The most German supermarket/EDEKA
カンヌライオンズ2018 PR部門
移民排斥論争が起こる中、ドイツのスーパーマーケットが自社店舗の輸入製品を棚から消した。これによって9割の商品はなくなり多様性の大切さを訴えた。
・ファクト
2017年、イギリスがEU脱退、トランプ大統領がメキシコに壁を作ろうとしたりしてドイツにも移民排斥を掲げる右翼政党AfDの支持率が上がっていた。
・内容
ドイツのスーパーEDEKAは国外商品を一日限定ですべて取り除き、多様性の大切さを訴えた。結果、移民問題について国内でメディア、個人間でたくさんの議論が起こった。
(The Most German Supermarket (Edeka Case Video)/Creativity - Cannes Lions)
(The Most German Supermarket (Edeka Case Video)/Creativity - Cannes Lions)
・ターゲット
ドイツ人でなんとなく移民排斥派の人たち
・このキャンペーンで果たす役割、目的
市民がよく使うスーパーで輸入商品をなくすことで、ビジュアルとして分かりやすく「多様性の大切さ」について訴えた。それによって自社の立場の表明、世間に多様性についての議論を起こす
・ターゲットインサイト
移民で問題はいろいろあることは分かっている。でも自国商品にするだけでスーパーでこんなにも商品がなくなるなんて、、、自分たちで生きることはできないからお互いがどう折り合っていくのかを考えなければ
・このキャンペーンのイメージ
身近なデモンストレーション、多様性とは、
・メモ
ギモン
・diversityの大切さなんていうのは移民を受け入れているドイツ人だったら分かっているはず。それをわざわざスーパーでドイツ製でないものをなくす意義はどこにあるのだろうか。
→たぶんこれはPRで企業認知度をあげようとしてやっているわけじゃなく、移民論争が苛烈する中での自分たちの立ち位置を示すキャンペーンだったのではないか。このキャンペーンが広がることによってEDEKAの認知度をあげたいという気持ちがあまり見えない。それよりも「自分たちは移民排斥に断固反対だ。」という覚悟を見せつけたキャンペーン。
分かったこと
・海外のPR事例を見ていて気付いたのは、政治だったり国内で起こっている問題に対して企業として意見を提示しているということ。日本ではあまりそういうものが少ない気がする。課題解決をしてるのは商品を売ってほしいというクライアントの要望と顧客の生活上のインサイトで、日本で問題になっている政治の汚職とか忖度発言とか高齢者の自動車事故とか、そういう社会的事件に絡めたPRが少ないと思った。
・移民国家で多様性の論争になったとき、一番倫理的に大義を掲げられるのは”他民族との共存”。多様性とは聞こえがいいが、ドイツ人以外の移民による犯罪などいろいろな問題もあるから排斥運動もこんなに大きくなっている。そういう流れの中で世間を味方につける論は移民受け入れ派であれば”多様性”だし、移民反対派であれば”尊重”?もうちょっと移民論争が下火になったら今度は移民によるトラブル、それを解決するための企業のPR戦略も出てきそう。
参考文献
https://www.webbyawards.com/winners/2018/advertising-media-pr/pr/best-viral-pr-campaign/the-most-german-supermarket/?/
–AfD