あの子は貴族　同じ空の下で私たちは生きている

あらすじ

都会に生まれ、箱入り娘として何不自由なく育った華子（門脇麦）は、結婚こそが幸せと信じて疑わなかったが、結婚を考えていた恋人に振られてしまい初めて人生の岐路に立つ。
気付けば20代後半になっており、同じ名門女子校に通った同級生たちの結婚や出産をした話を聞くたびに焦りを募らせていた。
そして華子は様々な手立てを使ってお相手探しをするうちに、良家の生まれでハンサムな弁護士・青木幸一郎（高良健吾）と出会い結婚が決まるが……。
一方、富山で生まれた美紀（水原希子）は猛勉強の末に慶應大学に入学し上京。学費のために夜の世界も経験したものの、中退した。
恋人はなく、仕事にやりがいを感じておらず、都会にしがみつく意味を見いだせずにいた。
都会に生まれた箱入り娘の華子と、地方から上京し自力で都会を生き抜く美紀。
同じ都会で暮らしながらも出会うはずもなかった2 人の人生が交差し、2人は自分の居場所を見つめ、恋愛や結婚だけではない自分の人生を切り開こうとする。 
山内マリコの同名小説を基にした、「グッド・ストライプス」で新藤兼人賞金賞を獲得した岨手由貴子監督による人間ドラマ映画。

感想

代々医師の家に生まれ、然るべき家柄の男性と結婚して良き伴侶になるのが女性の生き方と教え込まれて生きてきた華子。
地方から上京して慶應大学に入学したものの、実家の都合で夜の世界の仕事を頑張ったものの結局は退学して、人生に迷っている美紀。
恋人はいるが結婚はせずに、ソロバイオリニストとして独立独歩で生きる逸子（石橋静河）。
美紀と一緒に上京して慶應大学に入学し、起業しようとしている里英（山下リオ）。
「家」の存続のために、然るべき家柄の男性と結婚して跡取りを産み、奥様として旦那さんを支える生き方に疑問を持たず、家族の意向に流されていきながら、自分に悩みを打ち明けてくれない幸一郎に不満を持ち不妊治療が上手くいかず、美紀と交流している幸一郎や親友の逸子を通して生まれ育ちが違う美紀たちと出会い交流する中で、自分が知らない世界を知り自分の生き方を模索する華子と幸一郎との別れや大学を退学して華子や逸子との交流を通して人生を模索する美紀のヒューマンドラマが、上流階級の華子と地方から上京している美紀の正月の過ごし方の違いや慶應大学の幼稚舎からエスカレーターで進学してきた内部生と外部から進学してきた外部生のライフスタイルの違いなどそれぞれの階層の違いのリアルさ、同じ上京組の美紀と里英の苦楽を共にしてきた女性同士の強い絆や箱入り娘の華子と先進的なフェミニストである逸子の価値観が違うけどお互いに刺激し合う絆や華子と美紀の生まれ育ちが違うけどそれを超えてお互いに新しい世界を知り刺激し合う絆を軸にしっかり描いていて、美紀と里英が深夜の街で自転車のふたり乗りするシーンや華子と美紀が東京タワーを見て語り合うシーンが印象的なシスターフッド青春映画。