ないし、生活のための収入を途絶えさせるのも難しく。

そんなことを思い出していたら、海外に暮らしている、その血縁関係者もそこまで考えてないのだろうな、としか思えなくて。そして、私も同じく一人暮らしだから、孤独死の可能性なら十分にあるのだけど。

そのエアメールがきっかけになり、夢に母が出るようになった。そもそも、小さな子供を脅すようにしか物事を教育することしか出来ない人だったので、キッチンに仲良く並んで料理をするだなんてフィクションでしかないし、事実、夢でもやはり脅してくる人だった。何度も母が出てくるので、夢寝見が最悪で全身が痺れて目が覚めるのだ。時折父が現れて、私を庇うように母から遠ざけてくれたりもした。

が、父はもうこの世にはいない。

何年も顔を見ていない母ではあるが、だからこそ私の悪口を言いやすい環境の中にいるわけで。そこへのこのこと顔を出そうものなら、意味の通じない何かを言われたりするんだろう。それに懲りて、生まれ故郷へ行くのも辞めたくらいだから。理由も分からず睨まれたりだとか、耐えられるはずもない。

せめて、夢の中だけでも私の自由にさせてほしいのに。目が覚めても血縁関係者を思い出すだけで、嘔吐してしまうくらい苦しい。

この状況から逃れるには、寝ることも叶わないのなら一体どうすれば良いものなのか。

家族という私にとっての幻想から目を逸らすべく、そして自分の中の抉られた傷と向き合うために、カウンセリングで私に傷をつけた刃を思い出しながら話す時間に意識を預ける。

永遠に続かないことを願いながら。

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