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心が温まる隠れた名作マンガ『親に売られた私の幸せな家族』の魅力を伝えたい!
普段の生活の中で、辛いことや嫌なことで落ち込んだり、気分が乗らないときに少しでも気持ちを前向きにする“きっかけ”がほしいときはありませんか?
僕はマンガを読んでいると、「こんなふうに考えることができなかった!」ということや「こんな捉え方があるんだ!」と、自分を見つめ直す“きっかけ”になる言葉に出会うことがあります。
今回はマンガが好きすぎて、貯蔵量が70,000冊を越えながらも毎月新マンガを買い漁っている僕が、単行本発売時に思わず表紙買いしてしまった『親に売られた私の幸せな家族』より、僕自身の価値観や経験を通して心に刺さった言葉を厳選して紹介したいと思います!
本作は2025年1月現在、単行本は全4巻で完結している作品です。
親に売られた私の幸せな家族 概要・感想
『親に売られた私の幸せな家族』は、親に金で売られて奴隷として不幸な人生を歩んできた主人公の少女ソフィアが、新たな家族との出会いを通じて少しずつ幸せを取り戻していく物語です。
ソフィアを新たな奴隷として買い取ったウィリアムは世間では悪評高い噂が流れている人物ですが、実際の彼は誰よりも心優しく、ソフィアや他の奴隷たちに癒しと居場所を提供する存在でした。
僕はこのタイトルを見て作品を手に取ったとき、なんか残酷な感じの展開で進む物語なのかなと思っていましたが、読み始めてみると全く違った印象で「派手な展開や刺激的な面白さ」ではなく、「人間の優しさや温かさ」がじっくりと描かれている作品でした。
物語の冒頭から言われてきたウィリアムが「サディスト」であるという悪評に反して彼の行動には常に思いやりがあり、過酷な環境で生きてきたソフィアや他の奴隷たちを尊重しながら支えていて、「こんな生き方があるのか」とか「器の大きさが眩しすぎてとても真似できないような生き方だ」とも思わされます。
そして主人公のソフィアの成長だけでなく、彼女を取り巻く人物たちの感情が丁寧に描かれているのも特徴的で、ソフィアの先輩であるトマという少年も過去に大きな傷を抱えながら懸命に生きる姿が描かれており、彼の深刻な状況やそれでもソフィアを支えようとする努力が感動的です。
派手な展開がなく、心温まる家族愛として静かに心を温めてくれる感じが個人的に「尊い」と思わせてくれ、特に家族や友情のテーマに触れる場面では自然と涙がこぼれてしまうほど感情表現が刺さりました。
主人公ソフィアだけでなく、ウィリアムやトマといった登場人物それぞれの背景と感情が深く描かれているので、どの人物にも共感できるとおもいますし、彼らの葛藤や成長を見守ることで中世ヨーロッパの雰囲気の物語に没入できるんじゃないかと思います。
親に捨てられた少女が新たな家族の愛情を知って自分の居場所を見つける姿、心を開くまでに繰り返されるトラウマや出会う人たちからの偏見の目に立ち向かう姿、家の汚名をそそぐため貴族の子女が通う学校へ入学して友だちや新たな目標ができたり、友だちに裏切られながらも新しい家族を守るために奔走する姿に胸を打たれます。
静かで控えめながらも深い感動を与える心温まるストーリで、不幸な奴隷少女が新しい家族と共に幸せになるまでが描かれた作品ですので、ぜひ興味のある方は読んでみて損はないと思います!
