緊張を克服する科学的アプローチ:系統的脱感作療法による面接成功のステップ
レトリカ教採学院、学院長の川上です。
以前のブログ、【緊張や不安を払しょくするには、99レベルになるしかない。】でも、緊張について、考察していきましたが、本日は、教職教養の知識・理論の側面から科学的に、緊張の克服について、迫っていきたいと思います!
系統的脱感療法(Systematic Desensitization)
「系統的脱感療法(Systematic Desensitization)」は、心理学者ジョセフ・ウォルピによって1950年代に開発された行動療法の一種で、特に不安症や恐怖症の治療に効果的です。
この療法の目的は、恐怖を感じる刺激に対する不安反応を軽減し、適応的な反応に置き換えることです。
主に以下のステップで進行します。
1. 不安階層表の作成
患者が恐怖や不安を感じる状況や物事をリストアップし、それを「最も恐怖を感じるもの」から「最も軽度の不安を感じるもの」まで階層化します。
このリストは治療の指針となり、最も軽いものから段階的に進めることで、患者が無理なく不安に向き合えるようにします。
2. リラクゼーション技法の習得
リラクゼーション技法(例:深呼吸、漸進的筋弛緩法)を学び、不安が増す状況に直面した際に緊張を和らげるスキルを身につけます。
リラクゼーション反応を得ることで、不安を感じる状況においても落ち着きを保ちやすくなります。
3. 段階的な露出と脱感作
不安階層表に基づき、最も軽度な不安要素から順に、想像あるいは現実の場面で段階的に露出させていきます。
各段階でリラクゼーションを活用し、不安が減少するまでその状態を維持します。
不安が十分に低減したときに次の段階に進み、最終的には最も高い不安を感じる場面でも適応的に対応できるようにします。
効果と実際の応用
系統的脱感療法は、特定の恐怖症(高所恐怖症、動物恐怖症など)や社交不安障害、さらには心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの治療においても効果的であるとされています。
この治療法は、段階的であることと、リラクゼーション技法を組み合わせることによって、患者が恐怖刺激に対する適応力を、無理なく高めていけるのが特徴です。
また、VR技術を用いた仮想現実療法など、新しい形態の脱感作法も研究されています。
面接での緊張を和らげるために
系統的脱感作療法を使って面接での緊張を和らげるには、緊張を引き起こす具体的な要因に順応し、段階的に安心感を高めていくアプローチが効果的です。
以下に、その方法をいくつか紹介します。
1. 不安階層の作成
まず、面接の際に緊張を感じる状況や要因(例:「自己紹介」「突発的な質問への回答」「沈黙の時間」)をリストにして、軽度の不安から強い不安まで階層的に整理します。
この階層化は、段階的に緊張を克服するための計画を立てる、基礎となります。
2. リラクゼーション技法の導入
面接場面で感じる緊張や不安に対処するため、深呼吸や筋弛緩法といったリラクゼーション技法を練習します。例えば、質問に答える前に深呼吸を行い、身体と心を落ち着けることが重要です。
面接の練習時や、実際の面接場面でこれを意識的に活用することで、不安感が高まる場面でも平常心を保ちやすくなります。
3. 段階的な模擬面接の実施
不安階層の順に従って、軽い緊張を感じる場面から始めて、少しずつ難易度を上げていく模擬面接を行います。
たとえば、最初は家族や友人に対して自己紹介を行い、次に緊張しやすい質問への回答を練習し、最終的には第三者を交えた本格的な模擬面接を行うと効果的です。
段階ごとにリラクゼーションを取り入れ、徐々により困難な場面に対応できるようにします。
4. ポジティブなイメージトレーニング
面接で成功している自分をイメージすることも有効です。
これは、系統的脱感作療法における「想像露出」に相当し、安心感を感じながら自己イメージを肯定的に変化させることができます。
成功体験をイメージすることで、自信が強化され、面接に対する恐怖心が和らぎます。
これらのステップにより、段階的に面接への耐性が増し、緊張をコントロールする能力が養われます。
系統的脱感作療法の原則に基づいた練習により、面接での不安を徐々に克服することが可能となります。
いかがだったでしょうか。
面接において、緊張してしまう人、不安になってしまう人は、多いと思います。
オープンチャットに参加している人たち、教採対策講座を開講する講師たちに「どうすれば緊張せずに面接に臨めますか?」と尋ねても、このレベルでの緊張の緩和、不安の払しょくを助言してくれる人は、いないことと思います。
感覚・イメージや感情での助言ではなく、知識と論理を駆使して、科学的に、根拠をもって、緊張や不安を脱感していくのがいいですよ!
ではまた!
レトリカ教採学院
学院長
川上貴裕