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いま話題のマンガ『路傍のフジイ』の魅力を伝えたい!
普段の生活の中で、辛いことや嫌なことで落ち込んだり、気分が乗らないときに少しでも気持ちを前向きにする“きっかけ”がほしいときはありませんか?
僕はマンガを読んでいると、「こんなふうに考えることができなかった!」ということや「こんな捉え方があるんだ!」と、自分を見つめ直す“きっかけ”になる言葉に出会うことがあります。
今回はマンガが好きすぎて、貯蔵量が70,000冊を越えながらも毎月新マンガを買い漁っている僕が、単行本発売時に思わず表紙買いしてしまった『路傍のフジイ』より、僕自身の価値観や経験を通して心に刺さった言葉を厳選して紹介したいと思います!
本作は2025年1月現在、単行本は3巻発行&連載中、次にくるマンガ大賞2024:ノミネート、このマンガがすごい!2025: オトコ編にランクインされた作品です。
路傍のフジイ 概要・感想
『路傍のフジイ』は40歳の独身男性で会社では目立たない存在のフジイを通して、結婚式に呼ばれたこともなければ、友人たちの輪にも加わらず、彼女もいない、特定の趣味を公言するわけでもなく、一人暮らしで何を楽しみに生きているのかまったくわからない世間的には「浮いている」と評されがちな生き方を、この物語では「誰もが見過ごしてしまうフジイの行動」の1つひとつに焦点を当ててみることで、彼の生き方が実は驚くほど真っ直ぐで美しいものであることに気づかせてくれる、社会の中で「普通」に生きることへの疑問が描かれた作品です。
物語はフジイの職場の同僚や学生時代に関わっていた友人、通りすがりで出会った人など、さまざまな視点でフジイの日々の出来事を中心に、フジイがどのように物事を捉えて行動しているのか、そしてそんな思考に憧れつつも周囲の目が気になってそんなふうに行動できないと思ってしまう人たちの気持ちに共感できます。
フジイの身近なものに純粋な感動を覚えて誰の評価も気にせずに、ただ自分が「良い」と思ったものに従って生きている姿は傍から見ると異質かもしれません。
例えば、ラーメン屋で耳にした音楽が気に入ればCD売り場の店員に聞いた歌を歌ってどの作品かであるかを確認して即購入したり、夜道で桜を見かければ思わず猛ダッシュして近くで楽しんだりと、彼の行動には合理性や効率性を求める現代社会の常識は一切なく、代わりに純粋な好奇心と自分の心に従った選択が詰まっています。
またフジイ自身のことも多く描かれていて、中学時代の話では彼の人間性や考え方が形作られた背景が少しずつ明かされていきます。
当時から彼は周囲に馴染めず、特定のグループに所属しないマイペースな少年であっても、それでも彼は自分らしさを守り、他者に迎合せずに自分の価値観で物事を判断する姿勢を持ち続けていたことは、今のフジイという人物の奥行きや彼が社会の中でどのように自分を確立してきたのかという背景を教えてくれます。
僕自身、この『路傍のフジイ』という作品に強く共感できるポイントは、彼の行動や言葉が「幸せ」や「普通」のあり方について深く考えさせる力を持っているからだと思っています。
フジイというキャラクターが現代社会の価値観に縛られない生き方を貫いていて、効率や承認欲求、他者との比較が支配的な社会の中で、フジイはまるで別次元にいるような存在であり、彼が自分の感情に忠実に生きる姿勢は無意識に感じている「こうでなければならない」というプレッシャーを和らげてくれるのだと思います。
さらに作品全体を通じて感じるのは、フジイの生き方は決して自己中心的なものではなく、むしろ他者の目を気にしすぎる現代人への優しいエールのように感じることができ、「ありのままの自分でいい」、「他人に評価されるためではなく、自分が本当に好きなものを大切にする」というメッセージがフジイの行動を通じて静かに語られているように感じます。
『路傍のフジイ』は、読み手に日常の小さな幸せや、自分だけの価値観を見つけることの大切さを教えてくれる快作です。心に響くフジイの生き方に触れることで、ふと立ち止まり、自分自身の「幸せ」について考えるきっかけを与えてくれます。
素朴に感じるフジイの人柄とその行動や思考から垣間見えるありのままの自分を貫く姿、そして「日常の小さな幸せ」や「自分だけの価値観を見つけること」の大切さを教えてくれる作品ですので、ぜひ興味のある方は読んでみて損はないと思います!
