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「不登校芸人の夜ふけ」【売れてない芸人(金の卵)シリーズ】アクアキャンディー 石井 著
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はじめに
はじめまして。アクアキャンディーというコンビを組んで活動しています、石井康平と申します。
現在、タイタンという事務所に預かってもらいながら、コントをしています。今回、電子書籍を出させて頂く事になりました。よろしくお願いします。
先日、事務所のネタ見せでマネージャー様に「石井君、売れてない芸人(金の卵)シリーズで電子書籍を書いてみない?」と言われ、トーンがタバコ吸いに行こうよ的な言い方だったので(本当に書ける?)と疑い交じりで、ぼそっと「書いてみたいですね」と答えたら、本当に書かせてもらえる事になりました。凄い時代。本当にマネージャー様と、機会を与えてくださった代官山ブックス様に感謝です。
何より、こんな得体のしれない人間の本を開いてくださった方、ありがとうございます。決まった経緯が経緯だけに、この「売れてない芸人(金の卵)シリーズ」でダントツの無名かもしれない。出版する時には「銅の卵」とされているかもしれない。せっかくなので、読んでくださった方には、少しでも僕の事を知って頂ければなと思います。
僕の事をまず一言で説明します!!!
僕は学生時代、“不登校”でした……。
お笑い芸人が書いているはずの本を開いたのに、え⁇ 申し訳ありません。ちゃんと(売れてない)芸人の本です、大丈夫です! この文だけ黒い背景に赤い文字にされていたらどうしよ、怖すぎる。
自分の特徴を紹介する時、この一言をよく言っています。
プロフィールに引きのある人ってのは、運動・勉強・特技に秀でたパターンが多いです。そして、これらは学生時代の努力の延長線上で手にする事が多いんですが、僕は学生時代に努力を放棄しすぎた結果、「学生時代、何かしてたの?」に「不登校をしていました」と答えるしか手札が残っていなかったです。ババ抜きをジョーカーだけで勝ち上がれるかを考えているような感じです。
ちなみに、期間は小学校4年から中学校3年までの5年間。
5年……。犬は生まれて5年で、人間で言う36歳になります。5年あれば、いろいろな事ができますよね。5年を無にした代償で“5年で成し得られる事”の例えも思いつかないんですけど。出なさすぎて「年月の重みを感じさせる時は犬の年齢がベターだろ」と調べてしまいました。
まあ、5年あればなんかできたはず。不登校の期間も長いほうだとは自分で薄っすら思います。
ただ、僕の1年後輩にかわえなつきという女芸人がいるんですが、先日、かわえも不登校だった事を初めて知り、よく聞いたら、かわえは6年らしい。その時「上には上もいる」「負けた」と思ったんですけど、この感情、合ってます? ともかく、6年も5年も長い事に変わりはない。
そして、僕はお笑い養成所に2つ通っていました。
どういう事? 学校行きたくないんじゃないの⁇ だとか、疑問はあるかもしれないです。というか、字面で見た時に自分が一番思いました。別に不登校だった罰として空いた年数分をお笑い学校で埋めようとしているわけじゃないです(その場合、あと3つ必要になる……)。
学校が嫌いだったはずなのに、お笑いの学校に2回行ってしまいました。まあ、不登校だったからこそ、とも言えるかもしれません。
この本では、不登校時代からさかのぼり、不登校になった時の心境、過ごし方、そんな人間がなぜ芸人を目指すに至ったのか。そして、元不登校児がお笑いの世界でどうあがき、お笑い学校へ2回通う事になったのかを振り返って書かせて頂こうと思います。
全てに対して無気力だった僕が、唯一、夢中になれたのがお笑いでした。
アクアキャンディー 石井
不登校前夜
まずは生まれてから小学校低学年まで。つまり、不登校児ではなく、まだ、ただの元気な少年だった頃をざっくり振り返りたい。
僕は1992年7月14日、大阪で生まれた。
大阪には僕が小学校に上がるタイミングまで暮らしていて、短い期間に母の離婚、転勤などで大阪府内で3回ほど引っ越した結果、大阪のどこにいるのかもわからん状態だった。
環境が変わる事に対しては“事情があるならしょうがない”程度の感覚。ちょっと、物事に無関心だったかもしれない。母と、前の父親が殴り合いの喧嘩をしていて姉が泣き喚いている中で、無視してドラクエ6プレイしてたし。
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