親に売られた私の幸せな家族 名言5選&共感ポイント
この記事は『親に売られた私の幸せな家族』©鉢谷くじら/スクウェア・エニックス の内容を引用しています。
…別に全部鵜呑みにしたわけじゃねえ。やっぱり人間には裏があると思う。けど、人の優しさを信じられる人間になりたい。
作中ソフィアが絶望するような過酷な経験をし、人間の裏の顔を見てきた彼女が「やっぱり人間には裏がある」と認めつつも、「それでも優しさを信じたい」と願う姿と合わせて「人の優しさを信じられる人間になりたい」と発したとき、僕は目が潤んだと同時にこんな過酷な経験をしてきてもなお、人に希望を持てるのかと心が熱くなりました。
僕も裏切られたり、失望することもたくさん経験してきましたが、自分1人出来事ではなく相手が絡んだものであれば「他者を疑うこと」にすら疲弊し、呆れて疲れてしまう瞬間」がありますが、そんなとき、彼女のように人間の優しさを信じ続ける姿勢は、少しだけ現実を見る視界を明るくしてくれる力を持っているように思えます。
少しだけというのは、そこに希望を見出して動けるようにしてくれる動力源という感覚なのですが、無気力で何も手がつかないような状態になってしまうほどの状況でも、「もう1回だけやってみたい」とギリギリの気持ちを繋ぎ止めて奮い立たせてくれる言葉ではないかと思います。
僕、別に忘れてしまうの辛くないです。だって僕が忘れたとしても、楽しかったことも、嬉しかったことも確かにあって、たくさんの記憶が僕に教えてくれるから。でも僕がそう思えるのはみんなのおかげなんだと思います。
「忘れることが辛くない」という表現は一見冷静で達観した印象を受けますが、その背景には深い感謝と愛情が感じられるように思います。
作中では「事故によって3日経つと記憶がなくなる」というストーリーで出てきた言葉ですが、忘れてしまうという悲しい現状を前向きに捉えられるのは、彼が多くの人から愛され支えられてきた証だと思いますし、もしも、つらい過去の記憶などの刻まれた記憶を「忘れる」ことであったとするならば、少しでも心を和らげてくれることであるとも思うからです。
楽しい記憶が消え去ったとしても、それらが人格や生き方に根付いているという考え方は、過去に縛られることなく未来を歩む強さを示しているようで、「みんなのおかげ」という一言に感謝の念と謙虚さが凝縮されていて、僕たちも楽しい出来事を記憶に刻むこと以上に、それが今の自分を形作っているという意識を持つことで過去との向き合い方が変わるのではないかと思わせてくれる言葉でした。
……目に見えた無茶を見ないふりすることを、信用とは呼ばない。
率直に「真の信頼関係とは何か」と考えさせられましたし、「信頼と信用の違いってなんだろう?」、「信用することはどこまで相手の意思を尊重したり任せられる範囲なんだろう?」とより深く考えるきっかけをくれました。
多くの場合、僕たちは「相手を傷つけたくない」とか、「波風を立てたくない」という理由で「見ないふり」を選びがちですが、それは相手を信じているのではなく、ただ関係を壊すことを恐れているに過ぎないということを指摘しているように感じます。
無茶な行動や困難に直面する相手に目を背けずに真摯に向き合うことこそが信頼の本質であり、それを実践する強さに胸を打たれますし、相手の本質を見つめて真実に基づいた関係を築ける人間でありたいなと思わされる言葉でした。
大人に意見すると罰がとんできた子ども。そんなもの教育とは呼ばない。必要なくても、誰かの意に反しても、ただ感情のおもむくまま行動しても良いんですよ。
「大人に意見すると罰がとんでくる子ども」という表現はとても理不尽な教育や抑圧の象徴であり、「そんなものは教育とは呼ばない」という想いには、理不尽や抑圧を痛烈に批判しているように思います。
子どもは大人と同じように感情を持って自由に表現する権利がありますし、「意に反しても、感情のおもむくまま行動しても良い」という言葉は、大人社会が押し付ける枠に囚われない生き方をしてほしいという願いも含まれているのかなと思いますね。
また、これは子どもだけでなく大人にも共通する考え方で、周囲の期待や社会のルールに縛られがちな現代人に対して、「自分の感情を信じて自分らしくいていいんだよ」と言ってもらえているように感じる、行動することに勇気を与えてくれる言葉でした。
…世界を知るのは自分を強くします。それはいつか自分を助けるでしょう。対して人を知るのはその人物との縁を強くします。そして人との縁は誰かを介すより、自分で行動した方が強く結びつくものです。
世の中のいろいろなことを知り、知識をつけていくことは自分を守ったり、挑戦していくときの行動を促す要素でもあるなと改めて感じさせてくれ、「自分を強くする」ということは自己成長につながるのだと、その重要性や背中を押してくれる存在であることを伝えてくれているように思いました。
「人を知ることは縁を強くする」という表現は、他者とのつながりも大切であることを伝えてくれていますし、先ほどの「世の中を知ること」と「人を知ること」の2つの要素が相互に補完し合うことで、どちらかが欠けていては人生の豊かさが損なわれてしまうというメッセージが込められているように感じます。
そして人生の豊かさを求めるのなら、「受け身の姿勢では深い関係を築けない」という現実を突きつけられているようで、自分で行動してこと掴むことができたり、自己成長と他者とのつながりの大切さをバランスを教えてくれる言葉だと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
『親に売られた私の幸せな家族』の魅力&自分を見つめ直すきっかけになりそうな言葉は伝わったでしょうか?
学校や会社、いろんな組織、団体などに所属していて、「落ち込んでいるとき、疲れているとき、悩んでいるとき、そして、少しでもあなたが夢に向かって突き進むとき、壁が現れたとき、壁を乗り越えるとき」に、物事の見え方が変わるヒントを見つけてもらえたら嬉しいです。
それでは今回はここまでです。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。