路傍のフジイ 名言5選&共感ポイント
この記事は『路傍のフジイ』©鍋倉夫/小学館 の内容を引用しています。
やりたいことも、知りたいこともたくさんあって…、永遠に生き続けられたらなって思うんです。でも…、いつか必ず終わりが来る。だから価値があるんですよね。
子どもの頃はアニメなどの影響から「永遠に生きたい」みたいなことを漠然と思ったことがありますが、大人になって意外にも「もっとこんなことやりたいな」とか、「時間が全然足りない!」とか、「もっと早くにこれをやっていれば…。」とか、将来の時間を逆算して物事を考えたり、感情が揺れ動いたりするようになったように思います。
この言葉は「有限だからこそ輝く」という時間の価値について深く考えさせられますし、限りある人生の中で自分のやりたいことを精一杯追求していくのは、同時にそれが永遠には続かないことを理解しているからこそ、その瞬間に意味を見出そうとしているんだなと改めて考えさせてくれます。
無限に続く生活が必ずしも幸せとは限りませんし、有限だからこそ1日1日の出来事が特別であることを教えてくれるからこそ、僕たちが「今」や「ここ」を大切にしようとする動機が実はこの「終わりがある」という前提に支えられているという、死や終わりというテーマは重いものをフジイのようにポジティブに捉えたいと思わせてくれる言葉ではないでしょうか。
全員の望みが叶うことは無理かもしれません。でも、幸せに生きることは可能じゃないでしょうか。
現実を突きつけられる論理的な言葉でありつつも、希望を感じさせるメッセージだと思います。
人生ではすべての願望を満たすことが難しいことを僕たちは頭では理解していますが、それでも「すべてを手に入れられなくても、幸せは可能である」という視点は、気持ちを軽くしてくれるというか、ネガティブになりがちな思考の救いとなる考え方のように思えます。
特に他者と比較して満たされない気持ちを抱えやすい現代社会では、「自分にとっての幸せ」を定義してそれを見つけることが重要であるのはないかと気づかされますし、幸福は「すべてを得る」ことではなく、むしろ「自分が納得できる生き方」を選ぶことにあるというメッセージが込められた言葉なのだと思います。
自分も将来、藤井さんみたいになってしまうんじゃないかと思ってたけど…、俺の大きなカン違いだ。とてもこんなふうにはなれない。この人がつまらない人間に見えたのは俺自身がつまらないやつだからだ。
他者と比べて優劣を感じてしまうこともありますが、そもそも自分の者を見る目が自己認識や承認欲求を満たすための視点になってしまっていることを教えてくれていると思わせてくれます。
「藤井さんみたいに」という「みたいに」には、自分自身の不安や欠点、満たされない部分を相手に反映させていて、自分が見ないように、感じないように避けていた内面が映し出される気がします。
それでもそう見えるのは「自分自身がつまらないやつだからだ」と気づけることは、まさに自分を見つめ直すきっかけを与えてくれていることであり、自己成長や自己理解、そして自分にちゃんと目を向けることで見えてくるものがあると教えてくれる言葉だと思います。
私は好きですよ。というか…、藤井さんといる時の自分が好きかな…。藤井さんといると、自分がいい人間になった気がするというか、いい人間でいようと思えるんです。
作中ではフジイの同僚である石川さんがフジイの思考や行動や素敵であると思い、自分もそうありたいと思っているからこそ出てきた言葉だと思います。
尊敬する人や憧れの人が持つ魅力の中には、関わる人たちに安心感を与えることも1つだと思いますし、フジイの場合は、他者に対して自分を偽ることなく自然体で接しているため、石川さんが「藤井さんといる時の自分が好き」と感じるのは、彼女がフジイといることで肩の力を抜いて本来の自分でいられるからだと思います。
ロールモデルというか、憧れの存在のように「いい人間でいたい」と思わせる人柄は、周囲に良い影響を与えて伝播させていく力があると思いますし、自分もそんな人間になれるように近づきたいと前向きにさせてくれる言葉でした
いい人だなって興味を持つと、先回りしてその人の醜悪な部分を知りたくなる。あとで失望したくないから。でもそれは私が弱いからだ。もうそんなことしたくない。人を信じる強さが欲しい。
僕もついやっちゃいがちな思考・行動で「他者への期待が裏切られることを恐れから、先回りしてその人の欠点や弱点を探してしまう」ことがあります。
これはきっと「人間関係への恐れ」なんだろうなと感じてますし、防衛本能からくるものでもあるからこそ、誰しもが陥りやすいことではないかと思います。
それでもその行動を「弱さ」と認識して人を信じる強さを求める姿勢は、大きな一歩を踏み出す原動力になっていくと思いますし、人間関係が深まる過程で「信じること」がどれほど重要で、同時にそれがどれほど難しいかということも考えさせられながら、「信じる強さ」を見つめ直すきっかけを与えてくれる言葉だと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
『路傍のフジイ』の魅力&自分を見つめ直すきっかけになりそうな言葉は伝わったでしょうか?
学校や会社、いろんな組織、団体などに所属していて、「落ち込んでいるとき、疲れているとき、悩んでいるとき、そして、少しでもあなたが夢に向かって突き進むとき、壁が現れたとき、壁を乗り越えるとき」に、物事の見え方が変わるヒントを見つけてもらえたら嬉しいです。
それでは今回はここまでです。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。