日本茶日記3〜品種:やぶきた〜

品種の話

現在、日本のお茶の品種は2つの法律制度に基づいて登録されていて農林認定品種が57種類、種苗法登録品種が75種類(2019年2月24日現在)。両方に登録されている品種もあるようだが、大まかに100種類以上はあるみたい。

100種類って、自分今まで何種類飲んだだろう。。

多くても10種類ぐらいかも。


その中でも、全国の茶園で約7割強の栽培面積を持つのが「やぶきた」

品質が高く、寒さに強く、土地を選ばない優良品種。南から北まで茶園があればだいたい植えられいる。苦味と甘み、旨味がちょうどよく飲みやすく、お茶が発展できたのは「やぶきた」があったからとも言われほどの品種。弱点があるとすれば、特定の病気に弱いぐらい。

普及の背景はお茶の凍霜害に対する技術が十分でなかった時代に寒さに強く、高品質で育てやすい「やぶきた」は安定的な生産ができると人気になり全国へ広まりました。発見者は「杉山彦三郎」。

この文章を書くために「杉山彦三郎」のことを初めて調べてたけど、壮絶な人生にちょっと泣けてきた。

お茶の製造技術のみが重視され、品種改良という概念がない時代に、「杉山彦三郎」はお茶の木に早生、中生、晩生種があること、良い木と悪い木があることを発見。そこから、「やぶきた」となる木を発見し、選抜する。しかし、周りの理解はなかなか得られず、やっと理解者が現れたと思ったが、数年でいなくなる。その後は品種改良を快く思わない人たちのには妨害をされ、研究茶園は没収、研究成果の茶の木は全部抜かれて燃やされたという。

酷すぎる。そういう時代だったとしても、残酷。

それでも、「杉山彦三郎」は諦めずに、実費で畑を借り研究を続ける傍、地域の青年らに品種改良の技術を伝えます。そして、84歳で「やぶきた」の普及を見ることなく他界。その15年後に「やぶきた」はその優良性が認められ奨励品種に指定。輸出、改植のブームに乗って爆発的に全国に広がったそうです。


個人的にNHKの大河ドラマか朝ドラにしてほしいぐらいの悲しく、波乱万丈な物語。ちなみに品種改良に失敗を繰り返している姿を見て、イタチと呼ばれたそう。可哀想だ。


そんな先人の苦労と情熱であって、今こうしておいしお茶が飲めるんだと思うと、頭が下がります。これからもお茶を頂いていきます。


*参考文献

・市川園HP 

・農林認定品種データベース 種類:茶

・農林水産省品種登録

・カワサキ機工株式会社HP

・公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会

・日本茶のすべてがわかる本(日本茶検定公式テキスト) /NPO法人日本茶インストラクター協会 企画・編集




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