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予測不能のクライム・サスペンス!『クジャクのダンス、誰が見た?』の魅力を伝えたい!
普段の生活の中で、辛いことや嫌なことで落ち込んだり、気分が乗らないときに少しでも気持ちを前向きにする“きっかけ”がほしいときはありませんか?
僕はマンガを読んでいると、「こんなふうに考えることができなかった!」ということや「こんな捉え方があるんだ!」と、自分を見つめ直す“きっかけ”になる言葉に出会うことがあります。
今回はマンガが好きすぎて、貯蔵量が70,000冊を越えながらも毎月新マンガを買い漁っている僕が、続巻が出るたびにいまも読み返している『クジャクのダンス、誰が見た?』より、僕自身の価値観や経験を通して心に刺さった言葉を厳選して紹介したいと思います!
本作は2025年1月現在、単行本は6巻発行&連載中、このマンガがすごい!2024:オンナ編第4位を受賞し、2025年1月よりドラマ化され、絶賛ドラマ放送中の作品です。
クジャクのダンス、誰が見た? 概要・感想
『クジャクのダンス、誰が見た?』はクリスマスイブの夜に大学生の山下小麦が元警察官だった父の山下春生とラーメン屋を食べ、1人で映画を見て帰宅した際に家が燃えて父が殺害された事件から始まる物語で、事件の犯人が逮捕されるも父の遺した手紙には「自分が殺されて犯人が逮捕されたとき、以下に挙げる人物が逮捕されたら冤罪だ」と記されており、その人物の中には父を殺したとして逮捕された遠藤友哉の名前も含まれているという新たな局面から物語が動き出すクライム・サスペンスです。
ちなみにクライムサスペンスとミステリーはニュアンスが少し違い、ミステリーは「すでに起きた犯罪(過去の事件)を外から解決する話ですが、クライムサスペンスは「現在進行形で起きている犯罪」の中に登場人物が身を投じている話という違いがあります。(表現がややこしいですね…)
父の手紙には松風という弁護士に容疑者の弁護を依頼してほしいということが書かれており、心麦は弁護士の松風とともに真相を追い始め、調査の中で父が関与していた「東賀山事件」と呼ばれる一家六人惨殺事件の存在が浮かび上がり、事件に深く関わる雑誌記者の証言や心麦自身の出生に関する秘密、そして冤罪疑惑など、複雑に絡み合う謎が少しずつ明らかになっていきます。
この作品の魅力で面白いところは、全ての登場人物が一筋縄ではいかず、セリフや仕草の1つひとつが伏線に思えてしまう巧妙な構成で練られていることと、主人公である心麦の純粋に思ったことを行動に起こす素人探偵のような危なっかしさ、その不安定な行動にハラハラしながら応援せずにはいられない、そんな人間らしいキャラクターだと思います。
心麦は父の遺した手紙を手掛かりに事件を追いますが、その過程で信頼している人を疑わざるを得なくなり、さらには警察からも疎まれる存在となってしまうことによる孤独と葛藤は彼女に共感してしまいますし、一方で、父の遺志を信じて真実を突き止めようと奮闘する姿には彼女を応援する気持ちにさせてくれます。
事件の謎解きだけでなく、その真相が明らかになったときの登場人物たちの心情にも深く踏み込こまれているところや、「真実を知ることが必ずしも心の救いにはならない」というテーマも見えてきて、記者・神井が語った『全てを知って楽になったりしない』という忠告は、物語の終盤でどのように回収されていくのかも気になりますね。
またタイトルである「クジャクのダンス」は、誰も見ていなければその存在すら証明できない、クジャク自身(本人)にしかわからない真実を象徴していて、心麦が追い求める「真実」の多面性が物語のテーマとして全体に重なり、「証拠や証言のどちらが真実か曖昧で、何が事実なのかを知るのは当事者だけなのかもしれない」という揺れ動く感覚やこのタイトルが示唆するものが、物語の中でどのように解き明かされるのかも楽しみの1つだと思えるのではないでしょうか。
事件の背景には警察や司法の隠蔽や闇が絡み、真実を追い求める困難さがリアルに描かれていて、心麦、山下春生、松風弁護士、遠藤容疑者、神井記者、そして警察各々が見定めている事件の真相がそれぞれで違うところを見ているような感じで、「クジャクのダンス、誰が見た?」の喩えは、自供であるけど実際の証拠はないってことでもあって、他者が見たとは言っても本当のことは限らないってことでもあり、この事件の状況証拠だけしかない状態や小麦の親のこと、春生のやりたかったことなど、どれも何かピースが足りない「誰が見たの?」って状態なんですよね。
そして事件の真相が1つひとつ明らかになるにつれて、それぞれの焦点が定まっていくようなゾクゾクとする展開でもあるのに、現状ではまだ事件の真相に辿り着くためのピースは出揃ってない状態なので、めちゃくちゃ続きが気になりドラマも始まったばかりですが、まさかの次巻7巻が最終巻という衝撃的な情報が…。
元警察官殺害事件と一家惨殺事件という2つの大きな事件が絡み合う構成、冤罪や司法制度の問題という重いテーマ、そして心麦が自分の信じる正義を追求する姿や父の残した手紙が真実なのか、それとも偽造されたものなのか、疑いが深まる中でも諦めない強さ、いろいろな真実に直面して絶望を乗り越えて成長していく姿が、自分も新しい一歩を踏み出すきっかけをくれる作品ですので、ぜひ興味のある方は読んでみて損はないと思います!
