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スタンド・アップ アメリカ初のセクハラ集団訴訟を元にした映画

あらすじ

夫の暴力に耐えかね、幼い子供二人を連れて家を出たジョージー(シャーリーズ・セロン)は、生まれ故郷の北ミネソタの町に戻る。
そこは古くからの鉱山町で、10代でシングルマザーとなって出戻ってきたジョージーに、周囲の視線は冷たい。
“身持ちの悪い女”というレッテルを貼られ、父親ハンク(リチャード・ジェンキンス)からも信用されず、母のアリス(シシー・スペイセク)が繰り返すのは、夫とやり直すために辛抱しろという言葉ばかり。
しかしジョージーは自分の力で子供たちを養って生きていこうと決意しており、病気の夫カイル(ショーン・ビーン)に代わり長年鉱山で働いてきた旧友グローリー(フランシス・マクドーマンド)に誘われて鉱山で働こうと決める。
ベテラン鉱山労働者である父ハンクは猛反対し、父娘の溝はさらに深まったが、グローリーは、ジョージーを励ます。
しかし仕事はトイレ休憩が制限されるなど思った以上にきつく、ジョージーの元彼氏であるボビー・シャープ(ジェレミー・レナー)など同僚である男たちは、作業場にある簡易トイレに閉じ込めて揺さぶったり室内の女性トイレに嫌がらせの落書きをするなど子供じみた悪戯や卑猥な言葉をジョージーに投げつけてくる。
中傷の果てに息子までがいじめられ、数少ない同僚の女性たちも状況がさらに悪化することを恐れ、味方になってはくれなかった。
耐えられなくなったジョージーは、勇気を振り絞りセクシャルハラスメント訴訟を起こす。 
 1988年にアメリカで鉱山労働者として働くシングルマザーが、セクハラ集団訴訟を起こして男性社会の中で立ち上がっていく姿を実話に基づいて描いた人間ドラマ。

解説と感想

フェミニストによる活動で最高裁判所で男女雇用機会均等法による判決が出されたとはいえ、鉱山は男の仕事とされ、鉱山で働きたいと希望する女性を形では受け入れても上司からは嫌味混じりの忠告をされ、男性の同僚からはランチに大人のオモチャを入れられたり胸元のポケットからタバコを取るふりをして胸を触ったり簡易トイレに閉じ込められ揺さぶられ卑猥な野次を飛ばされ、挙げ句の果ては密室で押し倒されるなど、セクハラ攻撃を浴びるジョージーたち女性鉱山労働者の毎日を丁寧に描いていて、セクハラを女性の同僚にしてくる男性は自分たち男性のものと思い込んでいる鉱山など男性の仕事とされてきた分野に進出してきた女性に対する変な縄張り意識や女性を見下す無意識な差別意識からセクハラしていることがわかる子供じみた悪戯や卑猥な言葉から男性が見ていて男性の幼稚性や差別意識に胸糞な気持ちになるリアル感がある。
ジョージーが、弁護士のビル(ウディ・ハレルソン)とセクハラ被害に遭った女性の同僚に集団訴訟するため、同僚の男性を告発するよう説得するが、仕事を失うことやより酷い被害に遭うことを恐れてなかなか告発出来ないセクハラ訴訟の難しさ。
被告人側が、原告側の女性のイメージを悪くするために原告側の女性の男性関係など性遍歴をあげつらったりする性暴力の裁判と同じく卑劣な戦略が、まかり通るクソな状況。
ジョージーが、労働組合の集会に乗り込んで自分が何故セクハラ訴訟を起こすか主張するシーン、クライマックスのジョージーと鉱山会社の裁判では、勇気を持って立ち上がることで状況を動かすことが出来ると思える男女問わず心動かされるヒューマンサスペンス映画。
「私たちはただ仕事して普通の生活がしたいだけ」

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