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山の世界を描いた本3選!


はい、今回は山の世界を描いた本を3つ紹介していきます。

小説という形で表現しているもの、エッセイでリアルな体験談を書いたもの、合わせて3冊です。


登山が趣味の一つとして認知されている中、山の気候や環境はやはり厳しい…
しかしそんな厳しい自然の中だからこそ、得られる知見もある。
そんな世界を、一緒に覗いていきましょう。





一冊目は、

みかんとひよどり
/近藤史恵(著)  KADOKAWA出版



こちらは小説です。

話のあらすじは、始めたばかりの猟で遭難してしまった、潮田亮二。
相棒の猟犬と共に途方に暮れていたところ、無愛想な猟師・大高に助けられる。
かねてからジビエを料理したいと考えた潮田は、大高の仕留めた獲物を店で出せるように交渉する。
しかし、あっさり断られてしまいーー。

夢を諦め、ひっそりと生きる猟師。自由奔放でジビエへの愛情を持つオーナー。謎の趣味を持つ敏腕サービス係。
ふつうと少し違うけど自分に正直な人たちの中で、潮田は一歩ずつ変わっていく。
人生のゆるやかな変化を、きめ細やかに描く、大人の成長物語。

…とありますが、舞台がジビエを捕れるような山です。

経験の浅い潮田が開始早々山で遭難する描写にあるとおり、実際の山も、知識や準備無しで入れば即、命に関わるような、危険な場所です。


そんな自然の厳しさを前に、人はいかに無力かを噛み締めることになります。
そんなシーンから始まるこのお話では、2人の男の出会いから山で生きる様子や街での生活との対比がリアルに描かれていきます。

登山やハイキングのような楽しい側面からではなく、自然の中で生きる人たちの視点から見た山の姿があります。



2冊目は、
父子で考えた「自分の道」の見つけ方
/野口絵子、野口健(著)  誠文堂新光社


アルピニスト、登山家として有名な野口健さんと、その娘である野口絵子さんの対談本です。


アルピニスト・野口健さんの高校生のひとり娘・絵子さんは、山に心惹かれて9歳より本格的な登山に挑戦しています。

15歳でキリマンジャロに挑戦した時には5年に1度という吹雪に見舞われ、多くの登山者が下山する中、自ら決断しアタック、見事に父娘登頂を果たしました。

進学についても、中学から進級が見込める付属の高校ではなく、あえて厳しい道を選び海外現地高校に進学。
冒険家である父親も驚くほど、チャレンジ精神が旺盛です。

絵子さんは、小さいころは引っ込み思案だったといいます。
しかし今では登山やテレビ出演、学校生活でも積極的にアクティビティに参加し、青春を謳歌しています。
いったい何が自分の中で変わったのか。お父さんという存在が与える影響はあったのか。

この本では、父・健さんと娘・絵子さんの対話を通じて、「自分の道」を見つけるとはどういうことなのか、を一緒に考えていきます。


2人に共通するのは、「山を登ること」。

幼い頃から父親が有名人だった絵子さんは、思春期に自分のあり方や生き方について見つめ始めます。

多感な時期に考え、決断したことを今高校生になって父親と対談する絵子さんの心の成長と、それを見守りつつ受け止める健さんの二人の会話。

そこから自分はどんな道を歩こうか、読者も一緒に考えていける1冊です。




3冊目は、

山小屋ガールの癒されない日々
/吉玉 サキ(著)  平凡社


北アルプスで10年働いた著者が、隅から隅まで描いた山小屋生活のエッセイです。

山小屋という特殊な環境下で経験した様々なことを描いています。
登山者からは見えない、お風呂や水の確保、スタッフ間の人間関係など、山登りを経験したことがなかった著者が驚きつつも受け入れていきます。


特に響いたのは、冒頭。
よく社会不適合者、と言いますが、その社会は一つだけではありません。
山には山の社会が、下界には下界の社会がそれぞれあり、その分野や場所ごとに社会の中身は少しずつ違います。
自分がある社会に対して不適合だったとしても、違う社会なら適合するかもしれません。

そんなことを最初の辺りで言っていて、なるほど確かにその通りだな、などと思いました。




はい、いかがでしたか?

山で生きる人、山に登る人、それぞれの事情を描いた本を3冊紹介してみました。


1.みかんとひよどり
/近藤史恵(著)  KADOKAWA出版

2.父子で考えた「自分の道」の見つけ方
/野口絵子、野口健(著)  誠文堂新光社

3.山小屋ガールの癒されない日々
/吉玉 サキ(著)  平凡社


山登りをしたことが無い人や興味が無い人でも読みやすい本ばかりだと思います。

この本を読んで、山に関心を持つか持たないかは読者次第ですが
「こういう世界もあるんだな〜」「こんな視点もあるんだな」くらいに受け止めると、視野が広がる出んじゃないかなと思います。

気になる1冊があれば、リンクから飛べるので是非読んでみてください!


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