クジャクのダンス、誰が見た? 名言5選&共感ポイント
この記事は『クジャクのダンス、誰が見た?』©浅見理都/講談社 の内容を引用しています。
泣いても…、父が帰ってくるわけじゃありませんから。それに…、前を向くかどうかは…、私が決めます。
自分の心の内に秘めた強い意思と覚悟が見える言葉ですよね。
愛する家族を失った悲しみは計り知れませんが、それでも「前を向くかどうかは自分で決める」という言葉からは、他者の意見に左右されずに自分の人生を自分で選び取ろうとする芯の強さが感じられて、前進しようとする勇気をもらえると思います。
私…、もう自分にがっかりするの嫌なんです。できることはやっておかなきゃ。
自分自身に失望しないため、そして結果ではなく努力そのものを重視する大切さを教えてくれているように思います。
どれだけ頑張っても理想に届かず、自分を責めてしまうことは誰にでもあるかもしれませんが、それでも後悔を残さないために行動しようという前向きさをくれる言葉ではないでしょうか。
私は自分が楽になりたいから本当のことを知りたいわけじゃないんです。
真実を追い求め、苦痛を伴いながらも楽になりたいということではなく、「誰かを守りたい」、「正義を貫きたい」という強い使命感が感じられますよね。
揺るぎない強い意志を持つときに自分を支えてくれる言葉だと思います。
ーー…ごめん、別に無理して欲しいワケじゃない…。ただ…、前を向くかどうかは自分で決めて欲しかった。焦って答え出さなくてもいい。それで心麦さんが決めたことなら…、俺は応援するよ。
他者を思いやる優しさが溢れていて、心が温まる言葉ですよね。
無理強いせずに自分で決めることを尊重して、相手のペースに寄り添う姿勢が伝わってくる言葉だと思います。
今…、その子は逃げ果せたと思ってるかもな。でも…、それは不幸なことだ。過ちを正す機会を失ったのだから。結局、自分からは逃げられないんだよ。
深い洞察と人間の本質を捉えた鋭さが垣間見える言葉のように思います。
誰もが過ちを犯化してしまうことはあると思いますし、たしかにそれを正すことは自らを成長させる重要な機会でしょう。
「自分からは逃げられない」という言葉は、いずれ真実と向き合う時が来るという避けられない現実を示していて、失敗を恐れるのではなく、それを認めて修正する勇気を持つことの大切さを教えてくれているような気がする言葉ですね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
『クジャクのダンス、誰が見た?』の魅力&自分を見つめ直すきっかけになりそうな言葉は伝わったでしょうか?
学校や会社、いろんな組織、団体などに所属していて、「落ち込んでいるとき、疲れているとき、悩んでいるとき、そして、少しでもあなたが夢に向かって突き進むとき、壁が現れたとき、壁を乗り越えるとき」に、物事の見え方が変わるヒントを見つけてもらえたら嬉しいです。
本作の作者さんが手掛けた『イチケイのカラス』も別の記事で紹介していますので、興味がある方はご覧いただけると嬉しいです。
それでは今回はここまでです。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。